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「人前で話せない…」少女を変えたのは世界的ゲーム“マインクラフト” マイクラカップ挑戦で見つけた勇気と、仲間との絆【news23】

国内
2025-11-20 14:34

世界的人気を誇るゲーム「マインクラフト」。実は今、このゲームが子どもたちの心の架け橋になっています。ゲームの世界を通じたある挑戦が、子どもたちに与えた変化を追いました。


【写真で見る】少女を変えたのは世界的ゲーム“マイクラ” どんなゲーム?


子ども同士のつながりを作るのは“ゲーム”? 教育支援センターで導入

長野市の山間にある、教育支援センターSaSaLAND。ここに通うのは、不登校の子どもたちです。子どもたちが熱中しているのが世界的人気ゲームの「マインクラフト」。通称“マイクラ”です。


“マイクラ”は、3Dブロックを使って一から自由に世界を作り上げるゲーム。例えば、ブロックを並べて一つの国を作ったり、実在する建物を再現することもできます。これまでに3億本以上を売上げ、“世界で最も売れているゲーム”と言われています。


子どもたちは、マイクラのキャラクターを使って対戦ゲームをしていました。


――マイクラってバトルも出来るの?
「うん、バトル出来る。人対人でできる」


この施設は、長野市の教育委員会が信州大学などと協力し、2024年に開設したもので、不登校の小中学生200人以上が利用しています。子ども同士のつながりをつくろうと導入したのがマイクラでした。導入した途端、効果は絶大だったといいます。


ササランドを支援 三和秀平 信州大学准教授
「(マインクラフトは)本当に自由に自分が好きなことができるということと、子どもたちも、そこの中でだったら同じ言語を持って遊べるので、普段関わらない子どもと交流が生まれた子がたくさん来ました」


外で人と話すことが苦手な少女 マイクラを通じたコミュニケーション

小学5年生の小野塚心桜(ここな)さん。心桜さんは、外で人と話すことが苦手です。家で家族とは話せますが、この施設でも自分の考えを声に出すことはほとんどないといいます。


先生
「ここちゃんもいい?」「ここちゃんが今挨拶してくれています」


赤い帽子をかぶったキャラクターが、心桜さんの分身です。


――好きな食べ物は何ですか?
「いちごって返してくれてますね」


マイクラの世界では気軽に交流できるようです。そしてこの日、心桜さんはいつもと少し違っていました。


――マイクラにハマる理由は?


小野塚心桜さん(小5)
「自由に作れたりするから」


取材時、言葉を発して答えてくれたのです。それには理由がありました。


“マインクラフトカップに出場するため”前向きな変化

実は心桜さんは、この施設に通う仲間たちと作ったマイクラの世界を発表する大会に出場しようとしているのです。


それは「マインクラフトカップ」。この大会はマイクラで作ったまちや建物でプレゼンを行い、審査員が表現力や技術力を評価する大会です。大会の狙いは、地域格差や家庭環境など、様々な違いを乗り越え、ものづくりを通して好奇心や協調性などを育むこと。


2025年の大会テーマは「未曽有の災害から命を守る」。このテーマをもとに、心桜さんたちが作ったのが、防災のまち「SaSaワールド」です。


水害に強い丘の上に学校や映画館、病院を建設。マスコットキャラクターの黒猫は、食料庫になっています。このまちにはこんな工夫も。黄色いブロックを踏むと、画面左上に説明文が現れました。実はこれ、地面の中に子どもたちが、プログラムを仕掛けていたのです。


心桜さんが手がけたのは、このカラフルな建物。よく見ると空中に浮かんでいます。実はここ、津波から逃れるための避難所なんです。この場所に、心桜さんのこだわりがありました。


心桜さん(小5)
「虹色のところをこだわった。不安なことがあっても安心できる場所」


この大会の発表に挑むため、心桜さんは、自分の言葉で話せるよう努力していたのです。この日、大会に出場するメンバーで発表の練習が行われました。集まったのは、性別も学年も違う4人。


大知さん(小5)
「自然にも暮らしにも、優しい街を目指しました」


心桜さん(小5)
「建築を効率よく進めるために、本やネットでデザインやコマンドを調べ…」


声はまだ小さいですが、心桜さんの前向きな変化を、周囲も感じていました。


心桜さんのお母さん
「一緒に同じ世界を作り上げていくっていうのが、すごく繋がっているというか、絆。言葉を返さなくても、つながりを感じるということに、(娘が)すごくエネルギーというか、元気をもらっている感じ」


実際に会ったことはなくても心でつながる「マイクラに友達がいる」

心桜さんのチームには、人と会うのが苦手で、施設には顔を出さずにオンラインでまちづくりをリードしてくれた仲間がいます。中学2年生のカエデさんです。


――カエデさんにとってマインクラフトとは?


カエデさん(中2)
「マインクラフトのお陰でササランドの人たちと出会えて、色々な人たちと関われたので感謝の気持ちが大きいですかね」


長野市教育委員会 事務局 轟博和さん
「オンラインで、実際にあったことはないけれど、やっぱり心で繋がっているというのを感じていて、『マイクラに友達が居るんだ』と家庭で話していると聞きます。そんなつながりが、ここで生まれているんじゃないかと思います」


迎えた地区大会 人前で話せなかった少女の全国大会をかけたプレゼン

心桜さんたちは、仲間と作った「ササワールド」で大会に挑戦します。埼玉県川口市で行われた地区大会。17チームが全国大会をかけてプレゼンします。


ーー緊張していますか?意外と平気そう?


心桜さん(小5)
「(うなずく)」


平気だとうなずいていた心桜さんでしたが、順番が近づくと少しそわそわし始めました。そしていよいよ、ササランドチームの出番です。まずは2人、元気に発表することが出来ました。そして次は、心桜さんです。


心桜さん(小5)
「建築を効率よく進めるために、本やネットでデザインやコマンドを調べフィールコマンドで土地を整地したり」


練習よりも、ずっと大きな声が出せました。


結果発表は来月。


心桜さんのお母さん
「すごい勇気をもって、頑張れたと思います」


――今の気持ちはどうですか?


心桜さん(小5)
「次はもっとすごいのをつくりたい」


子どもたちはきょうもマインクラフトで、未来を自由に築き上げていきます。


不登校支援に“マイクラ” 子どもたちの共通言語に

小川彩佳キャスター:
施設のスタッフの方によると、心桜さんの声を聞いたのは1年ぶりだったそうです。


藤森祥平キャスター:
ハキハキとした発言もあって、ゲームを作るときの細かい配慮とか目線とか、視点が優しいですもんね。


トラウデン直美さん:
印象的だったのは最後に、「次はもっとすごいのを作りたい」と前向きに次の目標を持っているのがすごく素敵だなと思いました。ゲームの中でみんなと一緒に、1つのものを作り上げるという達成感だったり成功体験というのは、きっと大きな糧になって次の一歩に繋がると思います。


小川キャスター:
マイクラは受動的なゲームではなく能動的なゲームと言いますか、自分で目標設定をして、どういうツールを使ってどうやって組み立てていけばいいのか、1から考えていくので、自分から「こういうことをしてみたい」という前向きな気持ちを育んでいくゲームなのかも知れないなと感じました。


トラウデン直美さん:
かなりクリエイティブに工夫をしながら作っていくと思うので、ある意味解放されるというか、何か悩みがあったとしても、全開放して作っていい場所というような、自分にとってのセーフゾーンになっているのかなと感じました。


藤森キャスター:
マイクラじゃなくても、手段は何でもいいと思うので、好きなこととかに繋がっていけさえいれば、可能性が広がりますから、時間をかけて進んでいってほしいなと思います。


作って壊して、進んで戻ってもいいから、じっくりやっていくということが、大人にも必要かなと思いました。


小川キャスター:
自分の心を前に進めていって欲しいですね。心桜さんの次の挑戦が楽しみです。


==========
<プロフィール>

トラウデン直美
Forbes JAPAN「世界を変える30歳未満」受賞
趣味は乗馬・園芸・旅行


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