仕事を辞めたあと、収入の支えとなる「年金」が今の国会で新たな争点となるかもしれません。政府・与党にとっては「鬼門」とされる年金問題。一体、何が変わろうとしているのでしょうか。
【写真を見る】「消えた年金問題」で大荒れの国会(2007年)
「年金改革」新たな争点に?
13日の衆議院・予算委員会。立憲民主党の野田代表が追及したのは、年金制度改革に関する法案です。
立憲民主党 野田佳彦 代表
「5年に1回、年金制度改革をやるっていうのが通例だったじゃないですか、それが(法案提出の)締め切りに間に合わないっていう理由は何なんでしょうか」
石破総理
「様々なご意見があり、調整に時間を要している」
政府は当初、年金制度に関する法案をあす(14日)までに国会へ提出する予定でしたが、13日、「調整がついていない」として、提出を先送りする考えを伝えました。一体、何が問題となっているのでしょうか。
国会で新たな争点に浮上している「年金制度改革」。政府は「将来受け取る年金額を増やすこと」を目的に、関連法案を今の国会に提出する予定です。
法案では、▼会社員らが入る厚生年金の加入条件を見直し、いわゆる年収「106万円の壁」を撤廃します。▼また、会社員らが入る厚生年金の積立金を基礎年金の底上げを図るために振り向けることなどが柱です。
この方針について、「厚生年金の流用ではないか」と指摘する声もありますが、街の人は…
50代女性
「そのまま普通にもらえるんならいいんだけど、(基礎年金に)分けた分が少なくなる(人が出る)のはちょっと困る。〔Q.不信感などは?やむを得ないと思う?〕(やむを得ない)かなとも思うし、ちょっと納得いかないなっていうのもあるし」
また、年金そのものに対する不信感も。
30代男性
「(年金システムが)信用出来ないですよね。国に期待するよりは、ちゃんとNISAとか自分でやったほうがいいかな」
将来の生活に直結する年金。自民党内からは世論を考慮し、夏の参院選を前に法案の提出を先送りするべきとの声があがっています。というのも、「年金問題」は与党にとって苦い記憶が。
2007年、年金記録およそ5000万件が誰のものか分からなくなり、支給漏れの可能性が指摘された、いわゆる「消えた年金問題」。問題発覚後に行われた参議院選挙で自民党は歴史的大敗を喫しました。
自民党は法案の提出に向け党内調整を急ぐ方針ですが、選挙を見越し揺れ動く状況について野党は。
立憲民主党 野田佳彦 代表
「党内の事情があったりして、政府内の調整があったりして(法案を)出せないとするならば、政権担当能力がないと断ぜざるを得ない状況になることは覚悟いただきたい」
石破総理
「できる限り早期に法案を提出できるよう、最大限努力を致します」
年金への不安は解消されるのでしょうか。
「基礎年金」の底上げ案はどうなる?
井上貴博キャスター:
「年金改革関連法案」については様々な論点がありますが、ここからはすべての人に関係する「基礎年金」について見ていきます。
今の推計ですと、約30年後、様々な要因で基礎年金は2割程度減ってしまうそうです。これを何とか補填しなければいけないということで出てきたのが、会社員や公務員などが加入している「厚生年金の積立金」を基礎年金の財源にするという案です。
ですが、会社員や公務員からすると、「なぜ自分たちが納めたものが基礎年金に回るのか。不公平ではないか」という声もあります。
ホラン千秋キャスター:
枠が違うものなので不安になるのはわかります。
井上キャスター:
政治の動きとしてどうするのか、TBSスペシャルコメンテーターの星浩さんに伺うと、「石破総理から森山幹事長に『年金改革関連法案』の提出に向け調整を急ぐよう指示が出された」ということです。
ただ、夏に選挙を控えた自民党・参院議員からは「年金の話は選挙とあまり相性がよくないので出さないで欲しい」というような“不満の声”もあります。
しかし、「ここは責任政党としてしっかりと筋を通すべきだ」という石破総理の意見は、もしかすると石破総理らしさといえるのかもしれません。
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