「年金制度の充実度」を示したランキングで、日本は48の国と地域で36位。
30日、年金改革の修正案が衆議院を通過した日本の年金制度は大丈夫なのでしょうか。
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世界“年金の充実度”ランキング 日本は36位
日比麻音子キャスター:
マーサーCFA協会のグローバル年金指数(2024年度)によると、世界の“年金充実度”ランキングの1位はオランダになっています。日本は36位という結果になりました。
“年金の充実度”は何を評価しているのか、大きく3つの要素にわかれます。
▼十分性
最低保障年金、家計貯蓄率など
「給付水準が十分かどうか」
▼持続性
出生率、経済成長率など
「持続的に維持できるか」
▼健全性
法規制、ガバナンス体制など
「適切に運用されているか」
これらから、評価されていて、日本はA~Dまである評価の中で「C」という評価になりました。この36位という結果をどのようにご覧になりますか。
マネーコンサルタント 頼藤太希さん:
日本の評価を下げている理由は、「持続性」と「十分性」です。
持続性については、出生率も経済成長率も低くマイナスになっています。そして十分性については、給付水準が高いかどうかが重要になります。
上位の国は、もらえる金額が多いです。それは公的年金に限らず、企業に属していると職域年金にも加入しますが、概ね9割の人たちは強制的に加入しています。そのためもらえる金額も多くなります。
“年金改革”法案で受給額はどうなる?
日比キャスター:
世界と比べると、そもそもの年金制度の違いはありますが、このような現状評価があることになります。
では改めて、年金制度について見ていきます。
日本の年金制度は、いわゆる「2階建て」とも言われますが、まず20~60歳までの全ての人が加入するのが「国民年金」です。そして2階部分に当たるのが「厚生年金」で、会社員や公務員などが加入します。
そしてプラスアルファで、いわゆる3階とも言われるのが、公的年金に上乗せして給付される「企業年金」などになります。「iDeCo」などが含まれます。
2025年度の国民年金の受給額は月約6.9万円(満額)、2023年度の厚生年金の平均受給額は月約15.1万円になります。
「老後2000万円問題」とも言われますが、やはり現実は厳しいものがありますね。
マネーコンサルタント 頼藤さん:
そもそも年金は、年金額だけで暮らせるような仕組みにはなっていません。これは海外も同様で、年金だけでは暮らせないというのが実態としてあります。
年金は一生涯もらうことができるので、年金に加えて、貯蓄や資産形成をしながら老後の生活を送るというのが基本的なスタンスとしてできている制度です。
日比キャスター:
現状「iDeCo」などの加入率が約5割となっていますが、この点はどのようにご覧になりますか。
マネーコンサルタント 頼藤さん:
ここはもう少し増やしていきたいですね。海外は約9割の人が入っています。
「iDeCo」は20~60歳の全国民が入れるので、加入して公的年金の上乗せとして準備していくことが必要になるかと思います。
日本の年金制度はこのままで大丈夫?1位のオランダと比べてみると…
日比キャスター:
年金について不安は絶えないものです。日本の年金制度はこのままで大丈夫なのでしょうか?
ランキング1位のオランダと日本を比較してみます。制度も違うので単純に比べると難しいところもありますが、月収40万円(年収480万円)公務員の場合です。
【月収40万円(年収480万円)公務員の場合】
▼オランダ
保険料:月 約8.4万円
受給額:月平均 約35.6万円(※現役時代の90%)
平均受給:現役時代の約70%
高齢者の割合:約20%(5人に1人)
▼日本
保険料:月 約3.7万円
受給額:月平均 約15.1万円
平均受給:現役時代の約38%
高齢者の割合:約30%(3~4人に1人)
これだけ見ると、オランダは7割ももらえるのかと少し驚きました。
マネーコンサルタント 頼藤さん:
もらえる年金額だけ見るとそうなんですが、相応に負担していますので、高需給をしたいのであれば高負担をしないといけないというのが、わかるのかなと思います。
山内あゆキャスター:
オランダの毎月8万4000円というのは衝撃の数字ですね。
南波雅俊キャスター:
現役世代のお金を保険料に当てなければいけないのは、暮らしが厳しいと言われている中でどうかなと思うのですが。
マネーコンサルタント 頼藤さん:
「老後に安心して暮らしたい」という気持ちはわかりますが、現役世代の暮らしも大事です。人生の幸福度を上げるためには、現在の生活も大事なので、そこをどう求めるかというバランスだと思います。
日比キャスター:
そして、高齢者の割合に関してはオランダ約20%、日本は約30%と高齢化社会が加速化しています。この点に関しても、年金はどのように見ていけばいいのでしょうか。
マネーコンサルタント 頼藤さん:
人口構造の変化であっても年金制度は持続化するように政策をしっかり考えて、国民のために年金改正をしてくれてるんだなと思っておりますし、そういうふうに読み取れます。
南波キャスター:
例えば、韓国も少子高齢化と言われ、逆に保険料を引き上げましたが、日本はここからどう向かっていけばいいのでしょうか?
マネーコンサルタント 頼藤さん:
今後、「たくさん年金をもらいたい」ということや、「給付水準を維持したい」ということであれば、保険料を上げるという道もあるかもしれませんが、今は難しいと思うので、厚生年金に加入する人たちが増えるというところは目指してはいるところ。
あとは、日本経済が成長すれば、年金額も増えます。そこで日本経済をどうしようかと考えたとき、自分が生み出すような付加価値をたくさん提供できれば、経済は成長していくので、そこは年金増額にも繋がっていくのではないかなと思っています。
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〈プロフィール〉
頼藤太希さん
マネーコンサルタント
中央大学商学部客員講師 日本年金学会会員
「人生に必要な年金の常識」など著書100冊
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