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東京デフリンピック“見える応援”への挑戦…選手に届け!「サインエール」聞こえない人も聞こえる人も「みんなひとつになって応援を」【news23】

国内
2025-11-25 14:53

耳が聞こえない、聞こえにくいアスリートの国際大会「東京デフリンピック」。声援が聞こえない選手のために作られたのが「見せる応援」、サインエールです。“音”が前提の社会で壁を感じていた耳が聞こえない人たちが中心となり、挑戦したその舞台に密着しました。


【写真を見る】「サインエール」で会場がひとつに


“見える応援”「サインエール」

“音の無い世界”で、ほとばしる熱気。選手の動きにあわせて、無数の手が宙を舞います。

会場 太鼓の音
「どんどんどん…」


これは「サインエール」。声ではなく“身体の動き”で想いを届ける、新しい応援のかたちです。


観客席から“エール”を送っていたのは、垣内美音さん(24)。垣内さんも、生まれつき耳がほとんど聞こえません。

普段はアパレル関連の企業で働きながら、今回、サインエールの開発にも携わってきました。

きっかけは、中学・高校で打ち込んだ陸上競技。

垣内美音さん(手話)
「すごい顔してる。800メートルですね」


練習に励む日々は充実していました。しかし、試合になると、どこか満たされない思いもあったといいます。


試合に出ても「物足りない感じ」

垣内美音さん(手話)
「皆さん(応援のために)観客席に座って見てくれてるのは分かるけど。音は濁ったようにしか聞こえないので、応援もそこまで伝わってくるわけではない。自分としては『物足りない』という感じでした」


“音”が前提の社会で感じた壁。その戸惑いは、もちろん日常の中にも。

垣内美音さん(手話)
「聞こえる皆さんは見ていない。私が『ちょっと』『お疲れ様』という風に話しかけても、声だけで『お疲れ様』と言って、手話もなく、目を合わせず去ってしまう」
「声でのコミュニケーションがベースなので、みんなが会話している時に、どんなタイミングで入ればいいか分からない」


耳が聞こえない、聞こえにくいといっても、人によってコミュニケーションの形は様々。垣内さんの場合、職場では声を使ってやり取りをしています。

垣内美音さん(口語)
「このニットが結構肌触りが良くて…」


相手が何を言っているかは、口元を見て読み取ります。それでも読み取れない時は「文字起こしアプリ」でフォロー。周囲の理解と協力も、支えになっているといいます。

先輩社員
「情報整理して、伝えたいことだけを口を読めるように喋っている」


垣内美音さん
「『なんでこうなるのかと言うと…』みたいに言うじゃないですか」
「文字起こしで出てくるので、それで理解できてる。『なるほど』と思いながらいつも見て、聞いている」


“聞こえる人”も“聞こえない人”も、ちょっとしたきっかけで、気持ちを分かち合えたら。そんな思いも、原動力のひとつになっています。

垣内美音さん(口語)
「私と話すときもはっきり話すよう意識してくださったり」
「やっぱり一番大事にしたいのは、自分が一方的にではなくて、お互いに伝えようとする気持ち」


「みんなひとつになって応援を」

大会を目前に控えた、この日。

垣内美音さん(手話)
「デフリンピック本番で成功するために、きょうみんなで集まって、一生懸命練習したいと思います」


足を運んだのは、耳が聞こえない学生らとの講習会です。


垣内美音さん(手話)
「きょうの講習会、本当は旗を使いたかったけど、無いので新聞紙を使います!」


顔の横で両手をひらひらさせ勢いよく前へ突き出す、この動き。選手を後押しする「行け!」のサインです。

誰でも簡単に、応援の気持ちを伝えられるように。チームでは1年以上かけ、準備をしてきました。

垣内美音さん(手話)
「まずは選手が見て、喜んでいる姿が見たい。聞こえる人・聞こえない人、みんながひとつになって応援する、デフリンピックを盛り上げていく姿が見たい」


そして迎えた、デフリンピック当日。

垣内美音さん(手話)
「緊張します」


垣内さんは陸上競技を応援する“リーダー”を務めます。張りつめた空気の中、スタートラインに立つ選手たち。力いっぱいのサインエールを、選手に送ります。


山田真樹選手が銀メダルを獲得。


陸上・山田真樹選手(男子200m銀)
「子どもたちからも、サインエールを送っていただいた。大変幸せです」


たしかに選手へと届いたサインエール。会場がひとつになった瞬間を目にした、垣内さんは…

垣内美音さん
「選手と目が合って、一緒にサインエールをしてくれた」
「これから、聞こえない人、聞こえる人がお互いに尊重しあえるような関わりが増えていったらといいなと思ってます」


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