自民党と日本維新の会が連立政権の発足で実質的に合意する見通しとなりました。自民・維新の連立で、政治や私たちの生活はどう変わるのでしょうか?(10月20日「Nスタ」午後4時40分ごろの放送より)
【画像を見る】連立政権「閣内」「閣外」自民・維新それぞれのメリット
閣外協力の連立政権とは?自民にメリットなし…維新は政策実現のプラスに
高柳光希キャスター:
20日午後6時、自民党と日本維新の会は連立政権の合意文書に正式調印を行う予定です。
そして、21日に行われる総理指名選挙では、いよいよ高市早苗総理が誕生することが確実な情勢となりました。
気になるのは、政権の枠組みについてです。
自民側は維新へ「閣僚入り」を打診していましたが、維新側は「入閣しない方針」で「閣外協力」を検討しているということです。
19日、維新の馬場前代表も「政党同士というのはすぐに信頼関係が構築されるものではない」「私はスタートするときは閣外がいいと思う」と発言しました。
連立政権を組むということは、閣内での協力ではないのかと思っている方もいると思います。そもそも、閣外協力の連立政権とはどういうことなのでしょうか。
さらに、閣外での連立となると維新が掲げる12の“政策”がありますが、これはどこまで政権に実効性があるのでしょうか。
TBS報道局政治部 岩田夏弥部長:
「連立」というと、普通は閣僚が入る形をイメージされますが、馬場前代表も言うように、自民党と日本維新の会はまだ信頼関係がそこまで構築されているわけではないですから、まずは閣外での協力を始めたいということです。
▼閣内協力のメリット
自民:政権運営が安定する
維新:大臣ポストを得て、より主体的に政治を動かせる
▼閣外協力のメリット
自民:なし
維新:“合意を守らなければ連立解消する”と自民にプレッシャーをかけつつ、政策実現のプラスに
今回は閣外の協力なので、維新から大臣は入らないことになります。そうした意味で、維新は今回閣外協力の形をとって、合意する政策を着実に実現してください、一緒に実現していきましょう、というところから始めていきたいのだろうと考えられます。
メリットなくても一番重要なのは総理指名選挙 まずは「高市政権」をスタートさせたい
高柳キャスター:
20日午後3時頃、維新の藤田共同代表の話では、「閣外協力というかたちで一段落としていつでも逃げられるようにということをご指摘いただく方もいらっしゃいますが、私にはそういう気持ちは寸分たりともありません」と発言しています。
岩田政治部長:
当然こうした指摘はされますが、藤田共同代表としては「いや、そんなことはない。自分たちは閣外だけれども、一生懸命に高市政権と一緒にやっていくんだ」ということを改めて表明しているわけです。
井上貴博キャスター:
確かに維新の立場から考えると、1足飛びに連立にして維新がなくなるというリスクを考えると、「閣外」という慎重な選択をしたのだと思いますが、政策ごとに閣僚は送り込みません。政策ごとに話を進めていきたい。これは国民民主党もやりたかったことではないですか。
岩田政治部長:
高市氏の側からすれば閣外協力によって自民党にメリットがなくても、一番重要な総理指名選挙でより多くの方に名前を書いてもらって、1回で過半数を超えたい。1回目で超えられなかったとしても決選投票で堂々と勝ちたい。そして「自民党高市政権」を順調にスタートさせたいということです。今回の合意によって維新が高市氏の名前を書くと明言していますので、そこから高市氏としては政権をスタートさせていきたい。
逆に高市氏の名前を書いた維新の方も、高市政権が行っていくことに相当程度の責任が生じますし、関与する義務も生じてきます。
そのため、政策ごとに協力することに関してだいぶ踏み込んで一緒にやっていこうとなるわけです。そういった意味では連立政権と呼べるのではないでしょうか。
肉乃小路ニクヨさん:
維新はもともと自民党の会派から出て政党になったところなので、親和性はあると思います。ただ、国民は望んでいないような気がして、連立に関しては非常に唐突な感じがしています。
数的には総理大臣というのはできるのかもしれないですが、参院選でもそういったところは争点になっていたかなど、いろいろなことを考えると数合わせ的な要素が強い連立なのかなと思ってしまいます。
岩田部長:
吉村代表は「議員定数の削減が絶対条件だ」と話をしたわけですけれども、ただそれが本当に国民が求めていることなのか。参議院選挙でそれが問われていたのかというと、必ずしもそういうところもないわけです。
やっぱり物価高対策どうするのか、そのあたりを一生懸命まず取り組んでほしいということだったと思いますので。
肉乃小路ニクヨさん:
維新はどちらかというと社会保険料の削減などをメインに推していたところなので、民意的に重要視してほしい減税やインフレの対策など、連立政権でしっかりと手をつけていただけるのかどうかというのは見ていきたいなと思います。
井上キャスター:
元々第3局で期待していて、しがらみのない政治を求めていた維新が一番しがらみの真ん中にいる自民党とくっつくんだと感じる方が多いと思いますね。
自維連立は給付?減税?物価高対策で最初に着手できそうなのはガソリン減税?
高柳キャスター:
さらに、政策の中で停滞していた経済対策はどうなっていくのでしょうか。
【各党の主な経済対策】
▼自民
物価高対策として
・国民一律2万円の現金給付
▼維新
物価高対策
・食品の消費税2年間ゼロ
・ガソリン暫定税率廃止
・社会保障改革
※現役世代の社会保険料を年6万円引き下げ
※一方で、高齢者の窓口負担を1割から3割へ増 など
▼国民
・年収の壁の引き上げ
※3党合意に至りながら実現していない
※政策協力はあるのか?
岩田政治部長:
維新が突きつけた12項目というのは維新がこれをやりたいということですから、そういった意味ではガソリン暫定税率廃止や社会保障改革、特に食品の消費税については2年間ゼロにしてほしいというのが維新の要望だったわけですけれども、これについては自民党とは継続協議というか、この段階ですぐに結論は出さないけれどもそれについてしっかり話し合っていこうという形での合意になりそうです。
ただ一方で、自民党が参議院選挙のときに言っていた「一律2万円の現金給付」は元々維新は求めていなかったことですから、今回の合意でもそこについては入ることはなさそうです。
出水麻衣キャスター:
物価高対策で一番最初に着手できそうなところは何かあるのでしょうか。
岩田政治部長:
ガソリン減税ですね。ガソリンの暫定税率については他の野党も含めて進めるべきだということになっていました。代替財源などの問題はあるのですが、例えば補助金を使って一時的に行うなど、少なくとも何もやらないまま臨時国会が終わってしまったらそれこそ政治不信になりますから、ガソリンが一番最初にできるかどうかですけれども、そこも見ていかないといけません。
井上キャスター:
まず物価高対策を必ずやるべきだと思いますが、その後維新が本当に連立に入るのか。しかも、総裁選で総理大臣も変わったので、有権者は全く意思を表明できていません。信を問うというか、解散総選挙するのが筋なのかなとも思うんですけど。
岩田政治部長:
どこかのタイミングで当然選択肢にはなってくると思います。ただ、今このタイミングでいきなり解散となると政治空白が続きますから、臨時国会ではしっかり審議をして物価高対策を一つでも実現させなくてはならないという状況だと思います。
========
<プロフィール>
岩田夏弥
TBS報道局 政治部長 元官邸キャップ
小渕総理以来、主に政治取材を担当
肉乃小路ニクヨ
ニューレディー
銀行・保険会社など金融業界でキャリアを積む
独自の視点で経済・お金・人生観を語る
・見つかった娘(14)の遺体には「身を守れ」と父が願い伝えた“長袖・長ズボン”「1羽じゃかわいそう」中3・喜三翼音さんが家族に残した“生きた証”
・「あんな微罪で死ぬことはないだろう…」逮捕直前にホテルで命を絶った新井将敬 衆院議員「この場に帰って来れないかもしれないけども、最後の言葉に嘘はありませんから」【平成事件史の舞台裏(28)】
・【全文公開】“ラブホテル密会” 小川晶・前橋市長の謝罪会見【前編】「最初にホテルへ誘ったのはどちらから?」記者と小川晶市長の一問一答(9月24日夜)