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2026-11-06 12:00
※本記事は映画『ゴジラ-0.0』の内容に触れています。
「描きたかったものがやっと描けました」。映画『ゴジラ-0.0』(公開中)で、キングギドラのシーンについて聞くと、山崎貴監督はそう答えた。松本で育った監督にとって、それは「55年越しぐらいに夢が叶った瞬間」だったという。観客を恐怖に陥れるキングギドラの猛威。その原点には、少年時代の忘れられない映画体験があった。
【画像】『ゴジラ-0.0』場面写真
続編の新怪獣にキングギドラを選んだ理由を、山崎監督は「単純にキングギドラが好きなんです(笑)」と明かす。
「僕は1964年の辰年生まれなのですが、キングギドラが映画(『三大怪獣 地球最大の決戦』)で初登場したのも同じ1964年なので親しみがありますし、おそらく辰年だったから竜の怪獣だったと思うんです。しかも首が3つもあるところが、もうとにかく好きでした」
■親と取引して観に行った「キングギドラ松本に来襲!」
忘れられないのが、小学生の時に地元で観た、同作のリバイバル上映だ。ポスターには「キングギドラ松本に来襲!」とあった。
「そこで、僕は親と取引しまして、『これから先、一切映画に連れて行ってくれなくてもいいから、この映画だけは見たい!』と言って、連れて行ってもらったんです」
ところが、期待していた展開は訪れなかった。
「めちゃくちゃ楽しみにして観たら、キングギドラは確かに松本に来たんですが、松本城の上をビューっと通り過ぎて、お城の瓦がぱらぱらって落ちただけで終わっちゃったんですよ! まさか、このために僕は、将来映画に連れて行ってもらう権利をすべて放棄したのかと思ったら、もう悔しくて、せつなくて。ずっと根に持っていたんです。大人になって改めて観たら、面白いし、大好きな映画なんですけど(笑)」
今回の続編は、そのとき見たかった光景を、自分の手で作る機会にもなった。怪獣をもう一体出すなら、大好きなキングギドラを登場させたい。少年時代の心残りが、新たな怪獣を選ぶ後押しをした。
「当時の自分に、『これだろ、見たかったのは!』といえる映画が作れる千載一遇のチャンスがやってきたと思って。とても私的な話で申し訳ないですが、個人的な敵討ちの気持ちで、キングギドラを選びました」
キングギドラが大暴れする場面については、「あれが子どものころ見たかった絵です」ときっぱり。制作の苦労に直面しても、少年時代の夢が自らを奮い立たせた。
「『大変とか言ってる場合じゃないだろお前!観たかったシーンを作るんだろ!』と、自分を鼓舞して(笑)。できあがった映像を見て、『やったよ!』という気持ちです」
■人間と怪獣を向き合わせ、戦争の恐怖につなげる
山崎監督のキングギドラは、冒頭から観客を怪獣の脅威にさらす。初登場シーンをワンシーンワンカットで設計した狙いを、こう説明する。
「映画はつかみが大事だと思っているので、始まった瞬間にお客さんをぐいっと画面の中に引きずり込むためには、ワンシーンワンカットはありだなと思っていました」
実際の撮影は3日間に分け、VFXでつないだ。完成までには苦労もあったが、「目の前に怪獣が現れるというインパクトは、何ものにも代えがたいものがあるなと感じました」と振り返る。
恐怖を描く上で、一貫して意識したのは、人間と怪獣を向き合わせ、その目線を合わせることだった。
「人と怪獣をちゃんと向き合わせることを意識したことで、できたことはいろいろあると思うんですよね。等身大の恐怖であるとか、怪獣が目と鼻の先まで来る恐怖みたいなものがあるじゃないですか。戦闘機に対しても、逃げ惑う人々に対しても、すぐ近くまで迫って来る」
その演出に生きたのが、キングギドラの長い首だ。地上の人間にも、空を飛ぶ戦闘機にも顔を近づけ、巨大な怪獣と目が合う恐怖を生み出している。
「キングギドラって頭をギューッと下げられるし、飛んでいるときは水平飛行になるし。目線を合わせることをすごく意識しました」
巨大な怪獣を遠くから眺めているときと、自分のすぐ近くに迫ってきたときでは、感じる恐怖が違う。怪獣の脅威を、登場人物とともに感じてもらう。その恐怖を、本作が描く戦争の恐怖にもつなげようとした。
「その怖さが、戦争の恐怖であるとか、戦わなきゃいけないことの恐怖であるとか、そういうものに直結していれば、怪獣映画といえども深い話ができるんじゃないか、というのを考えながらやっていました」
ゴジラ映画を2作手がけた今も、好きだからこその重圧がある。
「とにかく、好きなだけに大変なんですよ。それをちゃんとやらなきゃいけないっていう思いが、より強くなってしまうので」
今後については「いいタイミングがあれば、またやれればやりたい」としつつ、「まだ分からないです。未知数ですね」と答えた。それでも、「やれることはあるような気はしますし、ますます好きになりました」と、愛着は深まっている。
少年時代に見たかった光景を、今度は作り手として観客に届ける。松本城に迫るキングギドラには、恐怖を生む工夫と、それを実現できた監督の喜びが詰まっている。「これだろ、見たかったのは!」という思いを知ると、あの登場場面を、音楽や目線にも注目しながら、もう一度味わいたくなる。
【動画】かつてない“絶望”に追い込まれる『ゴジラ-0.0』ファイナル予告
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【画像】映画『ゴジラ-0.0』LAプレミア&レッドカーペットイベントの模様
【画像】公開されたIMAXカウントダウン映像の先行カット
「描きたかったものがやっと描けました」。映画『ゴジラ-0.0』(公開中)で、キングギドラのシーンについて聞くと、山崎貴監督はそう答えた。松本で育った監督にとって、それは「55年越しぐらいに夢が叶った瞬間」だったという。観客を恐怖に陥れるキングギドラの猛威。その原点には、少年時代の忘れられない映画体験があった。
【画像】『ゴジラ-0.0』場面写真
続編の新怪獣にキングギドラを選んだ理由を、山崎監督は「単純にキングギドラが好きなんです(笑)」と明かす。
「僕は1964年の辰年生まれなのですが、キングギドラが映画(『三大怪獣 地球最大の決戦』)で初登場したのも同じ1964年なので親しみがありますし、おそらく辰年だったから竜の怪獣だったと思うんです。しかも首が3つもあるところが、もうとにかく好きでした」
■親と取引して観に行った「キングギドラ松本に来襲!」
忘れられないのが、小学生の時に地元で観た、同作のリバイバル上映だ。ポスターには「キングギドラ松本に来襲!」とあった。
「そこで、僕は親と取引しまして、『これから先、一切映画に連れて行ってくれなくてもいいから、この映画だけは見たい!』と言って、連れて行ってもらったんです」
ところが、期待していた展開は訪れなかった。
「めちゃくちゃ楽しみにして観たら、キングギドラは確かに松本に来たんですが、松本城の上をビューっと通り過ぎて、お城の瓦がぱらぱらって落ちただけで終わっちゃったんですよ! まさか、このために僕は、将来映画に連れて行ってもらう権利をすべて放棄したのかと思ったら、もう悔しくて、せつなくて。ずっと根に持っていたんです。大人になって改めて観たら、面白いし、大好きな映画なんですけど(笑)」
今回の続編は、そのとき見たかった光景を、自分の手で作る機会にもなった。怪獣をもう一体出すなら、大好きなキングギドラを登場させたい。少年時代の心残りが、新たな怪獣を選ぶ後押しをした。
「当時の自分に、『これだろ、見たかったのは!』といえる映画が作れる千載一遇のチャンスがやってきたと思って。とても私的な話で申し訳ないですが、個人的な敵討ちの気持ちで、キングギドラを選びました」
キングギドラが大暴れする場面については、「あれが子どものころ見たかった絵です」ときっぱり。制作の苦労に直面しても、少年時代の夢が自らを奮い立たせた。
「『大変とか言ってる場合じゃないだろお前!観たかったシーンを作るんだろ!』と、自分を鼓舞して(笑)。できあがった映像を見て、『やったよ!』という気持ちです」
■人間と怪獣を向き合わせ、戦争の恐怖につなげる
山崎監督のキングギドラは、冒頭から観客を怪獣の脅威にさらす。初登場シーンをワンシーンワンカットで設計した狙いを、こう説明する。
「映画はつかみが大事だと思っているので、始まった瞬間にお客さんをぐいっと画面の中に引きずり込むためには、ワンシーンワンカットはありだなと思っていました」
実際の撮影は3日間に分け、VFXでつないだ。完成までには苦労もあったが、「目の前に怪獣が現れるというインパクトは、何ものにも代えがたいものがあるなと感じました」と振り返る。
恐怖を描く上で、一貫して意識したのは、人間と怪獣を向き合わせ、その目線を合わせることだった。
「人と怪獣をちゃんと向き合わせることを意識したことで、できたことはいろいろあると思うんですよね。等身大の恐怖であるとか、怪獣が目と鼻の先まで来る恐怖みたいなものがあるじゃないですか。戦闘機に対しても、逃げ惑う人々に対しても、すぐ近くまで迫って来る」
その演出に生きたのが、キングギドラの長い首だ。地上の人間にも、空を飛ぶ戦闘機にも顔を近づけ、巨大な怪獣と目が合う恐怖を生み出している。
「キングギドラって頭をギューッと下げられるし、飛んでいるときは水平飛行になるし。目線を合わせることをすごく意識しました」
巨大な怪獣を遠くから眺めているときと、自分のすぐ近くに迫ってきたときでは、感じる恐怖が違う。怪獣の脅威を、登場人物とともに感じてもらう。その恐怖を、本作が描く戦争の恐怖にもつなげようとした。
「その怖さが、戦争の恐怖であるとか、戦わなきゃいけないことの恐怖であるとか、そういうものに直結していれば、怪獣映画といえども深い話ができるんじゃないか、というのを考えながらやっていました」
ゴジラ映画を2作手がけた今も、好きだからこその重圧がある。
「とにかく、好きなだけに大変なんですよ。それをちゃんとやらなきゃいけないっていう思いが、より強くなってしまうので」
今後については「いいタイミングがあれば、またやれればやりたい」としつつ、「まだ分からないです。未知数ですね」と答えた。それでも、「やれることはあるような気はしますし、ますます好きになりました」と、愛着は深まっている。
少年時代に見たかった光景を、今度は作り手として観客に届ける。松本城に迫るキングギドラには、恐怖を生む工夫と、それを実現できた監督の喜びが詰まっている。「これだろ、見たかったのは!」という思いを知ると、あの登場場面を、音楽や目線にも注目しながら、もう一度味わいたくなる。
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