密輸を未然に防ぐ羽田空港税関を密着取材!違法薬物密輸の瞬間をカメラがとらえました。
■「自分のじゃないから!」大量のたばこがスーツケースから…
インバウンド需要の増加で、いま、多く外国人が訪れている、日本の空の玄関口「羽田空港」。
彼らが持ってきている巨大なスーツケース。その中身は…
アメリカから来た男性
「ハンディファンだよ。日本は暑くて、湿気のレベルが違うからね」
中国から来た女性
「ウェットのトイレットペーパー、濡れているやつ」
「(中国では)2、3年前からみんな使用するようになっている」
アメリカから来たという夫婦が持ってきたのは、意外なアイテム。
アメリカから来た夫婦
「縄跳びだよ。彼女は縄跳びのアメリカ代表なんだ」
「縄跳びの世界大会のために日本に来たのよ」
一方で、いま増えているのが、「禁止品の持ち込み」や「薬物の密輸」です。
ここは、東京羽田空港内にある東京税関の検査場「羽田税監支署」。
税関の仕事の1つが水際対策。入国審査を終え、到着出口の一歩手前で、税関職員や麻薬探知犬などが日々、目を光らせています。
ベトナム便で日本に来た男性が持って来たのは、巨大なスーツケース3つです。職員が「中を確認したい」と伝えますが…
職員
「(カギの)番号がわからない?」
ベトナム便で来た男性
「(カギの)番号わからないです」
スーツケースが開けられない。そこでX線の機械に入れると、スーツケースには大量のブロックのような影が。
職員「たばこっす」
Nスタ「どれがたばこですか?」
本人の許可を得て、鍵を壊します。鍵を壊し、出てきたのが“大量のたばこ”です。
職員
「これ何かわかる?見て!見て!」
ベトナム便で来た男性
「わかんない」
男性が持ってきたのは“ベトナム製のたばこ”。その数なんと約3万本です。
紙巻きたばこの免税範囲は「一人200本」。それを超えると200本につき3000円の税金がかかります。つまり…
職員
「税額が約42万円」
すると、男性が驚きの主張をします。
ベトナム便で来た男性
「それ、自分のじゃないから」
職員
「持って来たでしょ!あなたが」
ベトナム便で来た男性
「お金ないから!これ自分のじゃないから!弁護士呼ぶから!」
職員
「あなたが言いたい事はわかります。だけど、日本に持って来たのはあなたなんだから、責任はあなたにある」
悪質な場合、関税法では5年以下の拘禁刑、もしくは1000万円以下の罰金、または、その両方が科される可能性のある重い罪。
男性は結局、税関職員の説明に納得。たばこは全て放棄し、処分されました。
■「うわーでた」持ち主無しのスーツケースで緊急事態
一方、別のレーンでは緊急事態が発生していた。
職員
「最悪だ!」
ことの発端は、持ち主無しでやってきた一つのスーツケース。そこから出てきたものが…
職員
「うわー出た」
一体、何が!?
この前日、やってきたのは荷物の持ち主、20代のアメリカ人の男。一見、“日本好きの外国人”ですが…
職員
「滞在は?」
アメリカから来た男(20代)
「3日間だよ。おそらく大阪かな。そこに行きたい。また時間があれば、富士山にも行きたいね。ハイキングをしたい」
この時、男が持っていたのはリュックサック一つのみ。出てきたのは、スナック菓子のようなものと…
アメリカから来た男(20代)
「任天堂スイッチだよ。早くスイッチ2が欲しいね。まだ続ける?」
帰りたがる男に税関職員は、薬物などの禁止品リストを見せます。
実は、このとき税関職員はやり取りや仕草から“薬物密輸”の可能性があると疑いをかけていたのです。
この翌日、税関職員たちの前に届いたのは、あの男の別の荷物。実は、輸送トラブルで荷物の到着が1日遅れていたのです。
航空会社立会いのもと、職員がスーツケースをチェック。すると出てきたのが…大きなメープルシロップのボトル。さらに荷物を調べていくと、服の中から続々と18本ものボトルが出てきました。
職員
「とりあえず1本だけ(検査)かけて…」
その中身を薬物検査の機械にかけてみると、出てきたのは「THC(大麻成分)」です。ほかの全てのボトルからも検出され、重さは合計17㎏にも及びました。あの陽気な男は凶悪な麻薬密輸犯だったのです。
大麻の密輸は、関税法では10年以下の拘禁刑、もしくは3000万円以下の罰金、または、その両方が科される可能性があります。
男は関税法・麻薬及び向精神薬取締法違反容疑で、滞在先のホテルで逮捕。現在も捜査が進められています。
実はいま、違法薬物密輸の摘発が増えています。
ブラジルから来た女
「隠すことは何もないです。なぜ私を罠にはめようとするの?」
そう語る女の体内を病院で検査をすると、合計100個以上の小袋が。末端価格約2500万円のコカインが出てきたのです。
羽田空港における違法薬物密輸の摘発は、過去最高だった2024年の約50件に対し、2025年は6月時点で40件以上。
東京税関 羽田税関支署 日諸渉 次長
「闇バイトが非常に増えています。『外国に行って荷物を持ってきてください』と、その中に薬物が入っている。知らず知らずのうちに薬物の運び屋にされると、こういったケースも非常に増えています」
■巧妙な手口での密輸 “日本最後の砦”は夜でも目を光らせる
時刻変わって午後10時過ぎ。深夜帯でも多くの人数で構える税関職員たち。その理由が…
東京税関 羽田税関支署 滝川英将 税関広報広聴官
「この時間、摘発が過去に多い要注意の便が入ってくるので…」
そこにやって来たのは、ブラジル国籍の20代の女。
職員
「たばこは無い?」
ブラジルから来た女(20代)
「持っているわ」
聞けばこの女、ブラジル・サンパウロからエチオピア、そしてタイ・バンコクを経由して日本へ。長距離の移動にも関わらず、持って来た荷物は手持ちのバッグとスーツケース2つだけ。
“薬物密輸の恐れあり”と見た職員は、女を検査室に誘導。電話通訳を通じて女に事情を聞くことにしました。
職員
「日本には何をしに来たんですか?」
ブラジルから来た女(20代)
「観光よ。有名な観光地に行ってみたくて。疲れもあるから車やバスに乗って訪ねてみたいと思っているわ」
まずは女の許可を得て荷物を確認。出てきたのは衣類やヘアアイロンなどで、違法薬物は見つかりません。女は落ち着いた様子です。
念のため、スーツケースの内部をぬぐい、薬物検査の機械にかけることに。すると、コカイン反応が。
もう一度スーツケースの中を調べます。しかし、それらしきものは見つかりません。
続いてはボディチェック。
女性職員
「ブラジャーの部分に何か入ってるか、教えていただいてもいいですか?」
ブラジルから来た女(20代)
「胸の形を良く見せるように入れているのよ」
女は、あくまでも「補正用の下着」だと主張します。
女性職員
「パット部分がすごく分厚かったんですけれど。病院に行ったときに脱いでもらえると思うので」
女は緊張のせいか、暑がる様子も…
ブラジルから来た女(20代)
「これから病院に行くの?飛行機を3つも乗り継いで、もうヘトヘトよ」
その後、説得し病院に行くと…
東京税関 羽田税関支署 日諸渉 次長
「ブラジャーの中に、コカインの水溶液を隠匿していました」
病院での検査後に再度調べたところ、下着の中から水で溶かし、ビニール袋に入ったコカインが大量に発見されたのです。
巧妙な手口を使った密輸でした。女が運んでいたのは重さにして1.4kg。末端価格約3500万円分のコカイン。
女は関税法・麻薬及び向精神薬取締法違反容疑で逮捕されました。
禁止薬物の日本への持ち込みを水際で防ぐ、東京税関・羽田税関支署。
薬物の蔓延を未然に防ぐ“日本最後の砦”として、日々、目を光らせています。
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