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イチロー “研究”は「絶賛失敗中」 選手から“野球の研究者”へ「どんな生きものになっていくのか」【独占取材】

スポーツ
2025-03-09 06:00

日本人初となる米野球殿堂入りを果たしたイチロー(51、マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)。殿堂入り発表前日から発表当日の様子、ニューヨーク(クーパーズタウン)の野球殿堂博物館までの道中など、6日間に密着した。(第3回/全3回)


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2018年5月に行われたマリナーズ会長付特別補佐就任時の会見では「僕は野球の研究者でいたいというか。今44歳でアスリートとして、この先どうなっていくのかというのを見てみたい」と話していたイチロー。野球人生の節目を迎えたレジェンドは、“研究”は「絶賛失敗中」と話す。


Q.(以前から)「挫折をしないと」っていうこともおっしゃってましたけど、イチローさんは挫折してる感覚あるんですか。


イチロー:高校2年、ピッチャーを諦めました。挫折です。交通事故から投げ方を失ってしまって、もう長い間苦しみました。挫折です、完全に。


Q.2018年はどうですか。(マリナーズと会長付特別補佐の契約をして)試合に出られなくなったということ。


イチロー:あれで僕が諦めたら挫折ですね。続けたので、あれは挫折とは言えないです。


Q.そこに立ち向かえた理由は、何だったんでしょうか?


イチロー:可能性があったからです。翌年の2019年春の可能性はあったからですね。「いやそれもないよ」って言われたら、さすがに難しかったでしょうね。※2019年3月に東京で2試合(マリナーズの)開幕戦開催が決まっていた


Q.やっぱりあそこで続けたということが、イチローさんにとっては矜持と言い切れる。


イチロー:あれはまさしくそうです。それなしでは、あそこには立ち向かえない。


Q.結局はオファーというものがないと選手としてはやっていけない中で、引退という一つの節目が2019年に来て、今、メジャーリーグからオファーがあったら契約しますか。


イチロー:しないです。


Q.それはなぜですか?


イチロー:あの引退があったからです。あれ以上はないです。あれ以上の終わり方はないことはわかっているので、それはできないです。


Q.そうすると「選手としてこれ以上ないところまで来た」と殿堂入りの会見でおっしゃいましたけど、この先また野球人と違う道を歩んでいく、どんな道だってお考えですか。


イチロー:プロ野球選手ではないけれども、プロ野球選手だった人が、どんな生き物になっていくのかっていうかね。それやった人がいないので、なにものになれるかどうかわからないけれど、少なくとも初めての生きものであるんだろうなと思うから、それは面白そうだっていう、そこに向かっていくのは。野球の研究者でありたいと、いつまでもね、もうそれは研究中みたいなことなんですよ。だからそれはもう正解かどうかわからない、それも。例がないし、比較対象がないから、わからないんだけど、いろんなことわかるんじゃないかなって、期待してます。

「野球の研究者でありたい」と語るイチロー。当時45歳だった2019年に現役を引退し、51歳となったいまでも、野球へのあくなき探求心は尽きない。


イチロー:でも研究ってさ、基本的には失敗なんですよね。失敗することでいろんなことが見えてくるわけでしょう。僕はいろんな失敗をして、今実際に怪我してるし、失敗することが研究だと思うんですよ。うまくいくことじゃない。失敗を重ねた上で何かを導いていくことがおそらく研究だと思うので、今、失敗中ですよ絶賛。現役中はほとんど怪我しなかったイメージが大きいと思いますけど、引退してからの僕はもう怪我だらけです。それは当然ですよね。ケアはできない。無理はする。研究しながら失敗して、人間の体ってこうなるよっていうのは今まさしく実感してるところです。


イチローの愛弟子・フリオ「彼が本当に野球を愛しているから」

現在、シアトル・マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターを務めているイチロー。「これまで自分が貫いてきた“一緒に動ける”、これはもう絶対に外せないんで」と選手たちと共に汗を流し、体を使って自らの経験や技術を後輩たちに伝えている。


そんなイチローのことを尊敬してやまないのが、愛弟子でメジャー4年目のフリオ・ロドリゲス(24)だ。デビュー1年目としてはMLB史上初となる25本塁打、25盗塁を記録(2022年)。イチローと同じく新人王も獲得した、マリナーズが誇る若きスター選手が殿堂入りの祝福に訪れた。


イチロー:フリオ!


フリオ:ホール・オブ・フェイム(殿堂入り)


イチロー:会えて嬉しいよ。元気?


フリオ:元気です。マシーンありがとうございます。


イチロー:調子いい?


フリオ:めっちゃくちゃいいです!


Q.フリオは喜び方が一段と・・・


イチロー:(笑)可愛いですよね!ああやって喜んでくれるから、僕も嬉しいって感じですよね。ホール・オブ・フェイムのことはね。わざわざ日本にも行ってトレーニングして、勉強してそういう流れがあるんで、頑張って欲しいですね。


フリオ:イチローは51歳だけど、まるで21歳のように準備を怠りません。彼がどう行動して、毎日同じルーティンをこなし、努力を重ねているかを見るだけで、多くを学ぶ事ができます。彼はもう何もしなくてもいい立場なのに努力を続ける。それは彼が本当に野球を愛しているからです。その愛がどこまで人を突き動かすかを彼は示してくれました。僕がイチローから学んだ教訓の一つです。


イチローは選手や球団関係者、ファンなど世代を超え、今でも多くの人々から愛され続けている。


ファン:イチローはいつも僕に刺激をくれました。彼のおかげで野球を始めましたし、今でも背番号51をつけている。大好きな選手です。殿堂入りのニュースを知って、すぐに(8月の)殿堂入りゲームのチケットを購入しました。


子どものファン:私はイチローの人間性が好き。


子どものファン:僕はイチローの強肩と素晴らしいバッティングが好き。


しかし、殿堂入りを讃える声に対してイチローは「要注意」とおごりはない。


イチロー:注意しなきゃいけないのは周りがそうやって持ち上げる。それで気分良くなってたら僕終わるんで、そこはもう要注意。今回は特にそう思いました。いつもそういう目を持っているつもりですけど。年齢も50超えて、野球界では選手の中で、近くにいる人間としては年齢がかなり上の方になってきているので、第三者から厳しいことを言われなくなってくる立場。それはすごく危ない状態とも言えるので、そこは気をつけたいです。今回やっぱりそのことを再認識してます。


最高の栄誉を手にしても、決しておごることなくただひたすらに野球を突き詰めるイチロー。まだ誰も辿り着いていない境地へ、"野球研究者”としての挑戦はこれからも続く。


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