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愛子さま 初めてづくしの2025年 緊張の様子やアドリブも・・・記者が見た“カメラの外”の愛子さま

国内
2025-12-28 07:00

天皇皇后両陛下の長女・愛子さまは、2025年「初めて」の公務を多く経験された。海外公式訪問、宮中晩さん会、歌会始、鴨場接待、命名進水式・・・など、皇室が長く大切にしてきた行事に、愛子さまもいよいよ初出席。「戦後80年」の行事にも多数のぞまれた。それぞれの現場で、緊張する様子や、段取りにない“アドリブ”も含め、一つひとつの公務に真心で向き合われる姿が垣間見えた。映像だけでは分からない様子をはじめ、この1年を振り返る。


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「国際親善」本格化

3月には、国賓としてブラジルのルラ大統領が来日。皇居に招いて宮中晩さん会が行われた。厳かな雰囲気で、宮殿・豊明殿に天皇陛下や皇族方が並び、愛子さまもデビューを果たされた。


入室して最初は、独特の雰囲気もあって緊張した様子だった。左隣に信子さま、右隣にブラジルのウーゴモッタ下院議長という並び。信子さまと仲睦まじく話されていたが(※信子さまは身振り手振りで過去の晩さん会についてレクチャー)、反対側に座る下院議長とは、挨拶したり目を合わせたりするタイミングが難しく、迷われているようだった。


しかし、陛下の乾杯の発声で食事がスタートすると、体の向きを変え、以降は隣の議長とにこやかに交流を始められた。時折笑い合う場面も。側近によると、冒頭「ボンジーア(こんにちは)」「オブリガーダ(ありがとう)」など挨拶を交わしたのち、通訳を介して、アマゾンに生息する動物などについて、話されたという。動物好きの愛子さまらしい話題だ。

実は、愛子さまは事前に時間を取ってポルトガル語のレクチャーを受けられていたようだ。通訳は入るものの、基本単語や挨拶を覚えていたほうが心のこもった交流ができるという考えのもとだろう。その準備が功を奏したといえるかもしれない。

食後の歓談では、緊張が解けたような表情で、サッカーの三浦知良選手や歌手のマルシアさんらブラジルにゆかりのある日本人と談笑される場面もみられた。


ほかにも、皇居内で多くの国際親善の機会があった。多くの外国元首らが「大阪・関西万博」のための来日にともない、東京の皇居を訪問したのだ。その際、両陛下と一緒に愛子さまも元首らと交流された。

会話はもちろん両陛下がメインだったようだが、時折、愛子さまも英語で話される場面もあったという。貴重な経験となったに違いない。


初めての海外公式訪問 陛下のレクチャーも

そして11月下旬には、初の海外公務となるラオス訪問。トンルン国家主席を表敬訪問したほか、国家副主席や首相らともそれぞれ面会。不発弾の被害を伝える資料館や、日本が支援する小児病院なども訪ねられた。

愛子さまは、訪問前はもちろん、出発後も並々ならぬ熱意を見せられていた。随行員が「訪問を絶対に成功させたいという心持ちを感じた」というほど、飛行機や鉄道内では熱心に資料を読み込まれていた。とくにラオス国内の鉄道は、始発より早い早朝の臨時便で、(記者のスケジュールから計算すると)遅くとも朝5時台より早く起きていたはずだが、仮眠をとる間も惜しんで資料にあたられていたのだ。近くに座った側近は「マーカーで資料に線を引く音がずっと聞こえていた」と話す。


ラオスには、2012年に父・天皇陛下(当時皇太子)も訪問されている。愛子さまの訪問前、陛下は保管していた資料や写真を出し、ラオスの食や歴史に関する話を愛子さまに熱心に伝えるなど、親子間でもレクチャーがあったという。

ラオス語の大学教授が御所に説明に上がったときも、もともと愛子さまだけで受けられる予定だったのが、「両陛下も一緒に出席」という形に変更になった。強い“親心”がうかがえる。


今年、12月1日の誕生日当日に公開された映像内で、愛子さまは書籍『ラオス料理を作る、知る』のページをめくられている。この本はなんと、陛下自ら購入して愛子さまに贈られたものだという。日本で発売された唯一のラオス料理本だそうだ。

1年を象徴する「誕生日映像」に愛子さまがこのシーンを選ばれたのは、ラオスや家族への強い思い入れからだろう。


現地の晩さん会は、通常通り、撮影を許可されたのは「乾杯の場面」まで。その後の会話内容について、随行員らへの取材によると、愛子さまは国会副主席らに対し、「父から『もち米が印象に残っている』という話を聞きました」「事前に聞いていたものを食べられて嬉しいです」と陛下からの話を嬉しそうにされたのだとか。また、もち米のほか、メコン川沿岸の名産「川海苔」などを口にして、とても喜ばれていたという。


「メダル・・・」女の子に見せた“アドリブ”

熱心な予習は、現場での“とっさの判断”にも活かされた。ビエンチャンの武道センターで、空手に取り組む女の子(9)と交流された時のこと。女の子は国際大会で金メダルを獲得するなど将来を期待される逸材だ。

そこで愛子さまに現物の金メダルを紹介するという段取りだったのだが、いざ交流の場になると恥ずかしい思いからか、愛子さま側からメダルが見えないように隠してしまった。


メダルは隠されたまま懇談は始まった。そうした中、事前に資料を読み女の子の情報を得ていた愛子さまは、微笑みながら「メダル…」と声をかけられた。女の子は声かけによってメダルを見せることができた。女の子だけでなく、随行員や通訳も含め、周囲がパッと笑顔になった瞬間だった。


初めて公的に被災地を訪問

被災地訪問も、公務では初となった。5月に能登半島地震で被害を受けた石川県を訪ね、復興状況やボランティアの活動などを視察。「日本赤十字社」の青少年・ボランティア課で勤務される愛子さまにとって、“ライフワーク”ともいえる公務。近くで同行していて、活動への強い思いを感じた。

過去に成年会見(2022年)で、皇室の重要な務めのひとつとして「被災地に心を寄せ続けること」を挙げているが、まさにそれを実践された形となった。ただ被災者に優しく声をかけるだけでなく、具体的なボランティア施策にも触れ、学んできた実務の知識をもとに、真摯に向き合われた。側近によると、帰京翌日も、疲れも見せず日赤に出勤されたという。


「戦後80年」愛子さまも戦地に心寄せ

終戦から80年。戦争を体験した人が少なくなる中で、先の大戦の記憶を継承することが重要だ。これは皇室が大切にしてきたテーマでもある。陛下は今年の「全国戦没者追悼式典」あいさつの中で、「戦中・戦後の苦難を今後とも語り継ぎ」という文言を新たに加えられた。次世代に伝えていきたい思いをにじませた形だ。

2月の記者会見では「愛子にも、戦争によって亡くなられた方々や、苦難の道を歩まれた方々に心を寄せていってもらいたい」と述べられた。愛子さま自身、成年会見(2022年)の場で、中学3年の時に訪ねた広島の原爆ドームや資料館のことが忘れられないとした上「私は今でも、平和への強い願いを持っている」と話されている。


上皇ご夫妻の“慰霊の旅”は、天皇皇后両陛下に受け継がれ、そして今年愛子さまも同行された。天皇が象徴としてのぞむ戦没者慰霊の場に子を伴われるのは、平成の時代には例がない。しかし「記憶を継承したい」という両陛下の強い考えや愛子さまの思いもあり、「戦後80年」の慰霊にはこの形がとられた。


6月の沖縄では「沖縄県平和祈念資料館」を訪問。愛子さまは、戦中の少年が壕の中で目撃した証言を読まれた。その内容は「みんなが生き残るために誰かを犠牲にする」という趣旨のもの。

愛子さまは展示を見つめながら「本当にすごく壮絶だった…」「生きていくためにこういう選択をしなければならない」と言葉を発し、沈痛な面持ちだった。別の場所では、戦争で家族9人を失った遺族とも言葉を交わされた。


高良政勝さん(当時85)
「両陛下の訪問も非常にありがたいけれど、特に愛子さまがおいでになられたことが、非常に大きなことだと思います。皇室が関心をもってくださっていることは非常に記念館にとってはありがたいこと。多くの人に知ってもらって、平和を維持するために非常に大きい役目を果たしているんだなと」


秋には初めて、東京大空襲などの犠牲者を祀る「東京都慰霊堂」へ。愛子さまは遺族との懇談にものぞまれた。戦争を体験した田中洋子さん(82)は、「(戦後生まれのご一家は)当時を体験していないけれど、我が身になって考えられていると感じました。愛子さまと直接お話しできたことはありがたく、若い世代に戦争の記憶がつながっていけば嬉しいです」と話した。


すべての行事が両陛下と一緒ではなく、単独の訪問もあった。11月には、日米1万人以上が命を落とした激戦地「ペリリュー島」に関する映画をおひとりで鑑賞。

同島は、祖父母の上皇ご夫妻が「戦後70年」に訪問したことで有名だが、それをきっかけに制作された映画だ。約2時間、戦禍に散った日本軍を描いた作品を見て、命の尊さと平和への思いを新たにしたという。同世代の出演俳優らと、話される場面もあった。


このほか、映像に残っていないものも含め、愛子さまは戦争の関連行事を通して戦後生まれの語り部らと交流される場面が多くあった。先の大戦を知らない世代が、戦争について話し合い、記憶を継承していく。まさにこれを体現された形だ。



若い皇族・公務の貴重な担い手として注目される愛子さまが、様々な地を訪ね、活動に取り組み続けることで、一般に知られていない事柄に光が当たる。また、現地で交流する人たちに勇気や元気を与えられる。それは、皇室の活動としてとても意義深いことだと思う。2025年、たくさんの“初めて”を経験された愛子さまは、この経験を胸に、人々の幸せのために来年以降も走り続けられるだろう。
(TBSテレビ社会部・宮内庁担当 岩永優樹)


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