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参議院選挙の大きな争点の一つ「コメ政策」 年収1000万を目指す急成長農業法人を取材 若手社長「コメを作るには人を作らないと」規模関わらず「農家の所得補償を」【news23】

国内
2025-07-09 14:20

参院選を前に投票に役立つ情報をお伝えするシリーズ「選挙の日そのまえに」。8日は、参院選の大きな争点の一つ、「日本のコメ政策」についてです。今後、コメ価格を安定させるには、どのような政策が必要なのでしょうか?農家の高齢化が進み担い手不足が深刻化する中で、「コメを作るには人を作らないと絶対にできない」と訴える農業法人の若手経営者を取材しました。


【写真で見る】各党のコメ政策(JNNアンケートより)


再び“コメ騒動”にならない政策は?

8日、ローソンのおにぎり売り場には、塩にぎりの棚の上に、新発売の塩にぎりが並んでいました。新発売のものには、「令和5年産米」という表示が。

古米(2023年産)だけを使ったおにぎりの販売は今回が初めてで、価格は税込み127円。新米を使ったものより22円安くなっています。


「120円台は安いなと思います。昔はおにぎり100円で全部買えたかなっていうイメージだったんですけど、今はもう200円ぐらいするものがいっぱいあるので」


コメ不足により、2025年5月にはスーパーでの平均価格が5キロ4285円という前代未聞の価格まで高騰。

その後、備蓄米の大量放出などで6週連続で下がり、直近では3672円になりましたが、以前までの2000円台にはほど遠い状況です。


一時は、スーパーの棚からコメが消える事態に陥った ”令和のコメ騒動”。日本の「主食」の足元が揺らぐ中、有権者は…


50代・自営業
「前みたいに普通の値段になってほしいですね」

50代・会社員
「(コメが)なくならなくて、並びもしないで、いつ行っても普通に買える状態が一番ありがたいです」


一方で、農家の平均年齢は69.2歳。平均所得は114.2万円(兼業農家も含む)と、このままでは農業を続けていくことも難しい状況になっています。


農家「コメ作るには人がいないと」

この事態をどう打開していくのか。

「日本農業の生産能力を高め、未来永劫継承する」というビジョンを掲げ、AIを活


農業法人「中森農産」中森剛志代表
コメを作るには人を作らないと絶対できないということです。“コメを増やさなきゃ”と言っていますけど、人がいないのに作れるわけがない」

36歳の中森代表は、高齢で後継ぎがいない農地を借りながら、年々規模を拡大。約330ヘクタール=東京ドーム70個分もの広大な土地を管理しています。


社員の平均年齢は30代前半。若い人材を集めるために、週休2日制度を導入し、社員の年収1000万円を目指しているといいます。

引退する農家が増え続ける中、中森さんが今後のコメ政策に求めることは…


農業法人「中森農産」中森剛志代表
「全国の6割の農地が10年後、20年後、担い手が今、未定の状態なので、必要量を供給していくと考えたときに、みんな大規模化しなきゃいけない。再生産可能な価格ではなくて、規模拡大可能な価格を農家自身でも醸成していかないといけないし、政府としてもそこをターゲッティングしてほしい」


担い手を増やしていくためには、点在する農地を集約し、生産コストを下げることが重要だと中森さんは話します。


「農家に補償を」主食コメの未来は?

ただ、難しいのは大規模農家への支援だけでは安定したコメの供給ができない、ということだと言います。


農業法人「中森農産」中森剛志代表
「兼業農家は規模が小さい。そこに対して、補助しなくていいというわけではないので、兼業農家が支えている部分もきわめて大きいので、彼らにも農業を続けてもらう必要がある。(求めるのは)農家の所得を補填するというやり方。農家に直接所得を入れれば、より生産意欲が増して、供給が増えて、価格が下がるというのは当然。それは消費者にも恩恵がありながら、生産者にも恩恵があるので、そうあるべき」


農家にお金を使うことも必要だと強調しますが、こうした声に有権者は…


30代・専業主婦
「農家の方がいるからこそ、美味しいコメや野菜を食べられるので、変なところに税金を使われるくらいなら、そっちの方がむしろ使ってほしいと思う」


60代・会社員
「(所得の)補填があって持続可能とは言えないですよね。だから補填なく持続可能な農業がいいと思います。農家が儲かれば一番いいのかなと思います」


安定的に供給できる体制を作る…日本の「主食」の未来は、どうなっていくのでしょうか?


各党のコメ政策は?

小川彩佳キャスター:
大規模農家の中森さんからは「米を作るには人を作らないといけない」という言葉もありましたけれども、小規模農家にもやはり続けていってもらう必要がある。とにかく担い手が足りないということでした。


国際情報誌「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
大規模農家が今6割ぐらい作っているわけですが、そこでも高齢化が進んでいるという話もありますよね。だから中森さんのおっしゃることもよくわかります。

ただ、先々を考えると、小規模農家の土地が耕作放棄地になっていかないように、大規模に農家に集約できるような動きはずっと続けていかないと、いま言ったような、持続的な安全保障にもなるような農業はできないのだろうなと思います。

藤森祥平キャスター:
参議院選挙を控え、各党がどのようなコメ政策を考えているのか。JNNがアンケートを行い、回答の抜粋をお伝えします。


自民
●円滑な流通確保
●備蓄体制の確立
●水田政策の見直し

公明
●中長期で増産方針を明確に示す

立憲
●戸別所得補償をバージョンアップ
●就農支援の資金を10倍に

維新
●アメリカからの輸入拡大
●若者の就農促進

共産
●生産量の確保
●備蓄米を2倍に
●農家の労働報酬を保障


国民
●直接支払い制度の再構築
●主食用米の増産

れいわ
●農林予算を倍増
●戸別所得補償導入

参政
●直接所得補償を進める
●生産者の準公務員化

社民
●所得補償の実現
●休耕地の活用

保守 ※党HPより
●農林水産の就業人口 増大・増産
●国内産品の国内消費推進


小川キャスター:
消費者としては、コメ価格の高騰は困る。一方で、生産者もしっかり守らないといけないという中で、各党の公約が出ていますが、どういったところに注目して選挙に向き合っていけばよいでしょうか。


国際情報誌「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
各党の公約は、どうしても農業票も欲しい。かといって消費者の票も失いたくないわけです。

皆に受けの良い言い方をして、その分、抽象的になっていると思いますが、自分なりにポイントを作って公約も見ていきたいです。

例えば私自身の場合は、日本のコメの流通は非常に多段階流通になっている。いくつもの卸売業者や、集荷業者作業、小売りが重なっているので、私は多段階流通をなるべくシンプル化するような訴えをしている政党に注目したい。

それから、輸出を拡大しなければ安全保障にも繋がっていかないので、米の輸出拡大をきちんと訴えている政党があれば、少なくともこの問題ではその政党に1票入れる気持ちになるかもしれません。

それぞれの方が、自分のポイントになる点を1つか2つ考えて、そこが公約に入っているかどうかを探してみるのもいいのではないかと思います。


小川キャスター:
そういったポイントをどれだけ説得力を持って語ることができているのかということですね。


国際情報誌「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
そこから各党の本気度をのぞき見てみたいなと思ってます。


藤森キャスター:
論点がたくさんあるので、具体的に書かれてる内容をしっかり吟味していきたいですよね。

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<プロフィール>
堤伸輔さん
国際情報誌「フォーサイト」元編集長
政治から社会問題まで幅広い報道に携わる


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