
石破前総理が「後ろから鉄砲」批判をものともせず「おかしいものはおかしいと言わないと恐ろしい世の中になる」と。「レーダー照射」「台湾有事答弁」「定数是正」「おこめ券」、はたまた「コメ政策とクマ被害」との関係まで。総理大臣時代のエピソードとともに縦横無尽にかたります。ぜひご覧ください。(聞き手:TBSテレビ政治担当解説委員 石塚博久)
「後ろからの鉄砲」を恐れず意見すべき
ーー総理を辞めてからの発言に対して「後ろから鉄砲を撃つ」という批判が出ていますが。
石破茂 前総理:
誰も何も言わなきゃそれはそれで気楽でいいですわな。だけど、そう言われるのは全然気分良くないからね。そう言われるのは嫌だし、なんか裏切り者みたいなニュアンスだからね。
そういうの嫌だからみんな黙っちゃう。そうすると、何も意見を言わない政党っちゅうのは一体何なのかねと。「これおかしいよね」ってことを「おかしい」と言わないままにいると、本当に恐ろしい世の中になっちゃうんじゃないですかね。おかしいことはおかしいですよっていうために、議員になるんじゃないですか。正しいことは正しいです。
高市総理の台湾有事発言と「戦略的曖昧さ」の重要性
ーー中国が反発した高市総理の発言。予算委員会で台湾有事についての質問に「戦艦を使えば武力行使を伴えばどう考えても存立危機事態になりうる」と答弁しました。間違ったこと言ってないとの声も多いのですが、石破さんはどうご覧になりますか。
石破茂 前総理:
「戦艦」って今時ないんですよね。だから、役所が用意した答弁ではないってことはこれだけ聞けばわかるということですよね。それは彼女の判断としてそう言ってるわけだけれども、具体的な事態というものを想定して答弁をするということは今までやってこなかった。言うことになんのメリットがありますかねということじゃないですか。
ーーなぜ曖昧にしてきたのですか。
石破茂 前総理:
まさしく積極的というのか戦略的というのか。あえてこういうものは曖昧にしておくべきものだということが、今までの歴代政府の方針だった。具体的なことを言うとだんだん狭まっていくっていうのかしらね。そうすると具体的なことを言わざるを得なくなっちゃうわけで、他の事象とも全部関連する。そういうことはとにかく言わないということ。
ーー日本への渡航自粛や日本人歌手のイベント中止、そして今回のレーダー照射という事態。石破さんはここまで中国は反発すると予想しましたか。
石破茂 前総理:
これはねなかなか面倒くさいことになるかもしれないなとは思いましたよね。
ーー逆にこの今回のことに関して、質問した側の方を批判する声もあるんですけれども、どう考えますか。
石破茂 前総理:
どんな質問が出ても、きちんと答弁をし、問題にならないようにするのが政府の仕事。立憲さんの質問がトリッキーな質問だったとは思ってないんです。やはり質問するのも国益を考えて言っているのであって、それは野党それが仕事ですから、明らかに国益に反するようなひっかけ質問なんてのはたとえ野党であってもやってはいけない。
まず質問した岡田さんも外務大臣、副総理まで務めた人だからそんなことは百も万も知って質問している。これが野党の仕事。どんな質問が来ようと、それが外交問題に発展するような答弁をしてはいけません。それが政府の仕事という、これは当たり前のことでした。
「世界の民主主義でも類例がない」—時限付きの自動決定への批判
ーー連立政権の主要テーマ「衆議院の議員定数削減法案」は異例の時限付き法案となっていますが、どう考えますか。
石破茂 前総理:
こんな法案は聞いたことがない。ましてや一般的な政策と違って民主主義のルールの話なんでね。それを決めるときには、どんなに小さな政党であっても、その意見は最後まで聞かねばならないと。どうしてもこういうことが理解していただけなくて、延々と時間がかかりましたってことは良くないです。どこかで結論を得なければなりません。
それは採決とか、そういうことによって行われるのであって、民主主義のルールであるところの採決じゃなくて、「1年以内に結論が出なかったらもうこれなんだ」というのは、それって何なんだろうね。
ーーそれまでの国会の議論は何だったんだっていう話ですよね。
石破茂 前総理:
1年結論が出なかったらもう自動的にやっちゃうんだっていうのは世界の民主主義の中でも類例のない話でしょうね。
ーーそもそも連立を急ぐ中での実現が無理な合意だったんじゃないかっていう見方もありますけどどうですか。
石破茂 前総理:
実現が無理なら合意しちゃいかんでしょ。合意は何でもいいんだっていうことにはならないでしょうね。まして民主主義のルールだから。また、この「定数の1割削減」なぜ1割なのか、なんで少ない方がいいのか、今の選挙制度のままで本当にいいのか。ただ数だけ減らすって話はどうもあんまり歴史に学んでるとは言い難い。
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