エンタメ
2026-05-08 18:00
山田裕貴主演ドラマ『ちるらん 新撰組鎮魂歌~京都決戦篇~』の最終話が、U-NEXTにて5月1日より配信された。最終話で描かれたのは、芹沢鴨と土方歳三、近藤勇、そして沖田総司。それぞれの生き様が交錯する濃密な時間。命を奪い、背負い、それでも前へ進まざるを得ない者たちの覚悟は、物語の中だけでなく、演じる俳優たちの内側にも刻まれていった。本作は5月9日より、北米・ラテンアメリカ・ヨーロッパ・アジアの一部を含む世界100以上の国と地域へ配信される。世界へと広がる本作の裏側で、高まる続編への期待。土方歳三、沖田総司として生きた山田、細田佳央太は現場で何を感じ、どのように最終話へと向き合ったのか…。
【写真】見どころを紹介!場面カットを一挙公開
■俳優としての俯瞰を捨てた、「まったく覚えていない」死闘の演技
――圧巻の最終話。散る場所を求めていた芹沢鴨との死闘は、演じた綾野剛さんが「ラブシーン」とおっしゃっていたように、苦しくも愛しく切ない時間でした。
山田:ありがとうございます。本来、僕たちが演じているときに放っているであろう空気は、例えどれだけ力を込めて演じても100%伝わるはずないんですよね。舞台みたいに生で観てもらっているわけではないので。それでも、この『ちるらん』は“ここを観てください、次はここ、次はここ”とフォーカスをしっかりしながら、みんなの熱量が最大限、映像に乗っかっていて。その精度がものすごく高かったように思います。
――地上波でオンエアされた“江戸青春篇”から、U-NEXTで配信された京都決戦篇へ。新撰組を取り巻く環境も変わるにつれて、みなさんの雰囲気も変わっていきましたか?
細田:そうですね。試衛館メンバーといるときは基本的には和気あいあいとしているんですけど、やっぱり話が進むにつれて明らかに命を奪っている数が増えていくので。新撰組っていう立ち位置も、試衛館のときとは明確に変わっていくなかで生まれる葛藤とか、行き違いみたいなものも当然あって。そういうものをみなさんすごく大切にされていたのは、現場でも感じていました。
山田:それこそ、沖田の目がだんだん変わっていくんですよ。まとうものがあるというか。最終話のアクションシーンの前には「ちょっと体が重いんで落としました」と、あの顔つきになっていて。カメラが回っていないときは、僕らともほぼ話さないくらいの空気になっていたんです。いつも一点を見つめて何か考え込んでいるような様子でした。
細田:そんな感じになっていました? 自分では気づいていないかもしれないです…。それだけ夢中になることができていたんだと思います。
――最終話では、沖田が我を忘れて“鬼子”と呼ばれる状態と、自分を取り戻す瞬間がハッキリと見えました。演じる上で意識されていたことはありますか?
細田:やっぱり難しいなというか、怖さはありました。それがちゃんと伝わるか、何よりも原作を大好きなファンのみなさんも観てくださっていると思うと、沖田がどう見えるのかっていうのは……。でも、やっぱり綾野さんがいてくださったのですごく救われました。本当にたくさんアクション練習に付き合っていただいて。もうみなさんにも十分伝わっていると思うんですけど、あんなに器の大きい方ってなかなかいないじゃないですか。綾野さんの演じられる芹沢さんならどんな飛び込み方をしても受け止めてもらえるだろうっていう安心感があったからこそ、余計なことを考えずに取り組めました。それに、最終話を撮影したとき渡辺一貴監督が楽しそうだったんですよ。芹沢さんと沖田しかいなかったシーンから、土方さんと近藤(鈴木伸之)さんが合流して……って、流れで撮っていったんですけど。その楽しそうな表情を見たときに「あ、自分たちのやってきたことは間違っていなかったな」って思いました。
――土方歳三としては、やはり芹沢鴨とやり合いたかったという気持ちだったと思いますが、山田さんとしても同じ思いですか?
山田:もちろんそうですね。もし僕がタイムスリップして、同じように刀で生きている人間になっていたとしたら、きっと「俺がとどめを刺したい」とごく当たり前に思うはずですが、それを仲間たちは譲っていくわけじゃないですか。「総司か歳さんしか勝てないから先へ行ってくれ」と言って。そこに胸が熱くなりました。何よりも、鴨という人間は歳三にとって炎をもらえる存在だったんだと思っていて、「自分を走らせる炎を燃やす場所ってどこだ? こいつしかいねぇだろ!」と思わせてくれて、かつ純粋に「強くなりたい」自分をたぎらせてくれる人だったと思うんです。それは、僕にも通じるところがあって。俳優としてうまくなりたいんです。ただただうまくなりたい。『ちるらん』は、色々な時代の圧力などを描きつつも、一番焦点を当てて描いているのは、そういう人間に備わっている上昇志向だと思っています。勝ち負けよりも、その気持ちを純粋に追い求めているだけなんだろうなと感じています。
――土方歳三と芹沢鴨は「表裏一体」と認め合うシーンもありました。
山田:鴨が「楽しけりゃいいじゃねぇか」という考えに対して、歳三は「いや、楽しいだけじゃダメだ」というところが違うんですよね。歳三は、たくさんの死を経て強くなっていく一方で背負うものがどんどん増えていって。果たして強くなることは正しいのか、と迷っていく。刀を持っている以上は「やれ」と、鴨のように純粋に言えている領域にいくにはどうしたらいいんだろう、という思いを抱えている中で、最終話で台本にはなかった歳三の台詞なのですが、「総司、ひとりで行くな」と言ったシーンがあります。要は、戦う理由が変わっているんです。「俺が戦いたいから行く」という理由から、「仲間のために行かなきゃ」というものに。それが生きていくなかで難しい部分だなと思いました。だから、鴨のことがどこかで羨ましいし、「俺を残していくなよ」「俺はここからまた生きていかなきゃいけないんだよ」という、言葉にしがたい思いだったので、あの鴨と対峙したシーンは、僕本当に何を言ったか覚えていないんです。
――まったく?
山田:はい。あのシーンは、自分の「俯瞰1割」をはずしてやってみたんです。大竹しのぶさんが舞台に立つ時はいつも「役の思い9割、俯瞰1割」の視点を持っているというお話を以前読んだことがあって、以来ずっとそれを実践しているのですが、あのシーンはその感覚をあえて外したんです。抱えるものが増えていった歳三にとって、あの瞬間は考えを外すことが大事だった。だから、僕自身も「考えないようにする」とすら思わない感覚で、今、鴨に思っていることだけを全力であそこに出そうと臨みました。一度レバーをぶち壊して、何が出てくるのかを自分でも楽しんでいたところがありました。
――そんな山田さんを間近でご覧になってどう感じられましたか?
細田:その覇気はもちろん感じましたし、自分としてはおふたりのやりとりから目を逸らしちゃいけないなっていう思いが強くて。土方さんが鴨さんに対してそう思っていたのもわかるし、その上で自分がとどめを刺したから。自分のなかで責任感というわけでもないですけれど 、背負わなきゃいけないものが増えたっていう感覚もありました。
山田:歳三としても言い過ぎちゃうと、総司が苦しくなるっていうのもあるしね。
細田:そうですね。ただ、沖田としては間違いなく変化が起きた戦いなので。最初から瞬きもせずに見届けようと決めていたのですが、おふたりのお芝居に引き込まれました。
――芹沢鴨が散ったことで土方歳三が変わってしまった様子も描かれました。
山田:最終的に残ったのが一つの感情で。ただ「寂しい」なんですよね。仲間はいる。でも守らなければならない存在という感覚で、仲間と集まって、それこそワチャワチャとみんなでご飯を食べているシーンでも、なにか違ったんです。あの鴨との戦いを分かち合えてないんだ、という思いでした。
細田:撮影したのは、たしか翌日でしたよね。
山田:そう。だからこそ、まだあのシーンをより背負ってしまっていて。周りから見ても変わったというのは、きっとリアルにその心情だったんだと思います。
細田:本当の理由をわかっているからこそ、僕も近藤さんもそこに対して触れないし。
――役としても、俳優としても、リンクしていたんですね。
山田:仲間なはずなのに、家族なのは変わらないはずなのに、どこかで「あ、そうだよな。こいつらは俺の思いなんて別に知らないもんな」という感じでした。
■続編への期待と、「こう生きればいいんだ」という“その先”への予感
――土方歳三、沖田総司の大きな変化が起き、さらには高杉晋作役として北村匠海さんまで登場し、「本当にこのまま終わるの!?」となった展開でした。
細田:このまま終わったら、日本で一番贅沢な北村さんの使い方をした作品ですよね。
山田:でも、みなさんから「続きを観たい」という声がなければ、ここで本当に終わりなので。
――世界配信もされますが、ファンとしてはどのように応援すれば続編の道が開かれるのでしょうか?
山田:やっぱり何度も何度も観ていただいて、その感想をたくさん発信してもらうことですね。
細田:とはいえ、あまり時間をかけると、みなさん40代に突入しちゃうので(笑)。
山田:僕らとしてもなるべく早く続きをやりたいという気持ちではいます。もうすでに僕は、歳さんが亡くなった年齢になってしまっているから(笑)。
――何度も楽しんでもらうために「見返してほしい」シーンをお聞きしたいです。
山田:5話の平山五郎(高橋光臣)との戦いで、漫画原作で「虚狼(うつろ)」と呼ばれる鴨の必殺技を、歳三が無意識のなかで繰り出すのですが、あのシーンは自分のなかで設定が繋がっていて。鴨はノーマルでその領域を出せますが、歳三は思考を外さないと出せない。それは、さっきお話した鴨との対峙シーンで振り切ったときのお芝居とも通じていて。そう思うと、鴨はどれだけ自分の感情とか本能に純粋に生きていたんだろう、と思うんですよね。同時に、これだけ全力で戦ってくれることに対して喜び、ましてや感動すら覚えるような人間なんて、今までどれだけ孤独だったのだろう、みたいにキャラクターを掘り下げて観てもらえたらと思います。
細田:あとはやっぱりアクションシーンもじっくり観てほしいですよね。
山田:『ガーディアン・オブ・ギャラクシー』カットね! 3話の新見錦(奥野瑛太)との決戦でカメラがグワーッと移動するシーンは、僕たちのなかでリスペクトを込めて「『ガーディアン・オブ・ギャラクシー』カット」と名前をつけて気に入っていたんです。
細田:(笑)。
山田:でも、他のアクションもやっぱり何度も見返してほしい。田中新兵衛(安藤政信)や岡田以蔵(中島健人)との戦いとか、松平容保(松本潤)さんの思いをじっくり味わえば味わうほど、ラストに向けてこみ上げてくるものが深まっていくと思います。
――本当に、山田さんは多くの方と対戦しましたが、どの戦いが最も大変だったというのはありますか?
山田:やっぱり初めて親父(近藤勇:鈴木伸之)と戦ったシーンですかね。僕も強くなる前で、以降試衛館のみんなと過ごしていく中で、色々な強さをもらったんだと思うんです。みんなの言葉だったり、仲間が頑張ろうと言ってくれる思いだったり。あのときはクランクインで、主演としてついてきてもらうためにも「見せなければ」という使命感もあり、そういう意味で一番大変でした。
――この『ちるらん』という作品は、おふたりにとってどのような存在ですか?
細田:この作品は半年かけて撮ったんですけれど、本当に素敵なスタッフさんと、熱量の高い俳優部のみなさんがいて。あれだけアクションがあって過酷なはずなのに、全然大変って思わなかったんですよ。むしろ楽しいっていう毎日で。それって多分ものづくりにおいて欠かせないことだと思うんです。すごく極端なことを言うと、みんなが同じ方向を向いているかどうかってことかなって。
山田:うん。わかるよ。
細田:そういう意味で『ちるらん』は本当に特別でした。環境といい、そこに集まった人たちといい、もとにしている物語といい。だからこそ、それを当たり前にしちゃいけないとも思っていて。僕自身、ちょっとでも俳優としてそういう現場を増やすことができればいいなと、この作品を経験した上で、ひとつの指針ができたと思っています。
山田:今の段階で、予感があるんです。歳さんとして最後まで生きて人生全うできたら、なにか自身の人生が変わりそうと。「あ、こう生きればいいんだ」というのがひとつ見つかる気がするんです。世界中の方たちにもいよいよ観ていただけるということで、ぜひみなさんの力で、いっしょに“その先”を作っていけたらと思っています。
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山田:ありがとうございます。本来、僕たちが演じているときに放っているであろう空気は、例えどれだけ力を込めて演じても100%伝わるはずないんですよね。舞台みたいに生で観てもらっているわけではないので。それでも、この『ちるらん』は“ここを観てください、次はここ、次はここ”とフォーカスをしっかりしながら、みんなの熱量が最大限、映像に乗っかっていて。その精度がものすごく高かったように思います。
――地上波でオンエアされた“江戸青春篇”から、U-NEXTで配信された京都決戦篇へ。新撰組を取り巻く環境も変わるにつれて、みなさんの雰囲気も変わっていきましたか?
細田:そうですね。試衛館メンバーといるときは基本的には和気あいあいとしているんですけど、やっぱり話が進むにつれて明らかに命を奪っている数が増えていくので。新撰組っていう立ち位置も、試衛館のときとは明確に変わっていくなかで生まれる葛藤とか、行き違いみたいなものも当然あって。そういうものをみなさんすごく大切にされていたのは、現場でも感じていました。
山田:それこそ、沖田の目がだんだん変わっていくんですよ。まとうものがあるというか。最終話のアクションシーンの前には「ちょっと体が重いんで落としました」と、あの顔つきになっていて。カメラが回っていないときは、僕らともほぼ話さないくらいの空気になっていたんです。いつも一点を見つめて何か考え込んでいるような様子でした。
細田:そんな感じになっていました? 自分では気づいていないかもしれないです…。それだけ夢中になることができていたんだと思います。
――最終話では、沖田が我を忘れて“鬼子”と呼ばれる状態と、自分を取り戻す瞬間がハッキリと見えました。演じる上で意識されていたことはありますか?
細田:やっぱり難しいなというか、怖さはありました。それがちゃんと伝わるか、何よりも原作を大好きなファンのみなさんも観てくださっていると思うと、沖田がどう見えるのかっていうのは……。でも、やっぱり綾野さんがいてくださったのですごく救われました。本当にたくさんアクション練習に付き合っていただいて。もうみなさんにも十分伝わっていると思うんですけど、あんなに器の大きい方ってなかなかいないじゃないですか。綾野さんの演じられる芹沢さんならどんな飛び込み方をしても受け止めてもらえるだろうっていう安心感があったからこそ、余計なことを考えずに取り組めました。それに、最終話を撮影したとき渡辺一貴監督が楽しそうだったんですよ。芹沢さんと沖田しかいなかったシーンから、土方さんと近藤(鈴木伸之)さんが合流して……って、流れで撮っていったんですけど。その楽しそうな表情を見たときに「あ、自分たちのやってきたことは間違っていなかったな」って思いました。
――土方歳三としては、やはり芹沢鴨とやり合いたかったという気持ちだったと思いますが、山田さんとしても同じ思いですか?
山田:もちろんそうですね。もし僕がタイムスリップして、同じように刀で生きている人間になっていたとしたら、きっと「俺がとどめを刺したい」とごく当たり前に思うはずですが、それを仲間たちは譲っていくわけじゃないですか。「総司か歳さんしか勝てないから先へ行ってくれ」と言って。そこに胸が熱くなりました。何よりも、鴨という人間は歳三にとって炎をもらえる存在だったんだと思っていて、「自分を走らせる炎を燃やす場所ってどこだ? こいつしかいねぇだろ!」と思わせてくれて、かつ純粋に「強くなりたい」自分をたぎらせてくれる人だったと思うんです。それは、僕にも通じるところがあって。俳優としてうまくなりたいんです。ただただうまくなりたい。『ちるらん』は、色々な時代の圧力などを描きつつも、一番焦点を当てて描いているのは、そういう人間に備わっている上昇志向だと思っています。勝ち負けよりも、その気持ちを純粋に追い求めているだけなんだろうなと感じています。
――土方歳三と芹沢鴨は「表裏一体」と認め合うシーンもありました。
山田:鴨が「楽しけりゃいいじゃねぇか」という考えに対して、歳三は「いや、楽しいだけじゃダメだ」というところが違うんですよね。歳三は、たくさんの死を経て強くなっていく一方で背負うものがどんどん増えていって。果たして強くなることは正しいのか、と迷っていく。刀を持っている以上は「やれ」と、鴨のように純粋に言えている領域にいくにはどうしたらいいんだろう、という思いを抱えている中で、最終話で台本にはなかった歳三の台詞なのですが、「総司、ひとりで行くな」と言ったシーンがあります。要は、戦う理由が変わっているんです。「俺が戦いたいから行く」という理由から、「仲間のために行かなきゃ」というものに。それが生きていくなかで難しい部分だなと思いました。だから、鴨のことがどこかで羨ましいし、「俺を残していくなよ」「俺はここからまた生きていかなきゃいけないんだよ」という、言葉にしがたい思いだったので、あの鴨と対峙したシーンは、僕本当に何を言ったか覚えていないんです。
――まったく?
山田:はい。あのシーンは、自分の「俯瞰1割」をはずしてやってみたんです。大竹しのぶさんが舞台に立つ時はいつも「役の思い9割、俯瞰1割」の視点を持っているというお話を以前読んだことがあって、以来ずっとそれを実践しているのですが、あのシーンはその感覚をあえて外したんです。抱えるものが増えていった歳三にとって、あの瞬間は考えを外すことが大事だった。だから、僕自身も「考えないようにする」とすら思わない感覚で、今、鴨に思っていることだけを全力であそこに出そうと臨みました。一度レバーをぶち壊して、何が出てくるのかを自分でも楽しんでいたところがありました。
――そんな山田さんを間近でご覧になってどう感じられましたか?
細田:その覇気はもちろん感じましたし、自分としてはおふたりのやりとりから目を逸らしちゃいけないなっていう思いが強くて。土方さんが鴨さんに対してそう思っていたのもわかるし、その上で自分がとどめを刺したから。自分のなかで責任感というわけでもないですけれど 、背負わなきゃいけないものが増えたっていう感覚もありました。
山田:歳三としても言い過ぎちゃうと、総司が苦しくなるっていうのもあるしね。
細田:そうですね。ただ、沖田としては間違いなく変化が起きた戦いなので。最初から瞬きもせずに見届けようと決めていたのですが、おふたりのお芝居に引き込まれました。
――芹沢鴨が散ったことで土方歳三が変わってしまった様子も描かれました。
山田:最終的に残ったのが一つの感情で。ただ「寂しい」なんですよね。仲間はいる。でも守らなければならない存在という感覚で、仲間と集まって、それこそワチャワチャとみんなでご飯を食べているシーンでも、なにか違ったんです。あの鴨との戦いを分かち合えてないんだ、という思いでした。
細田:撮影したのは、たしか翌日でしたよね。
山田:そう。だからこそ、まだあのシーンをより背負ってしまっていて。周りから見ても変わったというのは、きっとリアルにその心情だったんだと思います。
細田:本当の理由をわかっているからこそ、僕も近藤さんもそこに対して触れないし。
――役としても、俳優としても、リンクしていたんですね。
山田:仲間なはずなのに、家族なのは変わらないはずなのに、どこかで「あ、そうだよな。こいつらは俺の思いなんて別に知らないもんな」という感じでした。
■続編への期待と、「こう生きればいいんだ」という“その先”への予感
――土方歳三、沖田総司の大きな変化が起き、さらには高杉晋作役として北村匠海さんまで登場し、「本当にこのまま終わるの!?」となった展開でした。
細田:このまま終わったら、日本で一番贅沢な北村さんの使い方をした作品ですよね。
山田:でも、みなさんから「続きを観たい」という声がなければ、ここで本当に終わりなので。
――世界配信もされますが、ファンとしてはどのように応援すれば続編の道が開かれるのでしょうか?
山田:やっぱり何度も何度も観ていただいて、その感想をたくさん発信してもらうことですね。
細田:とはいえ、あまり時間をかけると、みなさん40代に突入しちゃうので(笑)。
山田:僕らとしてもなるべく早く続きをやりたいという気持ちではいます。もうすでに僕は、歳さんが亡くなった年齢になってしまっているから(笑)。
――何度も楽しんでもらうために「見返してほしい」シーンをお聞きしたいです。
山田:5話の平山五郎(高橋光臣)との戦いで、漫画原作で「虚狼(うつろ)」と呼ばれる鴨の必殺技を、歳三が無意識のなかで繰り出すのですが、あのシーンは自分のなかで設定が繋がっていて。鴨はノーマルでその領域を出せますが、歳三は思考を外さないと出せない。それは、さっきお話した鴨との対峙シーンで振り切ったときのお芝居とも通じていて。そう思うと、鴨はどれだけ自分の感情とか本能に純粋に生きていたんだろう、と思うんですよね。同時に、これだけ全力で戦ってくれることに対して喜び、ましてや感動すら覚えるような人間なんて、今までどれだけ孤独だったのだろう、みたいにキャラクターを掘り下げて観てもらえたらと思います。
細田:あとはやっぱりアクションシーンもじっくり観てほしいですよね。
山田:『ガーディアン・オブ・ギャラクシー』カットね! 3話の新見錦(奥野瑛太)との決戦でカメラがグワーッと移動するシーンは、僕たちのなかでリスペクトを込めて「『ガーディアン・オブ・ギャラクシー』カット」と名前をつけて気に入っていたんです。
細田:(笑)。
山田:でも、他のアクションもやっぱり何度も見返してほしい。田中新兵衛(安藤政信)や岡田以蔵(中島健人)との戦いとか、松平容保(松本潤)さんの思いをじっくり味わえば味わうほど、ラストに向けてこみ上げてくるものが深まっていくと思います。
――本当に、山田さんは多くの方と対戦しましたが、どの戦いが最も大変だったというのはありますか?
山田:やっぱり初めて親父(近藤勇:鈴木伸之)と戦ったシーンですかね。僕も強くなる前で、以降試衛館のみんなと過ごしていく中で、色々な強さをもらったんだと思うんです。みんなの言葉だったり、仲間が頑張ろうと言ってくれる思いだったり。あのときはクランクインで、主演としてついてきてもらうためにも「見せなければ」という使命感もあり、そういう意味で一番大変でした。
――この『ちるらん』という作品は、おふたりにとってどのような存在ですか?
細田:この作品は半年かけて撮ったんですけれど、本当に素敵なスタッフさんと、熱量の高い俳優部のみなさんがいて。あれだけアクションがあって過酷なはずなのに、全然大変って思わなかったんですよ。むしろ楽しいっていう毎日で。それって多分ものづくりにおいて欠かせないことだと思うんです。すごく極端なことを言うと、みんなが同じ方向を向いているかどうかってことかなって。
山田:うん。わかるよ。
細田:そういう意味で『ちるらん』は本当に特別でした。環境といい、そこに集まった人たちといい、もとにしている物語といい。だからこそ、それを当たり前にしちゃいけないとも思っていて。僕自身、ちょっとでも俳優としてそういう現場を増やすことができればいいなと、この作品を経験した上で、ひとつの指針ができたと思っています。
山田:今の段階で、予感があるんです。歳さんとして最後まで生きて人生全うできたら、なにか自身の人生が変わりそうと。「あ、こう生きればいいんだ」というのがひとつ見つかる気がするんです。世界中の方たちにもいよいよ観ていただけるということで、ぜひみなさんの力で、いっしょに“その先”を作っていけたらと思っています。
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