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なぜ市販化?「緊急避妊薬(アフターピル)」医師の診察なし 今年度中にも薬局で購入可能に、課題は費用【Nスタ解説】

国内
2025-11-05 20:49

意図しない妊娠を防ぐ「緊急避妊薬」が、早ければ今年度中にも市販の薬として薬局などで買えるようになります。手に入れやすくなる一方で、課題も残っています。


【画像で見る】緊急避妊薬の販売条件は?


緊急避妊薬 薬局で購入可能に

高柳光希キャスター:
10年近く議論が進められてきた、望まない妊娠を防ぐ緊急避妊薬が薬局で買えるようになります。


緊急避妊薬は性行為から72時間以内に服用することで、妊娠を約8割防ぐことができるというものです。妊娠を中絶させるものということではなく、排卵を遅らせるなど、妊娠そのものを阻害する作用があるというものです。

海外では既に導入されているところも多く、約90の国と地域で処方箋なしで購入することができます。一方で、日本では医師の診察処方箋が必要となっていますが、このシステムが変わるということです。

10月に厚労省が承認した緊急避妊薬「ノルレボ」が市販化され、今年度中にも薬局で販売開始となる見込みとなっています。


なぜ、このタイミングで販売が承認された?

長い間、議論が行われてきましたか、なぜこのタイミングで承認されたのでしょうか?


TBS社会部 厚生労働省担当 長谷川美波記者:
緊急避妊薬は72時間以内の服用が必要で、72時間の中でも飲むのが早ければ早いほど効果が高いとされている薬です。

緊急性の高い薬で、例えば、大型連休中に避妊に失敗して病院を探すのに苦労したとか、病院が空いている時間帯に学校や仕事があって行けないなど、必要になったタイミングでなかなか手に入れにくいといった声があり、このような議論が始まりました。


井上貴博キャスター:
この分野に関しては、世界から周回遅れと言われるほどだったので、ようやくかという気がします。いずれにしても、望まない妊娠・意図しない妊娠を防ぐ最後の手段としても、女性の選択肢が増える。何より、女性が自己決定できるということは、大きな一歩だと感じます。


文芸評論家 三宅香帆さん:
女性で、不安に思ったことがない人の方が少ないと思っていて、やはり不安をなくしていくような手段が増えるということ自体、すごく良いことだと思います。あと、婦人科も本当に混んでいて、なかなか行きづらいという方もすごく多いと思います。なので、薬局で買えるようになるということは、すごくポジティブなことだと私は捉えています。

出水麻衣キャスター:
緊急避妊薬を棚で売っているような国も一部ではありますが、そこまではハードルが高いと思います。しかし、手軽に買えるように議論が進んで、実際に動いているというのは、すごく良いことだと思います。


「服用は薬剤師の前で」緊急避妊薬 販売に条件

高柳キャスター:
薬局で買えるようになるということですが、どのお店でもというわけにはいかないようです。厚労省によりますと、それぞれ条件があります。


薬局に対しては、▼必要な研修を修了した薬剤師が販売をすること▼プライバシーに配慮した体制▼産婦人科医などと連携することなどが必要です。

購入者(年齢制限なし・親の同意不要)全員に確認する事項として、▼年齢や持病・既往症▼性行為は72時間以内か▼生理の状況などがあります。さらに購入後は、薬剤師の前で服用する必要があるということです。

長谷川記者:
これは販売するときの懸念を払拭するためなのですが、この条件には賛否の声が出ています。条件がついた理由としては、早く飲むということが大事なので、まず、すぐに飲むということ。もう一つは、購入しても実際には服用せずに転売したり、男性から服用を強要されるような懸念があります。

購入する人たちからはプライバシーの問題や、薬剤師がいる前で飲むという条件があることによって、薬局に行きにくくなるのではないかといった声も上がっています。

実際に取材をした女性は「たった1錠だけど、人生を左右するような大きな薬なので、飲むときにすごく緊張した」と話していました。「落ち着いた空間で飲みたい」という声もあり、この点は、すごく個人差のあることだと思います。

井上キャスター:
欧米ではスーパーマーケットで売っていたり、薬局はそもそも24時間営業していたり、日本でもオンラインで購入できるように、という議論もあると思います。

俯瞰して考えると、日本の医療技術は極めて高い。一方で、性教育や避妊についての教育は、すごく世界から遅れている。全体の教育・知識含めて、何か一緒に考えていかないといけないと思います。

三宅さん:
本当にそうだと思います。もちろん、そういうことがないことが一番ですが、何かあったときに入手できる薬があるということを、女性の方には伝えていきたいですよね。このようなシステムも大事ですが、それ以前に、避妊ってどんな方法があるんだっけ?ということを、どうやって伝えていくかという部分も一緒にやるべきだと思います。

プライバシーに関しては、すごく難しい問題ですが、やはり気軽に薬局で売られているということが、まずは第一歩かなと思います。

出水キャスター:
一種の不安を抱いたことがない女性は少ないと思うので、避妊薬を求める女性に対しての、周りの目も変わっていってほしいし、そこに対するリテラシーを高めてほしいと思います。


緊急避妊薬に「頼りすぎない」 より確実な避妊方法を男女問わず考える

高柳キャスター:
今年度中に販売が始まるということですが、私たちはどう向き合っていくべきでしょうか。

長谷川記者:
「頼りすぎない」ということです。これは、あくまでも最後の手段であって、これがあるから大丈夫というわけではありません。


産婦人科の宋美玄先生によると、この薬は100%避妊ができるわけではないので、飲んでから3週間以内に生理が来なければ妊娠を疑って、できるだけ産婦人科を受診してほしいということです。

あくまでも緊急避妊薬は、最後のセーフティーネットなので、これに頼りすぎるのではなくて、より確実な避妊方法を男女問わず考えていくことが大事だと思います。

価格については、試験販売の段階では7000~9000円で販売されていました。これから薬を販売する会社は、試験販売の価格を参考にして、価格を決めていくということです。今後、価格がどうなっていくのか、若い人や経済的に余裕のない人が手に入れやすい価格になるのか、という課題は残ると思います。

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<プロフィール>
長谷川美波
TBS社会部 厚生労働省担当
医療や介護の分野・性被害の問題など取材

三宅香帆さん
文芸評論家
著書「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」で「新書大賞2025」受賞
31歳


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