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海外メディアが参議院選挙で注目する「参政党」と「日本の選挙制度」 一方でテレビ報道は「ビビりすぎ」との指摘も【news23】【選挙の日、そのまえに】

国内
2025-07-10 12:46

20日に投開票を迎える参議院選挙を日本で取材する海外メディアの駐在記者。注目しているのは勢いを増す「参政党」、そして「日本の選挙制度や報道のあり方」だといいます。彼らの目にはどう映っているのでしょうか。


【写真を見る】「テレビの選挙報道」に有権者が期待すること


「参政党」の動きに注目 ロイター通信の記者

3日、都内で行われた参政党の街頭演説には、ロイター通信東京支局の記者でイギリス出身のティム・ケリーさんが取材に訪れていました。

「日本人ファースト」を掲げる参政党。


参政党 神谷宗幣 代表
「どんどんと外国人の方が来られています。窃盗や強盗が始まったら安心して暮らせないでしょ。今まで間違えたんですよ。男女共同参画とか。申し訳ないけど、高齢の女性は子どもが産めない」


神谷代表の発言が物議を醸す中、7月のJNNの世論調査では「比例代表での投票先」で「参政党」は自民党、立憲民主党に次ぐ3番手に付けました。


参院選の比例代表の投票先 JNN世論調査(7月5・6日実施)
自民党 25%
立憲民主党 12%
参政党 9%
国民民主党 8%
有効回答 1010人(43.3%)


こうした勢いにティム記者は注目しています。


ロイター通信 ティム・ケリー 記者
「参政党は新しい政党で右の方の政党、あと外国人に対して色々言う政党。欧米を見ると、ポピュリズム的な人物は結構います。アメリカだとトランプ大統領。日本にはそういう人はまだいない。今回の選挙でこれを見て、日本の方向はどういっているのか、興味があるんです」


日本での取材歴25年のティム記者。そもそも街頭演説は世界的に珍しいといいます。


ロイター通信 ティム・ケリー 記者
「私はイギリス出身だが、街頭演説はあまりしない。日本の場合は戸別訪問が禁止されているから、どうやって有権者と対話できるのか考えると街頭演説しかない。選挙カーに乗って道を回って、自分の名前を繰り返し言うのも日本の特徴」


さらに…


ロイター通信 ティム・ケリー 記者
「日本だと政治家はあまりテレビに出ない。普通に朝のニュース番組とかバラエティー番組に出演しない、日本は。(Q.候補者がテレビ出演して政策をアピールする?)よくありますね、イギリスでは。そこで質問に答える。結構厳しく質問されます、テレビで」


テレビの選挙報道について日本の有権者は..


会社員(30代)
「テレビでは(情報を)得ない。ネットとかXを見て。偏った情報だけが一方的に送られてしまうので自分で入手する方が正確」


スーパー店員(50代)
「(情報は)ほとんどテレビ。昔と比べたら柔らかい感じで報道している、当たり障りない感じ」


会社員(20代)
「テレビ越しだと演出されているのかなとか、脚本があるのかなと疑って見がちなところはある」


「公平性を重視しすぎ」 ドイツでは討論番組の“ファクトチェック”も

ドイツ公共放送のプロデューサーのマライ・メントラインさんは、日本の選挙報道が公平性を重視しすぎていると感じています。


ドイツ公共放送のプロデューサー マライ・メントラインさん
「ちょっとビビりすぎなんじゃないかという気もする。公平性がありすぎると自由な議論ができなくなってしまって、質が下がってしまうから視聴者も不満が溜まるでしょうし」


ドイツの代表的な討論番組では、出演した政治家らの発言に誤りがないか「ファクトチェック」を行った結果を、次の放送などで紹介しています。


ドイツ公共放送のプロデューサー マライ・メントラインさん
「必ずファクトチェックが後で入るというのをみんなわかっていて、視聴者もそれを楽しみにしている」


政治をめぐるデマや真偽不明の情報がネット上に拡散する今、日本のテレビに求めるものは...


ドイツ公共放送のプロデューサー マライ・メントラインさん
「ネットなどでは『そうなんだ』『こうだった』とか情報が漏れているわけなので、それが憶測を呼んで全然そうじゃなかったとしても、そこにきっと何かがあったのではということになってしまう。もっと積極的に報道したら視聴者も楽しくなるんじゃないかと思う」


SNSで“憶測”拡散の今 テレビの選挙報道のあり方は

小川彩佳キャスター:
「憶測」という言葉がありましたが、私も先週、news23で放送した党首討論の後にお休みをいただいたことで、「討論の影響があったのではないか」という憶測が広がってさまざまなご心配をおかけしてしまいました。本当に前から決まっていたお休みが、たまたま党首討論の後というタイミングに重なっただけだったので、憶測が独り歩きして既成事実化してしまう恐ろしさを感じました。ここまで広がるとは思わなかったです。


藤森祥平キャスター:
「公平性を重視し過ぎ」など、われわれ、真剣に受け止めなければいけない指摘が多いですね。


TBS政治部 岩田夏弥 部長:
「公平とは何か」というのは、この間ずっとテーマにもなっています。例えば各政党ごとに同じ時間で伝えるという、いわゆる“量的な公平”は簡単ですが、それだといろいろなことが伝わらないと思います。

そうしたことに縛られすぎずに、事前の報道をどう充実させて、有権者が投票するときの判断材料を提供できるかということがすごく問われていると思います。

そうした中、今起きているのが「参政党」の動きです。JNNの7月の世論調査でも、比例代表での投票先で3位まで急上昇しています。

「参政党とは何か」「どうしてこれだけ支持が広がっているのか」ということは、やはり皆さんも知りたいことですし、われわれも取材しなければいけないことです。

各党、同じ時間を使って報道しようとすると、参政党の動きをしっかり伝えることもできませんから、一つの大きなニュースとして、日本で起きていることを伝えるという意味で、参政党とは何か、何を主張している党なのか、間違っていないのか、実現できるのかなど、いろいろな観点で伝えるということもすごく大事だと今は考えています。


藤森キャスター:
今まではどうしても尻込みするというか、一歩後手になるようなことも積極的に動いていくということですね。


TBS政治部 岩田部長:
むしろ積極的にやっていかないと、有権者にしっかりした情報を提供できないのではないかというところです。


トラウデン直美さん:
これまでは「平等」ということが念頭にあったからなのか、どうしても時間が短いように感じてしまう場面は結構あったと思います。しかし、SNSで切り取られた動画が拡散されたりすると、『平等ってなんだろう』『公平って何だろう』という気持ちにもなります。

選挙報道をするにあたって、「参政党」のようにSNSでどんどん広がり勢いがある政党でも、新しい政党だったりするとなかなか大きく取り上げることは(少なかった)。これまでは主要政党がメインになってしまうのは避けられないことだったのでしょうか。


TBS政治部 岩田部長:
主要政党というのは、過去・直近の選挙も含めて大勢の人に支持されたから主要政党になっているわけです。

その政党が国会の中では中心にいて、いろいろなことを決めるときに重要な役割を担ってきたとなると、まず、その人たちが何を考えて選挙に臨んでいるのかというのは、選挙全体として伝えるべき大事なことではあるはずです。

一方で、それだけやっていればいいわけではなく、そこに不満を持つ人たちや、新しい動きが出てきたときに、『新しい動きだけど小さいから』と言って、見られなかったら伝わりません。なので、バランスも考えながら、しっかりそういったことを伝えていく。

それからネット上には本当にいろいろな情報がありますが、取材をしてファクトに基づいて、しっかり伝えるということが何よりも大事だと思います。


小川キャスター:
選挙特番もありますが、本来、選挙特番で放送するような情報を選挙の前に伝えなければいけないわけですよね。


トラウデン直美さん:
去年の選挙特番の際、「できるだけ取材に行きたい」と言って取材に行きましたが、その現場で見てきたものってすごく面白いんです。

各候補者が有権者とどういうコミュニケーションをとっているか、どういう選挙活動をしているかという姿を見て、『選挙ってこういうふうに動いているんだな』と感じました。

応援に来ている人や応援の声、野次の声を見るというのは、事前に空気を感じるという意味でも、『(選挙が)終わった後より、前に見たいものだな』と、去年の取材経験から私自身がすごく感じたことです。

もちろん公平・平等はとても大事なことですが、もっと出していける情報はたくさんあるのではないかと思います。


選挙報道 求められる“ファクトチェック”

小川キャスター:
実際、有権者はテレビの選挙報道にどんなことを期待しているのでしょうか。街で聞いてきました。


大学生(10代)
「1個あたりの政党の時間を多くして、思考の背景を深掘ってくれるとすごく見ていて、選挙の参考にもなるし政治のことも知れるし、良いかなと思います」


会社員(20代)
「テレビとかって、分かっている前提で報道している内容もあるので、わかりやすい内容にしてもらえたら若い人にも関心持ってもらえるのかな」


会社員(30代)
「あまり名が知られてない無所属の方とかだと、あまり目に触れることも少ないので、そういった方たちを知れるような機会が設けられたら嬉しいかな」


教員(60代)
「SNSの怖さって、結局誰も検閲が入っていないところ。一つひとつファクトチェックしていく機能をメディアはちゃんと持たなきゃいけない」


小川キャスター:
SNSなどの情報がダイレクトに届く今、ファクトチェックが大事なポイントですね。


TBS政治部 岩田部長:
いろいろな情報があるだけに、それぞれの情報が実際はどうなのかというのは、街の声を聞いても「本当なのか」と思っている様子が伺えました。

メディアはもちろんその仕事をしっかりやらなければいけないですし、そういうことを皆さんが思っていることもとても大事です。「本当かな」と思って別のところを調べてみるということも大事でしょうし、選挙を通じていろいろなことを勉強でき、知ることができるというのは大事だと思います。


小川キャスター:
参政党をめぐっては外国人政策についてもさまざまな情報がありますよね。


TBS政治部 岩田部長:
JNNの世論調査でも、例えば不動産の取得や入国管理、規制を強めるべきだという人が78%にのぼっています。だから規制を強めればいいということではなく、それだけの人がそう思っているのが今の時代だということです。そういう社会で何が起きているのか、取材して調べることは大事だと思います。

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<プロフィール>
岩田夏弥
TBS報道局 政治部長 元官邸キャップ
小渕総理以来 主に政治取材を担当

トラウデン直美さん
Forbes JAPAN「世界を変える30歳未満」受賞
趣味は乗馬・園芸・旅行


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情報提供元:TBS NEWS DIG Powered by JNN

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