
■名古屋ウィメンズマラソン2025(9日、バンテリンドーム ナゴヤ発着、42.195㎞)
東京世界陸上(9月)の代表選考会を兼ねた「名古屋ウィメンズマラソン」が行われ、23年の世界陸上ブダペスト代表の佐藤早也伽(30、積水化学)が2時間20分59秒、日本人トップの2位でフィニッシュ。世界陸上参加標準記録(2時間23分30秒)を突破した。
さらに大阪国際女子マラソン(1月)で日本勢トップ・小林香菜(23、大塚製薬)の2時間21分19秒を上回り、世界陸上2大会連続出場へ大きく前進。22年のベルリンでマークした自己ベスト(2時間22分13秒)も大幅に更新し、同大会では一山麻緒(2020年)以来、日本人史上2人目となる2時間20分台、日本歴代9位の好タイムをマークした。優勝はケニアのS.チェプキルイでタイムは2時間20分40秒。
女子の代表選考ラストレースとなった今大会。スタート時点で天候は快晴、気温は8.5℃、湿度は34%と良好なコンディション。参加標準記録をすでに切っている加世田梨花(26、ダイハツ)は2時間19分47秒以内で走り、日本人トップならJMCランキングで安藤友香(30、しまむら)を逆転し1位で内定。佐藤早也伽、初マラソンの五島莉乃(27、資生堂)は参加標準記録を切り、日本人選手トップで代表入りが有力に。
最初の1㎞は3分19秒、身長147㎝と小柄な加世田は集団の中に入らずにペースメーカーの後ろにしっかりつき、五島、佐藤、上杉もその後ろに付いていった。
5㎞付近でトップ集団の後ろについている初マラソンの五島は沿道からの声に笑顔を見せるリラックスムード、駅伝レースではない最初の給水ポイントでもしっかりと自分のボトルを手にした。
10㎞では33分28秒、「パリ五輪がダメになってから悩んだりしたが、新たな気持ちで臨む」と話していた加世田は目標としている2時間19分47秒からやや遅れた。それでも10.8㎞付近で夫の小林歩(26、NTT西日本)と両親が声援を送ると表情もほころんだ。
11㎞から12㎞の1㎞のペースが3分24秒とさらに遅れた。その後も1㎞、3分23秒とスピードが上がらず。15㎞で50分16秒。ここからペースメーカーが1㎞、3分19秒台に戻すと16㎞付近で「自分の限界を超える戦いがしたい」と話していたパリオリンピック™10000m代表の五島が遅れ始めた。
19㎞付近でトップ集団は7人、日本人選手は加世田、上杉、佐藤、そして、大森菜月(30、ダイハツ)の4人。20㎞のタイムは1時間07分01秒、フィニッシュタイムは2時間21分17秒と大阪国際女子マラソンの小林香菜(23、大塚製薬)の記録、2時間21分19秒とほぼ同じタイムとなった。
23㎞付近でペースメーカーがコースを間違えるアクシデント、しかし、加世田は冷静な対応でコースを確認し、自分のペースを維持した。加世田は25㎞を1時間23分43秒と大阪国際女子マラソンの小林の記録より、40秒遅れ、そして、25.8㎞付近で大森が遅れ始めた。
21㎞から26㎞の5㎞は風の影響もあり、ペースが安定せず、タイムの上下動が激しくなった。その中でも加世田、佐藤、上杉はしっかりと先頭集団に付いていった。しかし、28㎞付近で上杉が栗しい表情を浮かべてトップ集団から離れていった。トップ集団は加世田、佐藤を含め、4人となった。
30㎞でペースメーカーが外れると、給水ポイントで佐藤が加世田の前に出て、約2mの差を付けた。「30㎞以降粘っていきたい」と話していた加世田だったが、なかなか差が縮まらず、逆に差が開いていった。しかし、慌てることなく32㎞付近でトップ集団に追いついた。
それでも33.3㎞付近で加世田は再び遅れ始め、佐藤との差が約10mと離れてしまった。加世田との差を広げた佐藤は4年ぶりの名古屋で好走、去年の大阪国際女子マラソンでは日本新記録をマークした前田穂南(28、天満屋)と30㎞付近まで並走していたが、後半離されてしまった佐藤、今大会は35㎞付近でもトップと1秒差、粘りの走りを見せた。
36.4㎞付近では自己ベスト2時間20分02秒のE.チュンバ(31、バーレーン)を抜き、2位に上がった。後半に入ってもリズムが崩れず、トップを走る自己ベスト2時間17分29秒のS.チェプキルイ(34、ケニア)を追った。
残り5㎞でトップのチェプキルイとの差は6秒、追ってきたチュンバと並走し、タイムも上げていった。38㎞付近で佐藤がスパート、並走していたチュンバを突き放した。最後はタイムを確認することなくトップを追っていった。
40㎞では2時間13分42秒、大阪国際女子マラソンの小林の記録を18秒上回った。残り2㎞付近でこれまで表情を変えなかった佐藤がやや口が開き、苦しい表情を浮かべた。
最後まで佐藤はリズムを崩さず、しっかりとした走りを見せて、2時間20分59秒でフィニッシュ。ゴール直後には涙を流した。佐藤は世界陸上参加標準を切って日本人トップ、世界陸上ブダペストに続き2大会連続代表入りに大きく前進した。
レース後、こみ上げる気持ちを抑えつつ「ずっと満足できるレースをしたいと思って、後半ペースダウンせずに走り切れて本当に嬉しいです。自己ベストを出せて、すごく自信になりました」と喜びをかみしめた。世界陸上代表入りも見える中、「レベルアップして世界と戦っていけるような選手になれるように頑張りたいと思います」と意気込みを語った。
【名古屋ウィメンズマラソン2025 上位10位】
優勝:S.チェプキルイ(ケニア)
2位:佐藤早也伽
3位:E.チュンバ(バーレーン)
4位:上杉真穂
5位:加世田梨花
6位:I.バットドイル(オーストラリア)
7位:N.ロジャーズ(アメリカ)
8位:L.ポンペアーニ(オーストラリア)
9位:大森菜月
10位:五島莉乃
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