去年、首都圏で相次いだ闇バイト強盗事件。「首謀者」とみられる男らは海外にいるように見せかけ、捜査をかく乱していたことがわかりました。捜査が難航した背景を取材しました。
去年10月、千葉県市川市で住人の女性(当時50)が押し入ってきた男らに現金などを奪われ、大けがを負った上、住宅から連れ去られた事件。「指示役」として事件を首謀していたのが、福地紘人容疑者(26)ら4人です。
捜査関係者によりますと、奪った金は福地容疑者に渡っていたことが、防犯カメラなどの捜査でわかったということです。また、去年、横浜市で起きた強盗致死事件で実行役らが奪った金についても、福地容疑者に渡っていたことが捜査でわかったということです。
福地容疑者ら4人は去年、首都圏で相次いだその他の闇バイト強盗事件にも関与したとみられていますが、首謀者4人の逮捕までには1年以上もかかりました。これほど捜査が難航したのはなぜだったのでしょうか?
警視庁 親家和仁刑事部長
「実行役は首謀者と面識がなく、その上、匿名性の高いアプリを使用していた。アプリのアカウントも短期間で変更を繰り返していた」
福地容疑者らは秘匿性の高い通信アプリ「シグナル」を使い、実行役らに犯行を指示。「パトリック」や「ファルコン」などと名乗った9つのアカウントを使っていたとみられています。
さらに、福地容疑者らはこれらのアカウントを作成する際、アメリカの電話番号を使っていたことが、捜査関係者への取材で新たにわかりました。海外にいるかのように偽装し、捜査をかく乱するねらいだったとみられます。
今回の事件でやりとりに使われた通信アプリ「シグナル」について、専門家は「通信履歴の解析が非常に難しいアプリだ」と指摘します。
サイバー犯罪に詳しい元警察官 森雅人さん
「LINEだとか普通の通信アプリも暗号化通信にはなっているんですけど、ある程度その通信を介在するサーバーの中にその通信の状況が残っているんですね。ところがシグナルの場合はそういった状況、一切、中継サーバーの中に残っていないので」
しかし、「通信履歴」の解析は困難でも、「スマホ端末そのもの」を押収してしまえば“通信の痕跡”を追うことができるといいます。
サイバー犯罪に詳しい元警察官 森雅人さん
「(秘匿性の高い)シグナルでテキストを送ったけども、その断片は端末自体に残っていて、それが復元できることも考えられる。犯行時間帯にシグナルを誰と使っていたのか、それがわかるだけでも重大なヒント」
スマホ端末には、他にも“捜査のヒント”が隠されているといいます。
サイバー犯罪に詳しい元警察官 森雅人さん
「予測変換で全く関係ない地名が出てきたら、そこも重大なヒントになりますし。その端末のGPSが付いていれば、いつどこに行ったとかいうのも残っているわけですし。携帯をヒントにして実社会の動きというのがわかってくれば、防犯カメラのリレー捜査をしたり、そういったところもヒントにしている」
合同捜査本部は、実行役らのスマホ端末から出てきた「痕跡」を繋ぎ合わせ、福地容疑者らにたどり着いたとみられます。引き続き、事件の全容解明に向け、捜査を進める方針です。
・「インフルにかかる人・かからない人の違いは?」「医師はどう予防?」インフルエンザの疑問を専門家に聞く【ひるおび】
・【全文公開】“ラブホテル密会” 小川晶・前橋市長の謝罪会見【後編】「どちらからホテルに誘うことが多かった?」記者と小川晶市長の一問一答(9月24日夜)
