
ジャーナリストの伊藤詩織さんが監督した自身への性被害事件に関するドキュメンタリー映画が「倫理的、法的に問題がある」と指摘されていることをめぐり、伊藤さんはきょう、「映画の最新バージョンでは個人が特定できないようにすべて対処します」とコメントを発表しました。
伊藤詩織さんが監督した「ブラック・ボックス・ダイアリーズ」は、TBSテレビの元記者から受けた自身の性被害について調査に乗り出す様子を6年にわたって記録したドキュメンタリー映画で、アメリカ「アカデミー賞」の長編ドキュメンタリー賞にノミネートされています。
この映画に対して、伊藤さんの性被害事件に関する訴訟を担当していた弁護士らが、「裁判以外で使用しない」と誓約して提供を受けたホテルの防犯カメラ映像が承諾を得ずに使われているなどと指摘。「取材源の秘匿が守られていないなど、いくつもの人権上の問題がある」と訴えています。
これを受けて、伊藤詩織さんはきょう、都内の日本外国特派員協会で記者会見を開いて経緯などを説明する予定でしたが、体調不良を理由に急遽、中止となりました。
会見場で配布された声明で伊藤さんは「映像を使うことへの承諾が抜け落ちてしまった方々に、心よりお詫びします」と謝罪した上で、映画について「最新バージョンでは、個人が特定できないようにすべて対処します」「今後の海外での上映についても、差し替えなどできる限り対応します」と明らかにしました。
批判を受けているホテルの防犯カメラの映像についてはホテル側から使用の承諾を得られていないとしつつ、「公益性を重視し、映画で使用することを決めた」「性加害の実態を伝えるためには、この映像がどうしても必要だった」とし、意義を強調しました。
また、これに先立って、元代理人弁護士側が会見を開きました。会見は主に海外の記者へ向けて行われ、元代理人弁護士側は会見を開いた理由について、「伊藤さんは映画がかかえている問題について、海外の関係者に正しく説明しているのか疑問がある」とし、「日本と海外の情報のギャップを是正したい」と説明しました。
当時、伊藤さんの代理人だった西広陽子弁護士は「彼女は影響力をもった素晴らしい存在。だからこそ、定められたルールを守り、モラルを守るべきです」と言葉を詰まらせながら話しました。
その上で、映画については「重大な人権侵害の問題がある」と訴え、伊藤さん側に適切な対応を求めました。
・スマホのバッテリーを長持ちさせるコツは?意外と知らない“スマホ充電の落とし穴”を専門家が解説【ひるおび】
・「パクされて自撮りを…」少年が初めて明かした「子どもキャンプの性被害」 審議進む日本版DBS “性暴力は許さない”姿勢や対策“見える化”し共有を【news23】
・【検証】「布団の上に毛布」が暖かい説 毛布は布団の「上」か「下」か 毛布の正しい使い方【Nスタ解説】