民間による年越し支援
多くの公的機関が休業するこの年末年始は、各地で生活困窮者を支援する活動が行われています。
大きなところでは、先月28日にNPOの「自立生活サポートセンター・もやい」などが東京都庁前で食料の配布を行い、700人以上が列を作ったほか、大晦日にNPOの「てのはし」が池袋で行ったお弁当の配布には、350人あまりが集まったということです。
そんな支援活動ですが、東京都府中市の府中公園では先月28日に「年末年始困りごと相談会」が行われました。
生活保護や派遣切り、解雇問題など貧困問題に取り組む団体「府中緊急派遣村」などが主催したもので、弁護士が同席する生活相談や労働相談などが無料で行われました。府中緊急派遣村・共同代表の松野哲二さんです。
――困りごとは、どういうのが多いんですか?
府中緊急派遣村・共同代表の松野哲二さん
「やはり圧倒的に『生活』ですね。今日9時から皆さん待っていて、11時開始の時は40人ぐらいもう並んでて、それでほとんどが『食料が欲しい』と。だけど、食料が欲しいと言うけれども、実際にはいろんな相談につながるということがあります」
結局、この日は100人を超える人が相談に訪れました。相談に来た人の中に、住まいがなく野宿をしているという人がいたため、年明けにアパートに入る段取りをつけたということです。
また、物価高の影響で少しずつ返済していた借金が払えなくなってしまったという人もいました。
府中の隣・国立市で同様の相談会を開いている「くにたち困りごと相談会実行委員会」の代表・山田京介さんは「ここに相談に来る方はすごく勇気を出して来ているから、その思いをしっかり尊重してあげたい」と話しています。
一緒に解決を目指す『伴走支援』
府中緊急派遣村・共同代表の松野哲二さん
「私たちの特徴は、専門家が相談を受けてアドバイスするだけではなくて、市民がみんなサポーターになって一緒に相談を受けて一緒に解決を目指すと。ですから、相談会が終わって次の日からが本当の相談だと。
例えば『じゃあ、市役所で生活保護を申請しましょう。月曜日に役所に行ってくださいね』というアドバイスでは絶対ダメで、『じゃあ、あなたと月曜日何時に市役所の前で会いましょう。一緒に生活保護の申請に行きます』。
あるいは法律相談の時に弁護士さんにただ紹介するだけではなくて『私も一緒に行きますから、最後まで一緒に解決を目指しましょう』という形で『伴走支援』というのをみんながする。まさに人権の砦はみんなが主人公で、相談に来る方と相談員が同じ目線で解決を目指すというのが、私たちの相談会の原点・特徴なんですね」
フードバンクにも物価高の影響が
この日の相談内容は、食料支援に関するものが8割を超えたそうです。
会場では地元のフードバンクによる食品の支給がありました。フードバンク府中の登内譲さんです。
フードバンク府中の登内譲さん
「基本200人分用意してるんですね。お米、アルファ米、これも防災備蓄品なんですけどね。スティックパン。あと、飲料でしょ。パックご飯とレトルトカレーをセットで1個ずつ差し上げました。カップラーメン、あとはお菓子ですね。家族連れ、お子さん連れも多いので。果物を2個ずつぐらい差し上げてますね。
あとは歯ブラシとか、女性向けの化粧品ですとか、生理用品とか。あと今回の特色はですね、福島の支援ということで、福島からお米を300キロ買い付けて、1キロずつ小分けして出しています。あと、古着もいろんなところから寄付していただいて、過去一番集まりましたね」
――今フードバンクに集まるものが減っているという話を聞いたんですが。
「比較的うちは来てる方だと思いますけど、やっぱり寄付が減ってるというのは、やっぱり世の中の状況でしょうね。お米の値段が上がっててお米があまり寄付が少なくなってきたとか、そういったことを言ってるんだと思うんです。他のものもね、みんな同じで」
「相談会」を知った人たちによる支援の広がりも
この日の相談会に訪れたのは相談者だけではありませんでした。
新聞記事にこの相談会の告知が出たことで、自分も何かできないかとお手伝いに来た地元の人や、以前にこの相談会にボランティアで参加し、現在は大学でコンビニの廃棄食品を必要な人に届けるための団体を立ち上げたという学生の姿もあり、支援の広がりも感じました。
(TBSラジオ「人権TODAY」担当:進藤誠人)
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