超人たちが34年ぶりに東京へ!今年9月に開幕する「東京2025世界陸上」を前に、これまで歴史に名を刻んだ伝説のアスリートたちを紹介します。
2013年世界陸上モスクワ大会では、トラックの女王・福士加代子(ワコール、当時31)が、初の国際レースとなったマラソンで銅メダル(2時間27分45秒)を獲得しました。競技場に戻った福士は満面の笑みでガッツポーズ。“笑顔の爆走娘”と言われた福士らしい、ゴールとなりました。
トラックの女王がマラソンに挑戦
トラックの第一人者としてすでにオリンピック™ に3度、世界陸上に4度(2013年当時)出場していた福士加代子。3000m、5000m、10000mなどの中長距離のレースに出場していましたが、2008年からマラソンに挑戦。2013年の大阪国際女子マラソンで日本人最高の2位に入り、世界陸上モスクワ大会の日本代表に選出されました。
大会初日の女子マラソン、炎天下の中、午後2時スタート
2013年8月10日、大会の初日に行われた女子マラソン。日本からは福士加代子、木崎良子(ダイハツ、当時28)、野口みずき(シスメックス、当時35)の3選手がエントリーしました。日本などがボイコットした1980年のモスクワ五輪でも使用されたルジニキ競技場をスタートし、モスクワ川沿いを4往復するコース。当日の天気は晴れで、スタート前の気温は31.7℃、湿度が48%という条件の中、72人が一斉にスタートを切りました。
先頭集団にいたものの、徐々に遅れが・・・
トラック1周半、600mを走り、縦に長い隊列でスタジアムを後にした選手たち。15kmのポイントでは先頭集団は7人で、福士の姿もその中にありました。ここまでは余裕のある軽快な走りでしたが、30kmの折り返しポイントに近づいてきた頃には、先頭集団は3人になり、そのあとを福士が追いかける状況になりました。日陰のない周回コース、厳しい照り返し・・・徐々に口が開き、ストライドも少し小さくなり、福士にも疲れが見えてくるようになりました。先頭集団からは約20m、4~5秒の遅れとなったのです。
我慢の時間が続く中、35km付近で訪れた転機
我慢の時間が続く福士。しかし35km辺りで転機が訪れます。それまで先頭集団にいたエチオピアのM.メルカムが徐々に遅れ始め、福士の射程圏内に。実業団駅伝のエース区間で前にいる選手を捕らえるのが得意な福士を彷彿とさせる状況になりました。
メダルへの執念 スタジアムでは笑顔爆発
そして向かい風の中、メルカムを一気に抜き去り、3位に順位を上げた福士。その後メルカムは棄権し、福士は単独3位のまま競技場へ。そこには満面の笑顔でガッツポーズを作りながら走る福士の姿がありました。かつて“笑顔の爆走娘”と言われた持ち味のスマイルで、観客の声援に応えながら、2時間27分45秒でゴール。世界陸上女子マラソン、日本勢としては2大会ぶりのメダル獲得となりました。
「もうやんない。私には長すぎる」
レース後のインタビューも笑顔を見せた福士。「最後のトラックがこんなに嬉しく走れたことはないですね。よかったー。トラックで走れて良かったです。ちょうど家族も来ていたので監督と初めて抱き合いました。(3位の選手を追っている時は)ちょっと前がいると元気になる感じで、『あっこれが昔の私か』と思って。元気になるな、抜くときってって。初めて違う自分が見られました」と話しました。
一夜明け、改めてレースを振り返った福士は「今までで一番いい大会になった。自分の映像を見て本当に喜んでいたなと思う。(マラソンについては)もうやんない。私には長すぎるから」と冗談交じりで話しました。
東京2025世界陸上 女子マラソン「この選手に注目!」
【外国人選手】
◆シファン・ハッサン(32、オランダ)2時間13分44秒
パリ五輪・金
◆ルース・チェプンゲティッチ(30、ケニア)2時間9分56秒
2019年世界陸上ドーハ・金、24年シカゴマラソンで世界新
※日本代表は選考レース終了
※名前の後ろは自己ベスト
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