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「好きなことを生業にする」覚悟とは? 楽天モバイル・大前悠美ヴァイスディレクターが明かす“楽天人”としての矜持

国内
2026-04-27 09:30
「好きなことを生業にする」覚悟とは? 楽天モバイル・大前悠美ヴァイスディレクターが明かす“楽天人”としての矜持
楽天モバイルの基地局設置を統括する大前悠美ヴァイスディレクター (C)oricon ME inc.
 いよいよ新年度もスタートし、新たな社会人たちが産声を上げた。高い志を持つ一方で、「好きなこと」に固執するあまり周囲との軋轢を生むケースも多いのがこの時期。大手IT企業・楽天グループには今年も多くの新卒社会人が入社しているが、新卒に対してどのようにエンパワーメントを浸透させていくのだろうか? 楽天モバイル株式会社の基地局設置統括本部ヴァイスディレクター・大前悠美さんに取材を敢行。多くの学びと失敗、挫折と成功を繰り返して得られた“楽天人”としての矜持とは?

【写真】震災で無力さを痛感…モバイル事業にすべてをかけた大前ディレクター

携帯キャリアの生命線は“基地局”、だからこそ1000万回線は悲願だった

――まずは楽天モバイルの現在地からお伺いします。昨年末には1000万回線の突破、弊社の『2025年 オリコン顧客満足度(R)調査『携帯キャリア』ランキング」で、3年連続総合1位を受賞など、ユーザーニーズにしっかりと応えながら、“第4の携帯キャリア”としての影響力をより高めていると思います。
【大前悠美さん】ありがとうございます。私はサービス開始の初期段階からモバイル事業に参画したのですが、当時の状況を考えますと、昨年末に達成した1000万回線突破という結果は通過点ではありますが、非常に感慨深いです。我々は後発であり、基地局の整備に携わってきた者からしますと、苦戦する場面も正直ありました。そのような状況下から、何とかサービスとしての成長を重ね、お客様の満足度に繋がったことにホッとしております(笑)。

――通過点とは言え感慨深いものがありますよね。なぜなら大前さんは基地局設置における統括として、インフラ整備の最前線に立たれてきた。回線状況の良し悪しも、この基地局の設置状況に左右されます。まさにユーザー満足度という点において最も重要な役割を担ってきました。基地局の増設についても、まさに足で稼ぐ“ドブ板営業”を行っていたと思いますが。

【大前悠美さん】おっしゃる通りです。本当に1局1局、いわゆる“4G”と呼ばれる基地局もそうですし、“5G”やプラチナバンドも取得している中で、さまざまな回線を組み合わせて満足度の高いネットワークを構築することに最も注力してきました。そこにご不満や落ち度があれば、サービスの解約要因になってしまいますので、生命線と言えるでしょう。ですが、まだまだ完璧とは言えない状況です。お客様からも厳しいお声も頂いておりますので、引き続き改善活動に従事します!……でも、1000万回線突破は本当に嬉しかった(笑)。

――やっぱり嬉しいですよね(笑)。
【大前悠美さん】電波という目に見えないものを追うのが基地局ですので、正直、成長の体感がしづらい面もあります。ですが、回線数の伸びに貢献するという、数字として見えてくるものがあると、我々のやりがいにもなりますし、さらなる高品質を提供していきたいという強い思いを基地局メンバーと共有しています。

――まさにモバイル事業のフロントラインに立つ大前さんですが、まずはキャリアを振り返っていきたいと思います。2008年に楽天グループに入社されましたが、当時の楽天といえば2000年代の“ITブーム”を牽引した企業。一方で同年にはリーマンショックが起こり、ブームも落ち着き、新興のIT企業も淘汰される流れに突入します。
【大前悠美さん】そうですね。入社前の大学生だった私にとっては、リーマンショックの潮流を完全には理解していなかったとは思うんですけれども、やはりそのような状況下で就職活動をしている中でも、楽天はすごく活気があり、どの会社よりも勢いがあった印象があります。入社当時、私は楽天市場事業に配属されたのですが、オフィスの扉を開けた瞬間に熱気を感じました。ひっきりなしに電話が鳴って、出店者様との綿密なコミュニケーションを図る…本当にエンパワーメントという言葉がピッタリはまる空気をフロア全体から感じました。

――当時の大前さんが上司からのアドバイスで特に印象に残っている言葉はありますか?
【大前悠美さん】たくさんありますが……3ヵ月の研修を終えて、いよいよ本配属になるタイミングで「ここからはお客様気分は捨てなければいけない。あなたはもう楽天の一員なのだから、プライドと主体性を持って取り組まないといけない」と言われたことは強く印象に残っています。

――“楽天人”としての立ち居振る舞いを課せられたわけですね。
【大前悠美さん】まだどこかで、会社の一員として看板を背負って業務をしていくことの覚悟が足りてなかったのだと思います。新卒だろうと担当する店舗様からすれば、1人の楽天社員として見られてしまうので。しっかりと看板を背負ってやっていくぞ! と襟を正すきっかけになった言葉です。

――本配属になったら上も下もない、1人の楽天人として自主自立の心構えで臨まないといけないわけですね。とはいえ、まだ経験値が足りない状況です。沢山の失敗も経験してきたと思いますが、自信を喪失したまま落ちていかずに、いかに失敗を糧にされてきましたか?
【大前悠美さん】入社してすぐにECコンサルタントとして店舗様の売上をサポートしていく部署に配属されたのですが、最初の挫折はシンプルに目標数字に到達しないということでした。初めての“ビジネス”という枠組みの中での店舗様とのコミュニケーションで上手くいかないことが沢山ありました。本配属からしばらくの期間で目標未達が続いてしまい、会社に貢献できていないことに責任を感じましたし、もちろん私が担当している店舗様の売上を上げられないという責任も感じて凄く苦しかったです。

――焦れば焦るほど空回りしてしまう…。
【大前悠美さん】今思い返しても胸が締め付けられるといいますか(笑)。本当に一番苦しい時期でした。同期や近しい仲間を見ても、しっかりとパフォーマンスを発揮しているメンバーや、周りから見ても成長を実感できるメンバーもいて…だからこそ自分の不甲斐なさから営業職に向いてないのでは? という喪失感も生まれました。

――そこからどのように巻き返しを図ったのでしょうか?
【大前悠美さん】もちろん基本的な営業スキルを磨くなど、ベーシックな部分を身に着けていくのは当然なのですが、自分の良さを全然出せてなかったことに気づいたんです。同じ営業担当でも、それぞれが異なるスタイルで店舗様と向き合っている。それを垣間見てマニュアルを身に付けつつ、自分の持ち味をどのように入れていくのかを模索し始めました。自分の強みは「着飾らずに足を使う」ことでした。現地に直接赴いて話させていただいたりすることで距離が詰まる。そうすると店舗様の意向がより見えてきますし、こちらの提案を考えて頂けるきっかけにもなったんです。

――大前さんの強みは相手との適切な距離感で、いかに“向き合うのか”を実直に進める行動力なんですね。自信にも繋がったし、自分自身を取り戻したという意味においても分水嶺だったのですね。

【大前悠美さん】自分の気持ち、情熱をしっかりと伝えられるようになってからは、苦しい状況も段々減ってきて、徐々に売上も上がっていきました。そうなってくると凄く仕事が楽しいんですよね。「もっと良くしたい!」「もっと店舗様の売上に貢献したい!」という、持ち前のポジティブ思考に拍車が掛かったといいますか(笑)。仰って頂いたように、自分自身を取り戻したということが本当に大きかったのだと思います。

――2008年入社から3年間は仙台支社に配属されていたそうですね。そして2011年、ちょうど部署異動に伴い仙台を離れた直後に東日本大震災が発生しました。
【大前悠美さん】3年間慣れ親しんだ場所ですし、自分自身を磨いてくれた場所でもあります。仙台支社の仲間、担当した多くの店舗様やそのご家族が直接的な被害を受けている状況に胸が苦しくなりました。特に自分がよく訪問させて頂いた石巻にある水産加工会社の工場が津波で流されてしまったことを聞いたときは、ショックでしばらくはその場から動けなかったです。

――つらい状況の中でも楽天として、そして大前さんご自身としてもやるべきことに取り掛かったわけですね?
【大前悠美さん】楽天としては早いタイミングで基金を募ったり、ページを作成して直接的に店舗様への支援アプローチを様々な形で募るなど迅速に対応を行いました。弊社も暫くは臨時でお休みに入らざるを得ない支社も多かったですが、当時私は東品川のオフィスに近い場所に住んでいたので、節電で電気が付かない状況でしたが、出社して暗い中で片っ端から東北の店舗様にお電話して状況のヒアリングを行ったり、具体的な支援内容を確認したりと、自分に出来ることは全てやろうと思いました。でも同時に、有事の際に自分が出来ることの限界、自分自身の無力さを実感したこともまた事実でした。

――ご自身が感じた“無力さ”は、有事の際だからこそ社会インフラの更なる向上を痛感させられたと推察されます。そのような経験を経て2020年よりモバイル事業に大前さんが参画されるのは、必然性を感じます。“第4の携帯キャリア”として市場参入を発表した当時、社内はどのような状況でしたか
【大前悠美さん】私が異動する前に、何人かの近しいメンバーが先発隊としてモバイル事業に異動していて、色々な話が聞こえてきました。特に携帯キャリアとしては後発になりますので、基地局の設置に凄く苦戦しているということ。もちろん大変そうでしたが、メンバーが凄く楽しそうに見えたのが印象的でした。当時の私は基地局をどのように建てるのかも分かっていなかったのですが、さまざまな交渉を行ったり、工事会社様との連携などの話をメンバーから聞くたびに、エキサイティングというか、ワクワクするような表情をしていたんです。私が入社した時の楽天市場っぽい雰囲気をモバイル事業に感じて…。自分もそこに飛び込んでみたくなったというのが異動の理由でした。

――新卒の時、オフィスのドアを開けた瞬間の熱量・熱風が、モバイル事業に感じたのですね。
【大前悠美さん】新卒の際に芽生えた、飾らずに実直にお客様と向き合う姿勢を、もう一度取り戻したいという思いがあったのかもしれません。基地局の建設も文字通り足を使っての直接的な交渉で承諾を得る。どうしてもこのビルに(基地局を)建てたい、どうしてもこのエリアのカバーが必要となると、何度も何度も交渉を継続したりだとか、ツテをたどってオーナー様にご紹介いただき、何とか交渉したりだとか、地道な交渉をしないと基地局の増加には繋がりません。時には、苦戦を強いられる交渉もありました。

――でも、それが堪らなく楽しい。
【大前悠美さん】はい。攻略し甲斐がありますよね(笑)。

――“楽しいこと”を生業にして生活していくことは素晴らしいことだと思います。一方、楽しいことを継続するのは決して“楽ではない”と思います。“楽しいこと”を継続するために何が必要だと思いますか?
【大前悠美さん】まず、自分が楽しいと思えることで対価を得るということは、相応の覚悟が必要だと思います。自分が楽しんでいるだけで、会社への貢献が低いようではバランスが取れない。楽しいこと、好きなことだからこそ収益を生み出さなければ、“楽しい”を維持していくのは難しいかも知れません。

――確かに。組織に属しているのであれば、尚更「楽しいことで対価を得る」ことの重みを考えるべきですね。
【大前悠美さん】“好き”を維持するためにも、嫌いにならないためにも努力が必要です。それが“好き”を更に肥大化させていくことに繋がると思います。

――最後にお伺いします。御社の社員の方に取材をする際、“楽天人”という言葉をよく聞く機会があります。大前さんにとって“楽天人”とは?
【大前悠美さん】そうですね……私自身もまだ明確な答えを導き出している訳ではないのですが、やはり圧倒的なポジティブパワーを持って徹底的に遂行する人だと思います。それがエンパワーメントにも繋がっていきますし、楽天 グループが、そのマインドを持った人の輝ける場所として、いつまでも在り続けていたいです。

「すみません! まだ、こういった取材に慣れていなくて…。補足分があれば何時でも仰って下さい」
取材後に大前さんから掛けられた言葉だ。屈託のない笑顔と尽きることのない情熱で他者との距離を驚くほど、自然に詰めてくる。「“楽天人”とは何か?」の問いに対して答えるならば、それは「相手の“心を動かせる人”」が正解なのかも知れない。

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