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“歴代2位”支持率82%の高市内閣に死角は?若者世代・無党派層の自民“回帰”の兆しも・・・「有権者の期待」に応えられるか【JNN世論調査解説】

国内
2025-11-08 08:10

10月21日に発足した高市内閣の支持率がJNNが11月1日、2日に行った調査によると82.0%であることが分かった。政権発足直後の支持率としては2001年以降の歴代内閣で比較すると小泉内閣(88.0%)に次ぐ2番目の高さだった。(ちなみに過去30年遡っても同じ結果だった)


【データを見る】年代別の政党支持率、11月と8月を比べてみると…


一方、政党支持率では自民党は先月から1.0ポイントの上昇、新たに連立に加わった日本維新の会は0.3ポイントの微増にとどまるが、年齢別に分析すると7月の参院選直後に参政党や国民民主党に流れた若者世代(30代未満)の有権者、とくに無党派層が自民党に“回帰”しているという結果もわかった。


総裁就任直後の“支持率”は66% 1か月で「15ポイント超」上昇した理由は

ちなみに【10月のJNN世論調査】は、高市総裁就任当日の10月4日と翌5日に実施した。その時は「高市総裁に期待できるか」という質問に対し、「期待する」は66%にのぼった。今回は「高市内閣を支持できるか」と聞いているため、単純に比較はできないが、この1か月で16ポイント上昇したと見ることができる。


10月調査で「高市総裁に期待する」世代は、若者世代ほど高く、30代では82%に達していた。


この1か月の大きな出来事は「自民・維新の連立」と「日米首脳会談など一連の外交」だった。


通例、総裁から総理に就任するまで数日ほどだが、今回は極めて異例なことに総理指名選挙が10月21日で、総裁就任後17日間も要した。その原因は連立交渉だった。


今回、自民と維新の連立についての評価を聞くと、「評価する」人は全体では52%。政党支持別で見たところ、自民支持層では72%、維新支持層では70%が「支持する」と回答する一方、公明支持層の「支持」は18%にとどまっている。


次に「外交デビュー」となったASEAN首脳会議出席、日米、日韓、日中首脳会談、APEC首脳会談などこうした外交については83%が「評価する」と回答している。今回の外交成果が大きく世論の支持を押し上げたといって良いだろう。官邸幹部も「外交がうまくいってその直後の調査タイミングだったというのと、高市内閣に対する期待感だろう。


またガソリンの暫定税率も廃止で合意して政策のスピード感も評価されたのでは」と今回の調査結果を分析している。


幅広い世代・野党支持層も“高市支持” 野党から「今選挙やったらうちは吹っ飛ぶ」の声

今回の内閣支持率「82.0%」を様々な角度から分析してみたい。


まず【男女別】では、ほぼ男女差はない。
▼男性の支持率は81% 不支持17%
▼女性の支持率は83% 不支持12%


【年代別】では10月調査では若者支持率が高かったが、今回は幅広い層からの支持されていることがわかる。
▼18歳から29歳の支持率は88% 不支持7%
▼30歳代の支持率は87% 不支持12%
▼40歳代の支持率は86% 不支持12%
▼50歳代の支持率は85% 不支持13%
▼60歳以上の支持率は76% 不支持19%


次に【支持政党別】でみると主要野党支持層も高市内閣を支持していることもわかった。
▼自民支持層  支持93% 不支持6%
▼立憲支持層  支持65% 不支持33%
▼維新支持層  支持90% 不支持10%
▼国民支持層  支持86% 不支持13%
▼公明支持層  支持70% 不支持30%
▼参政支持層  支持90% 不支持10%
▼れいわ支持層 支持34% 不支持59%
▼共産支持層  支持52% 不支持37%


この支持率に対する政界の反応もいくつか紹介する。


・総理側近
「組閣から連立から外交から、全て総理のリーダーシップがきっちり示される形で一つ一つの物事が進んでいっているっていうのが大きい」


・現役閣僚
「総理への期待だろう。どこか明瞭さに乏しいリーダーが続いたので国民はゲームチェンジャーを求めている。その割には自民党支持が伸びてない」


・閣僚経験者
「女性総理に対する期待感と、政権の枠組みが変わった事、何かが変わるという期待感。具体的な物価高対策を打ち出しているわけでもないしあくまで、雰囲気、イメージが変わっただけ。浮かれている場合じゃない」


・立憲ベテラン議員
「とんでもない支持率だ。いま選挙やったらうちは吹っ飛ぶ。我々がやらなきゃいけない戦略はいかに解散させないかだ」


・公明幹部
「プーチン大統領並みの支持率だから野党らしく質問できない。ウィークポイントも政治とカネの問題しかない」


政党支持率 自民党前月比1.0ポイント上昇にとどまるも「若者回帰」の傾向が

続いて各政党の支持率について分析を行った。


まず野党だが、国民民主が先月比-4.0ポイントで下落が顕著となった。「総理になる覚悟はある」と訴え、野党が結集すれば総理候補とされた玉木代表だったが、「政策が一致できない党と組めない」と主張し続けたこと、一方で自民党との連立入りも拒み、態度が不明瞭とうつったことで、特に若者世代中心に支持を失ったと見られる。


一方の与党だが、高市内閣の高支持率に対し、自民支持率は先月調査+1.0ポイントにとどまり、維新も+0.3と微増に。


ちなみに就任直後の支持率1位の小泉内閣は、低支持率に喘いだ森内閣から引き継いだため、内閣発足直後(01年4月)の内閣支持率は88.0%だったが、自民党支持率は27.5%という今とあまり変わらない滑り出しだった。ただ当時は前月(01年3月)と比べ+5.9ポイント上昇している。


ただ【年代別政党支持】をみると、違った光景がみえてくる。とくに参政党や国民民主が躍進した【8月調査】と比較してみたい。


【11月調査 年齢別】
18-29歳 自民22% 立憲4% 国民8% 参政9% 支持なし40%
30代   自民21% 立憲2% 国民1% 参政7% 支持なし54%
40代   自民22% 立憲2% 国民6% 参政5% 支持なし54%
50代   自民23% 立憲5% 国民3% 参政6% 支持なし43%
60代以上  自民38% 立憲9% 国民2% 参政2% 支持なし32%


これを【8月調査】(参院選7/20直後の8/2、3の調査)と比較すると…
18-29歳 自民6%  立憲4% 国民17% 参政23% 支持なし30%
30代   自民17% 立憲1% 国民7%  参政19% 支持なし28%
40代   自民12% 立憲4% 国民11% 参政9%  支持なし45%
50代   自民15% 立憲9% 国民9%  参政12% 支持なし35%
60代以上  自民31% 立憲11% 国民6%  参政3%  支持なし31%


8月の参院選で躍進した参政党、国民民主党の支持率が今回調査では軒並み下落し、30代未満の有権者の自民支持が8月調査と比較して3倍以上の22%となった。若者層、とくに無党派層が自民党支持へと回帰する動きが見られた。


こうした若者層はなぜ高市総理にひかれるのか。外交への評価とともに今回の世論調査で見えてきたのは景気回復への期待感だ。


日経平均株価は11月4日にバブル期を大きく上回る52,636円87銭(取引時間中の高値)を記録した。


高市内閣で景気は良くなるかを聞いたところ、特に“働き盛り”の30代では81%が「良くなる」と回答している。


高市総理に死角は? 「期待に応える」物価高対策になるかが焦点

外交ウィークが終わり、国会論戦がスタートした。臨時国会の最大の焦点は「物価高対策」だ。まずは当面の政治日程と争点を挙げる。


【臨時国会での主な争点】
・有効な物価高対策を盛り込んだ経済対策になるか
・補正予算に盛り込まれる防衛費増額に一部野党は反対、財源も論点
・政治資金規正法(企業・団体献金の受け皿規制強化)や衆院議員定数削減などの議員立法
・「食料品の消費税ゼロ」で野党結集は?
・「年収の壁」のさらなる引き上げは?
・労働時間の上限規制の緩和の是非


【10月の世論調査】で「高市総裁に取り組んで欲しい政策」で1位になったのは「物価高対策」だったが、【11月調査】ではより具体的に「政府・与党が検討している物価高対策のうち期待している政策」を聞いた。


結果は以下。
1位 食料品の消費税ゼロ 30%
2位 現役世代の社会保険料の引き下げ 23%
3位 ガソリン税や軽油引取税の暫定税率廃止 14%
4位 冬の間の電気・ガス料金の補助 10%
4位「年収の壁」のさらなる引き上げ 10%
6位「給付付き税額控除」の導入 4%


今回の臨時国会でこれらの政策は実現するのか。


まず「ガソリンの暫定税率廃止」は11月5日に与野党で正式合意し年内廃止が決まった。軽油取引税も来年4月に廃止することで合意した。冬の電気・ガス補助も補正予算案に盛り込まれる見通しだ。


すでに合意しているため設問には盛り込まなかったが「高校授業料無償化」や高市総理が所信表明で訴えた「自治体向け重点支援地方交付金の拡充」も実行される見通しだ。


一方で、難航が予想されるのは、「期待する物価高政策」で1位になった「食料品の消費税ゼロ」だ。総理就任前の5月高市総理は食料品の消費税の減税に賛同する考えだったが、総理就任後は「事業者のレジシステム改修に一定の期間がかかる」として否定的な考えに転じた。こうした発言の変遷は今後も野党側に追及される可能性がある。


立憲民主党は10月31日に「食料品の消費税を最大2年間ゼロにする」法案を提出し、野党各党に賛同を呼びかけているが、いまのところ野党が結集する見通しがたっていない。


2位になった「社会保険料の引き下げ」も実務者協議がまもなく始まるが、維新が主張する医療費の4兆円削減のための具体策はまとまっておらず、いまの国会で実現するのは容易ではない。


賛否ある政策も「賛成・支持」が多く総理周辺からは「早期解散」を求める声続々

ほかにも、今回の臨時国会では賛否が分かれる政策がいくつかある。


維新が連立の条件とした「衆院議員定数の削減」、高市総理が所信表明で訴えた「防衛費の対GDP2%達成時期の2年前倒し」、高市総理が上野厚労大臣に検討を指示した「労働時間の上限規制の緩和」が主なものだ。


しかし、その政策も高い支持率を背景に、「賛成・支持」が「反対・不支持」を上回っている。


とくに労働時間規制の上限の緩和は30代未満の若者に支持されている結果が出ている。


Q.労働時間規制緩和に賛成か反対か?
      賛成  反対
全体    64%  24%
男性    67%  23%
女性    62%  25%
18-29歳 80%  19%
30代   63%  30%
40代   72%  21%
50代   66%  24%
60代以上 56%  26%


今後、国会ではこうした政策が争点となっていく見通しだ。功罪が議論されていく中で、これらの政策の賛否は今後変化していく可能性がある。


総理周辺や自民党内からは、賛否ある政策を前に進めていくためにも、高い支持率の間に早期に解散して、政権をさらに安定させるべきだとの声がしきりに聞こえる。


・総理側近
「今の勢いで、総理の政策や連立の合意についてまるっと信を問うて解散すれば良い。来年度予算案が成立するまでが野党も1番攻めてくるし1月が解散のベストタイミングだ」


・自民ベテラン議員
「防衛費増額など不人気な政策を実現するためにも解散しかない。本予算を通すためにも数は必要だから、1~2月に解散をすべきでしょうね」


・閣僚経験者
「追い込まれて解散するのではなく、やるなら早く解散した方が良い。これ以上支持率が高くなることはないから。臨時国会後、選挙制度を問う形で解散すると言うことはあるんじゃないか」


一方の高市総理は「経済対策をはじめ皆様にお約束した政策をちゃんと実行する。政策を前に進めていくことがまず重要だと思いますので、今はもう解散ということについて考えている暇はございません」(11月1日韓国で)と早期解散を否定している。


例えば、社会保険料を引き下げるため、今後は医療・介護サービスの自己負担増の議論が行われ、ガソリン・軽油の暫定税率廃止や防衛費増額の財源捻出のために法人税、所得税などの負担見直しの議論が今後行われる。


負担増という“痛み”を伴う施策ほど、国民に納得感のある説明が求められるし、ましてや議論を避けるための解散はあってはならない。高市総理が今後も高支持率を維持できるか、今から真価が問われることになる。


TBS政治部 世論調査担当デスク室井祐作


【JNN世論調査の設問と結果】
●高市内閣の支持率は82.0%(前月の石破内閣の支持率よりも38.3ポイント上昇)。不支持率は14.3%(前月の石破内閣より38.7ポイント下落)。


●政党支持率は、自民党28.9%(前月より1.0ポイント上昇)、立憲民主党5.5%(前月より0.3ポイント下落)、日本維新の会3.9%(前月より0.3ポイント上昇)、国民民主党3.6%(前月より4.0ポイント下落)。参政党は4.7%(前月より1.1ポイント下落)


●自民党と日本維新の会が連立したことを「評価する」52%、「評価しない」29%


●自民と維新が合意した衆議院定数1割削減目標について「年内に定数削減の法案を成立させるべき」48%、「年内に定数削減の法案を成立させる必要はない」35%


●高市政権になって景気は「良くなると思う」58%、「良くならないと思う」23%


●高市総理が表明した2027年までに防衛費を「対GDP比2%」に増額する目標を2年前倒しすることについて「支持する」56%、「支持しない」33%


●労働時間の上限の規制を緩和することに「賛成」64%、「反対」24%


●日米首脳会談など高市総理の一連の外交について「評価する」83%、「評価しない」9%


●政府・与党が検討している物価高対策のうち、最も期待する政策について
1位 食料品の消費税ゼロ 30%
2位 現役世代の社会保険料の引き下げ 23%
3位 ガソリン税や軽油引取税の暫定税率廃止 14%
4位 冬の間の電気・ガス料金の補助 10%
4位「年収の壁」のさらなる引き上げ 10%
6位「給付付き税額控除」の導入 4%
それ以外 5%


【調査方法】
JNNではコンピュータで無作為に数字を組み合わせ、固定電話と携帯電話両方をかけて行う「RDD方式」を採用しています。11月1日(土)、2日(日)に全国18歳以上の男女2607人〔固定875人、携帯1732人〕に調査を行い、そのうち38.9%にあたる1013人から有効な回答を得ました。その内訳は固定電話503人、携帯510人でした。インターネットによる調査は、「その分野に関心がある人」が多く回答する傾向があるため、調査結果には偏りが生じます。より「有権者の縮図」に近づけるためにもJNNでは電話による調査を実施しています。無作為に選んだ方々に対し、機械による自動音声で調査を行うのではなく、調査員が直接聞き取りを行っています。固定電話も年齢層が偏らないよう、お住まいの方から乱数で指定させて頂いたお一人を選んで、質問させて頂いています。今後とも世論調査にご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。


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