続投を表明した石破総理への“退陣圧力”が、日増しに強まっています。その“石破おろし”の背後には、ほとんどなくなったはずの派閥の影が見え隠れしているようです。
「責任を全うしたい」続投意欲も…党内噴出の“石破退陣論”
日比麻音子キャスター:
25日午前10時から、与野党の党首会談が行われました。この中で、石破総理から野党党首らに、日米関税交渉についての合意内容の説明がされました。
石破総理は「両国の国益に一致する形での合意を実現することができた」と説明したそうですが、自身の進退について詳しく触れることはなかったということです。
ただ、▼国民民主党の玉木雄一郎代表は「(総理の)話を聞いていると、続投への強い意欲を感じた内容でした」としていて、▼共産党の田村智子委員長によると「(総理は)最後に『やめません』というふうに一言、言っていました」ということです。
石破総理は自身の進退について、21日の参院選後には「米国との関税措置にどのようにして対応していくか、引き続き我々自由民主党は政権運営に当たっていきたい」と話していました。つまり、“関税交渉が進退を判断する材料である”という発言をしていました。
今回、「関税交渉の合意」という一つのゴールを迎えましたが、24日、「引き続き全力を尽くしていきたい」と発言し、続投の意欲を改めて示した形となっています。
党内の反応や理解など、どのような状況でしょうか。
TBS報道局政治部 中島哲平 官邸キャップ:
自民党内において、石破総理の続投に対する理解は広まっていません。自民党所属の議員のみならず、これまで石破総理が大きな支持を得てきた自民党の地方組織からも退陣を求める声が上がってきています。
なかなか石破総理の続投への理解は、進んでいないというのが現状です。
日比キャスター:
それでも、なぜ石破総理は続投の意思を示しているのでしょうか。
中島キャップ:
石破総理周辺に取材すると「関税の責任を全うしたい」ということです。
交渉は合意したものの、合意内容の詳細を詰めきれていない部分があったり、課せられる15%の関税に対する日本の国内産業への支援策などに責任を持ちたいということです。
また、アメリカの交渉担当であるベッセント財務長官からは、「関税交渉の合意内容がきちんと履行されていない場合、関税を25%に戻すこともある」という話もされていますので、今回の合意がしっかりと履行されるタイミングまで責任を持って進めたいというのが石破総理の考えのようです。
日比キャスター:
あくまでも合意という段階なので、実施・実行に繋がる過程に責任を持ちたいということですね。
舞台は「両院議員懇談会」「両院議員総会」へ…参院選大敗の責任はどこに
日比キャスター:
25日、自民党の青年局から事実上の退陣要求などもあったということです。党所属の若手議員から「ノー」を突きつけられるということは、今までもあったことなのでしょうか。
中島キャップ:
若手議員個人が総理などへ退陣要求をすることはありましたが、青年局という自民党の公式の組織から、トップである石破総理に退陣を求めるというのは異例だといえると思います。
日比キャスター:
28日、自民党では「両院議員懇談会」が予定されていますが、そもそもこの「両院議員懇談会」とはどういうものなのでしょうか。
中島キャップ:
「両院議員懇談会」は、衆院選や参院選など党の大きな節目の後、自民党議員の声や意見を聞く場として設けているものです。
日比キャスター:
当初、両院議員懇談会は7月31日に予定されていましたが、28日の開催に変更されました。
「28日」は参院議員の任期満了日になり、両院議員懇談会には、参院選で落選した議員も出席できるということです。
参院選で落選した佐藤正久参院議員は「けじめをつけないと、組織の健全性という観点からダメだと思う。石破総理は退陣せざるを得ない」としています。
さらに、参院選で落選したほかの参院議員からも「総理が辞任するところから始めないといけない」という声があがっているということです。
中島キャップ:
自民党内で石破総理への不満はかなり高まっています。
本来であれば、両院議員懇談会は何かを決定する会ではなく、意見を聞いて議員たちのガス抜きをする意味合いが強い会です。ここで石破総理が参院選を振り返り、なぜ続投するのかなどを話して、理解が得られないと、その後も“石破おろし”の動きが加速する可能性があります。
28日の「両院議員懇談会」と同時並行で、自民党の「両院議員総会」開催に向けて、所属議員らが署名活動を行っています。
「両院議員総会」は、▼所属議員の3分の1以上の要求があれば開催でき、▼石破総理への辞任を求める決議や、総裁選の開催などを求めることができます。
署名活動は、旧安倍派・旧茂木派、そして麻生派の議員を中心に行われていて、ある意味政局が始まっているのではないかと見る人もいます。
日比キャスター:
解散したはずの派閥単位で動いているということですか。
中島キャップ:
解散した派閥単位ではありませんが、ある程度連携しながら動いている面もあります。
日比キャスター:
自民党のトップである石破総理は、参院選で大敗した責任を取るべきなのかもしれませんが、永田町の都合ではなく、国民との約束を果たすかどうかが重要ではないでしょうか。
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〈プロフィール〉
中島哲平
TBS報道局政治部 官邸キャップ
過去に石破氏のドキュメンタリー映画制作
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