相次ぐリチウムイオン電池による火災。こうした事態を受け、政府は、来年度にもモバイルバッテリーなど、小型家電の回収を義務化の対象に加えることで検討に入りました。
燃えにくい次世代型バッテリーなど、モバイルバッテリー対策について見ていきます。
【実験の様子】「ナタで切断」「突き刺す」も発火しなかった次世代バッテリー
内部に燃えやすい「電池」と「液」で、よりリスクの高い状態
南波雅俊キャスター:
モバイルバッテリーの火災はニュースなどにもなっていて、燃えなくても熱を帯びて膨らんできたという経験をした人もいるかもしれません。
燃えにくい次世代型バッテリー、あるいはモバイルバッテリーの対策について見ていきます。
これまで多く使われてきたモバイルバッテリーの発火はなぜ起こるのかを、関西大学化学生命工学部の石川正司教授に聞きました。
石川教授によると、モバイルバッテリーの内部には▼「リチウムイオン電池」と▼「電解液(有機溶剤)」が入っているということです。
「リチウムイオン電池」は、モバイルバッテリーに使われていますが、電池自体が不安定な素材で、燃えやすいそうです。
電池内部の「電解液(有機溶剤)」は、灯油やシンナーなどと同じ石油類だそうで、60℃~80℃で引火します。
燃えやすい「リチウムイオン電池」に加えて、「電解液(有機溶剤)」も引火しやすいので、さらに発火リスクが高まるということです。
燃えてしまう要因には、以下のような理由があります。
●暑さ・熱
炎天下のなかに置いておくと、熱がこもり、危険が高まります。
●ダメージ
落とすなどの衝撃を受けると、その部分が破損します。内部も破損してしまい、ショートして燃えてしまうリスクが高まります。
●粗悪品
内部の電解液に、本来水は入っていませんが、そこに水分などの異物が入ることでガスが発生し、膨張して燃えてしまうこともあるそうです。
切断しても突き刺しても発火しなかった“次世代型”
南波キャスター:
身近になるからこそ、リスクを下げる次世代型のモバイルバッテリーというものがあります。
▼エレコム「ナトリウムイオンモバイルバッテリー」(9980円)
電池がナトリウムイオンというものを使っていて、iPhone16を1.4回分充電できる容量のものです。
ナトリウムイオンは素材が安定しているため、発火しにくくなります。
「有機溶剤」は入っていますが、燃えやすいものと燃えにくいものが合わさって、さらに燃えにくくなるということです。
他にもあります。
▼プラタ「新世代固体電池モバイルバッテリー」(4800円) 5000mAh
※番組調べ
モバイルバッテリーは衝撃で発火しやすいものですが、実験してみるとナタで切断しても煙を上げたり、発火したりすることはありませんでした。
さらに、ペンチで傷をつけたり、鋭利なものでバッテリーを突き刺したりしても発火しませんでした。
内部がゲル状で覆われていて、電解液の中の燃えやすい物質も覆っているので、簡単には発火しないという仕組みになっているそうです。
回収方法にも変化 モバイルバッテリーや加熱式たばこなどが法律に追加検討
南波キャスター:
そんなモバイルバッテリーですが、回収方法にも変化が出てきます。
2026年度にも、▼モバイルバッテリー、▼加熱式たばこ・電子タバコ機器、▼ポータブル電源など4品目が、小型家電リサイクル法に追加が検討されています。
この法律は、携帯電話など28品目をリサイクルを目的としており、自治体ごとにリサイクルボックスやごみステーションで回収できるようになります。
山内あゆキャスター:
これはすごく助かりますよね。どこに捨てたらいいのかわからなくて、販売店に「預けてください」というふうにボックスに書かれていても、「うちの近くには無い」というようなことがありました。
日比麻音子キャスター:
回収の作業にあたられる人の安全を守るためにも大切ですよね。
南波キャスター:
これまでは燃えないごみで出せていた自治体もあったので、そういった意味では明確になるというのはプラスですよね。
バッグの中に密閉はNG 家庭でできる対策は
南波キャスター:
家庭でできる対策について、関西大学化学生命工学部の石川教授に聞きました。
●密閉されたバッグに入れない
熱がこもってしまい、熱くなってしまうので、バッグは開けておいた方が良さそうです。
●フル充電しない
バッテリー自体にかなりの負担をかけていて、劣化しやすくなるので避けましょう。
万が一、発火したときに備え、燃えやすいところの布団などの近くには置かないようにすることも対策だということです。
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