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女性初の「高市総理」誕生 “ガラスの天井”に挑んだ4人の女性たちの軌跡 運命を分けた分岐点とは【報道の日2025】

国内
2025-12-29 06:30

日本初の女性総理となった高市早苗氏。分厚かった政界のガラスの天井にどう挑んだのでしょうか。総理の座を目指してきた4人の女性たち。その波瀾万丈の政治家人生を追いました。


【写真で見る】初当選した頃の高市総理 弟と暮らす部屋には「おつまみ」も


総理を目指した女性たち 始まりは1993年

高市早苗。1961年、奈良県生まれ。高校時代のあだ名は“こって牛”。


西日本の方言で「力強い牛」を意味し、どっしりと構え何事にも粘り強く取り組む姿をいうそうです。まさに粘りでつかんだ日本初の女性総理の椅子でした。


始まりは1993年の衆院選。


自民党 野田聖子氏(初当選・1993年)
「必ず皆さんの望むような政治に変わっていくと思います」


自民党からは野田聖子氏が初当選。


新党ブームに乗って衆院選初当選の小池百合子氏。そして、無所属ながら地元・奈良でトップで初当選を決めた高市早苗氏。


無所属 高市早苗氏(初当選・1993年)
「(Q.当選後、各会派から誘いはあった?)今入ってくれれば選挙の追加公認料ということで、おいくらぐらいご用意できますよとか」


当時はまだ女性議員は数えるほど。衆議院全体でも14人しかいませんでした。


「あんたが生んだらどうだ?」セクハラや過重労働も…

1996年、高市氏は自民党へ。


その2年後、小渕内閣で同期の野田氏が早くも閣僚入りしますが、政権の支持率は低く、崖っぷち内閣とも。


野田氏は、自身の抜てきはただのイメージアップだと考えていました。


自民党 野田聖子 衆院議員
「自民党も男性がスキャンダルを起こしたところに女性が必ずいく。火消し役で、でもがんばるんですよ、女性は真面目だから。そこで安定すると追い出されちゃう」


困ったときの女性頼み。セクハラ発言も日常茶飯事。


自民党 野田聖子 衆院議員
「『少子化対策関係閣僚会議』を作ったんだけど、(男性議員が)こんな会議をするより、女のあんたが生んだらどうだ?って」


男性より働くことで、やっと存在感を示せたといいます。


当時、連立与党の自由党にいた小池氏も…


東京都 小池百合子 知事
「私は一時期、約20肩書きを持っていて、北朝鮮問題から医療から何でもかんでもやりまして、そうするとさすがに体調が悪くなって、半年で2回、開腹手術をしたんです。これはもう持たないなと」


その後、小泉内閣で高い支持率を取り戻した自民党に、2002年、小池氏も加わり、翌年、環境大臣として初入閣しました。


“郵政選挙” 3人の運命の分かれ道

そんな3人に2005年、分岐点が。郵政民営化の是非を問う選挙で、法案反対の議員の選挙区に、小泉総理は刺客を送り込みました。その1人が小池氏です。


小池百合子氏(2005年)
「郵政民営化が問われている、イエスかノーかが問われている」


圧倒的な知名度と発信力を武器に反対派を打ち破りました。


一方、反対派の急先鋒とみなされたのが野田氏。刺客を立てられます。


野田聖子氏(2005年)
「野田聖子はもう自民党じゃないんだという人がいます。冗談じゃありません。私は生まれた時から自民党。最後の最後まで、力の限り、声がつぶれてもがんばってまいります」


僅差で勝利するも、その後、自民党を追い出され、一時、無所属となりました。


この郵政選挙で高市氏には、刺客としての出馬要請の電話がかかってきます。奈良2区で戦えとの指令に、高市氏は…


高市早苗氏(2005年)
「2区って聞いた時に、滝先生の顔も目に浮かびました」


対立候補の滝実氏と家族ぐるみのつきあいがあったのです。「滝先生のお嬢ちゃんも、妹みたいに思っていたので…」と涙するも、2日後には…


高市早苗氏(2005年)
「ここはなんとしても立ち上がらないと、女がすたると思ったので、精いっぱい戦ってまいりたい」


刺客として立ち滝氏を破って、勝利しました。


高市早苗氏(2005年)
「とにかく奈良2区で、小泉連立政権続投という結果を勝ち取ったんですから、褒めてください、総理」


翌年、第1次安倍内閣で念願の初入閣。しかし、自民党は再び低迷し、短命政権が続きます。


小池氏 女性初の総裁選へ

そんな中、2008年総裁候補の1人として名乗りを上げたのが小池氏です。女性初でした。


小池百合子氏(2008年)
「この国の縦割りの行政を横串で刺し、そして引っ張り上げて進化させていく」


膳場貴子キャスター
「どういった決意で出馬された?」


東京都 小池百合子 知事
「省庁の壁を破って物事を決める。そして、日本としてなすべきことをスピード感を持って進めるには、総理になったら早いんだと思って」


しかし、結果は麻生氏の圧勝でした。


安倍氏か石破氏か “支援”の選択が運命分ける

4年後の自民党総裁選。高市氏は安倍氏を支援しました。一方、小池氏は石破氏を支援。この選択が後の2人の運命を分けたのです。


安倍氏が石破氏を破り、第2次安倍政権が発足すると、高市氏が女性初の政調会長、野田氏が総務会長。女性2人が党の四役に入るのは初めてでした。


安倍総理は女性活躍を前面に打ち出し、ほかの要職にも積極的に起用します。しかし、総務会長時代、野田氏は安倍総理と衝突。


集団的自衛権の行使容認を巡る議論で…


自民党 野田聖子 衆院議員
「安倍さんと喧嘩しました」


膳場貴子キャスター
「あの時、安倍さんと喧嘩できたんですか?」


自民党 野田聖子 衆院議員
「だって同期だもん。“早く(安保法案を)出さなきゃ”という(安倍)総理の思いも受け止めつつ、党内のガチャガチャのままやってしまうと、後で取り返しがつかないことになってしまうから」


2014年、野田氏は総務会長を退任。高市氏はこのタイミングで女性初の総務大臣に任命されます。安倍総理の長期政権を支える存在に。


一方、総裁選で石破氏を支援した小池氏。自身の政策を進めようとする中で、驚くことがありました。


東京都 小池百合子 知事
「ダイバーシティ(多様性)について、どうあるべきか。みんなで話していたんですね。(男性議員が)ダイバーシティというのは『どこの駅が近いんですか』って。なかなか国会でやっていてもマイナーなアジェンダ(議題)ですし、これは無理だなと」


小池都知事誕生をウラで支えた「女性同士の絆」

そして、意を決し、東京都知事選に出ることに。


小池百合子氏(2016年)
「崖の下にパラシュートなしで飛び込む覚悟ではございます」


相談もなく出馬を表明した小池氏に自民党は激怒。東京都連は小池氏を応援したら除名処分とする通達まで出していたのです。


しかし、ひそかに応援していたのが野田氏。


自民党 野田聖子 衆院議員
「(小池氏が)相談に来てくれて、もう自民党にいても限界だと。私は崖を飛び降りるから、可能だったら手伝ってと」


小池氏を、陰で支えたのです。


小池氏は、自民党候補に100万票以上の大差をつけ、女性初の都知事に就任。その1か月後、野田氏への感謝を公に。


小池百合子氏(2016年)
「(野田氏から)励ましのメールから電話から。これは確実に処分の対象ではないかと」


自民党 野田聖子 衆院議員
「シスターフッド(女性同士の絆)ってあるんですよ。男のメディアの人は、女性と見ると喧嘩するって思っているんだけど、違いはあっても同じところってあるじゃない。私はそれを大事にしたかった」


首都・東京のトップとして連日メディアに発信を続ける小池氏。これが政治における女性の地位を高めたと野田氏は言います。


自民党 野田聖子 衆院議員
「小池さんがいることで、少なくとも東京の有権者は、男だと思っていた政治がトップが女性で当たり前というふうに」


膳場貴子キャスター
「波及していきますよね」


高市氏が総裁選へ 風向き変わり上川氏も総裁選へ

そして、2021年。高市氏が総裁選に初めて名乗りを上げました。


高市早苗氏(2021年)
「未来を拓く覚悟を持って、ここに自民党総裁選挙への立候補を表明いたします」


このとき、野田氏も初挑戦。複数の女性が出馬するのは初めてでした。


党内の風向きも徐々に変わり、2024年の総裁選に高市氏が再び出馬すると、今度は、上川陽子氏が声を上げました。


上川陽子 外務大臣(2024年)
「総裁選に立候補し、日本の総理として新たな日本を築いていきたい」


外務大臣としての能力の高さにはあの人も…


自民党 麻生太郎 副総裁(2024年)
「あんなことできた外務大臣、今までいません。俺たちから見ていても、“ほぉ、このおばさんやるね”と思いながら」


膳場貴子キャスター
「あなた女性だからというふうな、グサッときたり、辛いなと思われることは?」


自民党 上川陽子 衆院議員
「逆に奮闘します。奮起します。立ち向かっていくには、自分自身がしっかりと方針を持って、それを変えない、ぶれない」


9人が争った2024年の総裁選。川上氏が掲げたのは、女性のリーダーシップが発揮される社会の実現でした。


高市氏は2024年、女性として初の決選投票へ。石破氏に破れるも、ついに2025年、女性初の総理大臣となったのです。


「ゴールではない」女性たちの“戦い”は始まったばかり

11月、高市総理と小池都知事、2人のリーダーが初めて面会。女性初の総理に…


東京都 小池百合子 知事
「これまでの日本を具体的に変えていく、まさにゲームをチェンジする。ゲームチェンジャーとしての女性というのは極めて意味がある」


自民党 上川陽子 衆院議員
「女性総理が誕生したということで、ガラスの天井は破られました。しかし、これはゴールではないんです。スタートです」


上川氏は、日本社会における女性の活躍を更に進めるため、旗を振り続けています。


自民党 野田聖子 衆院議員
「天井というのは、一つは割れたんでしょうけど、まだたぶん高市総理にも青空は見えてない。そこで総理をやっているのは大変なことで、青空はまだ高市さんも、私たちも見れていない」


青空の手前にまだ天井があるのか。本当の戦いはこれからなのかもしれません。


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