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日米首脳の距離は縮まった?「笑顔の会談」の裏で…残る“課題”と両国の“せめぎ合い”【Nスタ解説】

国内
2025-10-28 20:48

初の日米首脳会談に臨んだ高市総理。まずは、トランプ大統領との個人的な信頼関係を構築するのが、大きな目的となっていました。信頼関係は深まったのでしょうか。


【写真を見る】“満面の笑み”の高市総理とトランプ大統領


高市総理 初の日米首脳会談 2人の距離は縮まった?

井上貴博キャスター:
今回の日米首脳会談は少し遅れてのスタートとなりました。その理由について、高市総理は「トランプ大統領の部屋で野球を見ておりました」と発言。メジャーリーグのワールドシリーズを観戦していたということです。


その後、ホワイトハウスのXで野球観戦する様子を写した写真が公開されていますが、高市氏は笑顔で、穏やかな雰囲気がみてとれます。


ファーストネームで呼び合うのか注目されていましたが、高市総理は主に「Mr.President(大統領)」、トランプ大統領は「You」と呼び合っていました。


午後4時ごろには、大統領選専用ヘリコプター「マリーンワン」に同乗し、一緒に移動。そして、原子力空母に降り立ちました。


早稲田大学の中林美恵子教授によると、「プライベートな空間はチャンス。側近が“お膳立て”するかもしれない。もしかしたらファーストネームで呼び合っているかもしれない」ということです。


中林教授は、高市総理就任後、初の日米首脳会談について「安倍元総理のレガシーを全面に出して会話ができた。お互いに理解し、うまくいったのではないか」と見ています。


トランプ氏の頭の中は「米中会談」? 安倍元総理との“差”

井上キャスター:
密着取材をずっと続けている涌井支局長はどう感じましたか?


涌井文晶 ワシントン支局長:
原子力空母「ジョージ・ワシントン」で演説するトランプ大統領の横で、高市総理がぴょんぴょんと飛び跳ねるというような場面もあり、日米同盟の強さをアピールする、成功を演出するという部分では、成功感を強く打ち出したと見える、一連の日程だったと思います。


井上キャスター:
トランプ大統領がヨーロッパなどに行くと、反トランプデモが起きてギクシャクするような映像を見ます。日本ではそういう雰囲気がなく、ある程度歓迎ムードだったので“上機嫌”だったのかなと個人的に感じました。


TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
トランプ大統領からすると、特に重大な懸案もなく、「80兆円の対米投資をしっかりとやってくれ」という程度の話なので、おそらくトランプ大統領の頭の中は、30日の習近平主席との会談をどうするかということだと思います。


安倍元総理であれば、中国に対して日米でどう向き合うかという戦略的な議論もできたかもしれませんが、今回は高市総理もデビュー早々なので、そこまで踏み込んだ戦略的な話までには至っていないのが現実だと思います。


井上キャスター:
安倍元総理であれば、米中首脳会談の戦略的な部分、日本もテーブルにつくような話をしていたかもしれないということですか。


TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
アメリカに対してアドバイスをするようなこともあったかもしれませんが、高市総理は、まだそこまでは無理だったということだと思います。


トランプ大統領 最大の狙いは? 

井上キャスター:
米中首脳会談もポイントですが、日米関係でも、重要な部分がいくつかあります。


星さんによると、アメリカの最大の狙いは「自動車など“トランプ関税”を引き下げる一方で、アメリカへの80兆円の投資」だということです。

「80兆円の投資」は「半導体」、「エネルギー」、「医薬品」、「造船」などということですが、具体的な投資先やスケジュールなどは何も決まっていません。

トランプ大統領としては、「少しでも早くすすめたい」。一方で、日本側としては、民間企業の投資の話なので指示ができず、「どうにかして先送りしたい」と、せめぎ合いが行われているのではないかということです。

28日のスケジュールを見ると、夜にも大きな山がありそうです。


【28日のスケジュール】
▼午前
・日米首脳会談
・高市総理、トランプ大統領の昼食会
・拉致被害者家族と面会

▼午後
・アメリカ軍原子力空母視察、トランプ大統領と高市総理の演説
・高市総理の囲み取材(予定)
・トランプ大統領 ビジネス関係者との夕食会


ビジネス関係者との夕食会には、日本企業関係者が出席するのではないかと言われていて、現時点では、トヨタ自動車の豊田章男会長が出席するだろうと言われています。


トヨタ自動車としては、自社の米国生産車の逆輸入の方針を伝える方向で調整しているという情報もあります。


日本政府は公用車に米国製トラック・フォード「F150」を導入する方針を伝えているということです。


「80兆円の投資」せめぎ合い 日本側の「作戦」とは

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
これは「80兆円の投資」とは全く別の話です。

日本側としては、80兆円の投資をどんどん詰められることを避けるために、「アメリカの車を日本政府が公用車として買います」とトランプ大統領が喜びそうなことを言ってごまかそう、関心をそらそうという作戦だと思います。

ただ、トランプ大統領は日本側の意図もわかってますので、日本のことについては「了とする」ということになるのでしょう。


出水キャスター:
今回、日本が用意したある種のお土産は、トランプ大統領が「成果だ」と誇れるようなものになっているのでしょうか。


涌井文晶 ワシントン支局長:
本来は、「80兆円の投資」の第一号案件みたいなものを首脳会談の場で盛大に打ち上げるというようなことができればよかったと思うのですが、そこには至らないという中で、前向きな姿勢を示すこと、かつ就任間もないということもありますので、ある種、「仕方がない」と考えるところではないかと思います。


井上キャスター:
「このくらいで手を打ってくれるのであれば安い」と考えるべきなのか、「アメリカ車は本当に日本で人気がない」と伝えるべきなのか、どうなのでしょうか。


TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
これは長年やっている懸案ですから、そう簡単にアメリカの車が日本に入ってくるとは考えられないので、とりあえず公用車に米国製トラックを導入したり、逆輸入したりということで、しのごうという作戦だと思います。


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<プロフィール>
涌井文晶
ワシントン支局長
トランプ氏を2年半取材
けさの日米首脳会談を取材

星浩さん
TBSペシャルコメンテーター
1955年生まれ
福島県出身
政治記者歴30年


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