ノロウイルスの患者が急増しています。実は、カキなどの二枚貝からだけでなく、身近な「あるもの」にも感染のリスクが潜んでいます。
【写真で見る】カーペット通じて感染した事例も…ノロウイルスは“長期生存”
感染力強いノロウイルス スマホの表面で2~3日“生存”か
南波雅俊キャスター:
猛威をふるっているノロウイルスの症状などを見ていきます。
【ノロウイルスによる食中毒】
▼感染~発症:24時間~48時間
▼主な症状:吐き気・下痢・腹痛・軽度の発熱など
有効なワクチンや薬などはありません。脱水症状を起こす可能性があるため、水分と栄養の補給を充分に行ってください。
【ノロウイルスの主な感染経路】
▼汚染されたカキなどの二枚貝を加熱調理せずに食べた場合
▼感染者の便やおう吐物などを介した「人→人」への二次感染
国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授によると「ノロウイルスは時間がたっても感染力が衰えにくい。いわゆる“生存力”が強い」ということです。
【ノロウイルス“長期生存”】
▼乾燥状態の室内:21~28日
▼冷蔵食品の表面:10日
▼電話の受話器:3日
▼PCのマウス:1~2日
12日以上前にウイルスが付着したカーペットを通じて感染した事例もあります。
松本主任教授によると「スマホの表面に付着したウイルスも注意が必要。2~3日は生存する可能性も」ということです。
特に注意したいのがトイレです。トイレの中でスマートフォンを使用した後に消毒などを行わず、食事中にスマートフォンを使うと感染リスクが高まる恐れがあります。トイレでのスマートフォンの使用は控えて、こまめな消毒をすることが大切です。
国際医療福祉大学 松本哲哉 主任教授:
結局、感染している人がどこからウイルスを出すかというと便です。もし自宅に感染している人がいるとすると、明らかに汚染されているのはトイレです。
トイレに入ってスマホを使うと、スマホにウイルスが移るので、それが感染源となって別の人に移してしまうことになります。
日比麻音子キャスター:
公衆のトイレにある荷物が置けるスペースにスマートフォンを置いてしまうこともありますが、これも気をつけるべきですか。
松本哲哉主任教授:
置いただけで感染することはないかもしれませんが、触るところには気をつけた方がいいと思います。
日比キャスター:
こまめに消毒をするということですね。ノロウイルスになった場合には、すぐに病院に行った方がいいのでしょうか。
松本哲哉主任教授:
基本的にノロウイルスに有効な薬はありません。病院に行った方が良いかの判断基準は、水分や食事が摂れず、脱水になってしまっている場合は医療機関の点滴が必要です。
ただ単純に吐き気が強いだけですと薬はありますが、ピタッと止めるようなものではありません。下痢を止めるような薬は使ってはいけないので、気をつけていただきたいです。もし食事や水分が摂れないなら、病院に行っていただいた方が良いと思います。
日比キャスター:
今村さんもノロウイルスにかかったことがあるそうですね。
歴史・時代小説家 今村翔吾さん:
そのときも対症療法しかなく、水分をたくさん摂った記憶があります。消毒は外に持ち歩くスプレーなどでも良いのでしょうか。
松本哲哉主任教授:
通常のアルコールスプレーのアルコールは効きません。ノロウイルスにも有効なアルコール製品を使っていただくべきです。
今村翔吾さん:
何に適した消毒かをしっかり見て持ち歩いた方が良いということですね。
日比キャスター:
手指消毒はこまめにやっても効果はあるということですよね。
松本哲哉主任教授:
アルコールでの手指消毒は効かないので、石けんの手洗いが重要です。
家族が感染した場合は?
南波キャスター:
ちなみに石けんの手洗いでは、30秒間のもみ洗いと15秒間の流水でのすすぎを2回繰り返せば、ノロウイルスの残存率0.0001%まで下げられるということで、手洗いが非常に有効になってきます。
仮に家族が感染した場合は、電気のスイッチや冷蔵庫の扉、テレビのリモコン、ドアノブなどに注意してください。
感染を広げないためにはどのようにすれば良いのでしょうか。
▼食器など(洗剤などで十分に洗浄後)
熱湯(85度以上)で1分以上加熱か、塩素消毒液に浸して消毒
(次亜塩素酸ナトリウムを水で薄めるなど)
▼ドアノブなど
塩素消毒液で消毒し、消毒後は金属の腐食を防ぐために拭きとる
▼おう吐物などの処理
・ふき取ったおう吐物などはビニール袋に密閉して廃棄
・拡散防止のため、処理が終わってから換気 など
松本哲哉主任教授:
おう吐物にも相当なウイルスがいるので、対応する人が感染する可能性があります。マスクや手袋をして丁寧に扱ってください。その時点で換気をしても良いと思います。
山内あゆキャスター:
家族がおう吐し、片付けなければならない立場になったときに、マスクと手袋をして着ていた服もすぐに洗濯しましたが、それで問題ないのでしょうか。
松本哲哉主任教授:
大体慌ててすぐ処置しようとするので、一旦落ち着いてマスクと手袋をして、それからどうするべきか考えて行動することが大切だと思います。
日比キャスター:
受験シーズンなので、なるべく広げないことを心がけたいです。
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<プロフィール>
松本哲哉さん
国際医療福祉大学 感染症学講座 主任教授
専門は感染症学など 日本化学療法学会 理事長
今村翔吾さん
「塞王の盾」で第166回直木賞 受賞
歴史・時代小説家 30歳までダンス講師
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