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「財源の裏付けのない減税政策はやらない」自民党の物価対策“減税なし”のワケ “2万円給付案”も浮上 総理の判断は【Nスタ解説】

国内
2025-06-06 22:15

夏の参院選を控え、有権者の最大の関心事は「物価高対策」です。総理は「困っている人に、十分に行き渡る物価高対策を考えている」と言いますが、どのような対策が打ち出されるのでしょうか。


【写真で見る】記者が解説 物価対策“減税なし”のワケ


「政治生命をかける」“反対の立場”森山幹事長の発言で減税求める声はトーンダウン

高柳光希キャスター:
石破総理は、物価高対策を考えているといいますが、結局、何をやろうと考えているのでしょうか。


TBS報道局政治部堀宏太朗記者:
自民党内ではつい最近まで、消費税の減税をするかしないかで議論が続いていましたが、現在では、消費税の減税を求める声は消えました


JNNは、政府が6月にまとめる“骨太の方針”の原案を入手しました。

骨太の方針とは、来年度の予算編成に向けて政権の重要課題や政策の方向性について示す文書で、毎年6月ごろに閣議決定されます。

今回の原案では「財源の裏付けのない減税政策はやらない」と、はっきりと示しています。さらに、「賃上げこそが成長戦略の要」だとしています。


政府はよく「物価上昇に負けない賃上げが大事」と言っていますが、そうした中長期的な視点を持ち、経済成長を促進しようという考えを持っています。


減税の声が消えた理由は、自民党の森山幹事長です。消費税の減税について反対の立場をとっていて、「政治生命をかけてでもこの問題に取り組む」と発言しました。

幹事長は、自民党では“影の総理“と言われるくらいに絶大な影響力を持った人物です。

そういった人物が「自分の政治生命をかける」とまで言い切ったのは、党内で相当なインパクトを持って受け止められたと思われます。


参院の有力議員からも、減税の声は様々上がっていましたが、この発言を境にトーンダウンしていった状況です。


「レジシステムを変えるだけで1年」減税実現には法律改正も

TBS報道局政治部堀宏太朗記者:
理由はもう一つあります。減税の実現までに時間がかかるということです。


実現には法律の改正が必要です。法案を国会に通し、審議し、成立させて、周知させる期間が必要になってきます。

事業者側にも商品の値段設定の見直しや値札の貼り換え、レジのシステム改修が必要になってきます。

総理は「(スーパーのレジなど)システムを変えるだけで1年はかかる」と言っています。(5月21日の発言)


高柳光希キャスター:
レジのシステムには「POSシステム」というものがあります。

「POSシステム」は、複数のレジがあるスーパーや小売チェーンなどで導入されており、各レジの売り上げ情報を集計・管理しています。

大手システムメーカーに、税率変更する際にはどれぐらいの期間が必要なのかを聞きました。

A社は「過去の税率変更の際は1年かかった」と話しています。さらに、B社は「税率変更を行った後、全店舗に反映に最大半年程度かかった」と話しています。


日比麻音子キャスター:
明日の食卓を考えるのでも精一杯なのに、1年後どうなっているかというと、これは効果的なのかどうか考えたいですね。


党内から「2万円給付案」浮上

高柳キャスター:
物価高対策について、石破総理は「先決はコメ」だと話しています。


TBS報道局政治部堀記者:
コメの値段が上がっていて、メディアが小泉農水大臣の一挙手一投足に集中し、世の中の関心も集まっていると思います。

もしそんな中で本当にコメの価格が下がれば、政権の一つの成果としてアピールできる可能性はあると思います。


高柳キャスター:
自民党内からは「給付はどうなのか」という声も出ています。

自民党の一部は「税収の上振れ分を使えば2万円の給付は可能」と話しています。実現の可能性はどうなのでしょうか。


TBS報道局政治部堀記者:
あくまで自民党内で浮上している案として捉えてください。

例えばマイナンバーと紐付けた口座に給付する形で行えば、迅速な形で実施ができます。

そもそもマイナンバーの普及自体が課題になっているので、そこにも一役買うのではないかという意見も出ています。


日比キャスター:
立憲からも“2万円”の給付案出てましたけれども、同じ額ですね。


TBS報道局政治部堀記者:
結果的には同じ額になっていますが、考え方が少し異なります。

立憲民主党の案は、食品の軽減税率をゼロにした場合の規模感から逆算していますが、自民党の案は、税収の上振れから考えています。


南波雅俊キャスター:
POSシステムの話から考えると、例えば食品の軽減税率ゼロが実現しても、すぐには全体に浸透しないのでしょうか。


TBS報道局政治部堀記者:
なかなか時間がかかる作業になるかと思います。

こうした給付案は総理の耳に入っていると思いますが、「(実際に)やるのかやらないのか」が今後の焦点だと思います。


公明党参院選公約の“第2弾”を発表

TBS報道局政治部堀記者:
6日、自民党と連立を組む公明党が選挙公約を説明しました。

そこには、これまで訴えてきた消費税の減税を盛り込ませんでした。財源の確保が難しいとしています。

そして、生活応援給付として、税収の上振れを国民に還元することを盛り込んでいます。

そのため、自公政権下では今後、消費減税をしないことは外から見たら一致していますが、給付案の動向は注目されるところです。


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〈プロフィール〉

堀宏太朗
TBS報道局政治部 総理官邸担当
元巨人担当“無知”の政界に移籍通告


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