ハンタウイルスの集団感染の疑いがあるクルーズ船では、これまでに3人が死亡しています。
ヒトからヒトへの感染の可能性も指摘される中、日本感染症学会の専門医にハンタウイルスについて解説してもらいます。
【写真を見る】「ハンタウイルス」に2つの型 北米・南米型は致死率約40%
主な感染経路はネズミ 「ハンタウイルス」とは
高柳光希キャスター:
「ハンタウイルス」の集団感染が疑われているクルーズ船「MVホンディウス号」は、4月に南米アルゼンチンを出航しました。乗客は約150人で23か国の人々が乗っています(うち1人が日本人)。
感染・感染の疑いがある7人のうち、3人が死亡、1人が重篤な症状で南アフリカの病院に移り、集中治療室で治療を受けているということです。
そもそも「ハンタウイルス」とは、ネズミなど一部のげっ歯類が持つウイルスです。
▼主な感染経路
ウイルスを持っているネズミに…
・噛まれる
・排泄物に触れる
・排泄物の混ざったホコリを吸い込む など
基本的にはネズミから人に感染するもので、ヒトからヒトに感染することはないとされていました。
ただ、WHOの発表によりますと、クルーズ船ではヒトからヒトに感染した可能性があるといいます。
また、ハンタウイルスには2つの型があります。
【ハンタウイルス】(国際医療福祉大学 市川総合病院 寺嶋毅医師によると)
▼アジア・欧州型
主な疾患:腎機能障害
症状:発熱・頭痛など + 尿の増減
潜伏期間:10~20日間
致死率:3~15%
▼北米・南米型
主な疾患:呼吸器疾患
症状:発熱・頭痛など + 呼吸困難
潜伏期間:1~6週間
致死率:約40%
国際医療福祉大学 市川総合病院 寺嶋毅 医師:
アジア・欧州型の感染者数は年間数万人いますが、腎臓に障害が出ることはあっても致死率・重症化率は比較的低くなっています。
一方で北米・南米型は、感染者数は年間300人程度と多くないものの、呼吸器系に障害が出て、致死率が30~50%と高いことが特徴です。
日本で暮らす私たちにも感染の危険はあるのか?
寺嶋毅 医師:
ヒトからヒトへの感染例としては、感染者と寝室が一緒だった夫婦、一生懸命看病していた家族、あるいは医療従事者という報告があります。
接触時間や「密接」な関わりが感染しやすいポイントだと思います。
井上貴博キャスター:
専門家の多くが、日本に暮らしていて直ちに危機が及ぶかというと、そうではないとしています。
ただ、コロナ禍でもクルーズ船内で集団感染が起こり、業界が大ダメージを受けました。そこからクルーズ船人気が戻ってきたときに再びこのようなニュースがあると、関係者は気を揉んでいると思います。
寺嶋毅 医師:
日本で普通に生活している限りでは、(感染の)危険度は低いと思います。ただ、例えば南米で農作業をしている人にとっては身近かもしれません。
高柳キャスター:
今回、集団感染の疑いがあるクルーズ船は、南米アルゼンチンを4月1日に出発し、1か月ほどかけてアフリカ大陸の西側にある島国「カーボベルデ」に行くというスケジュールでした。
途中で様々な島に寄って野鳥観察を実施するということで、その中にはネズミ類が多く生息する場所もあったことから、WHOはそこで感染した可能性があると発表しています。(BBCより)
また、WHOの感染症パンデミック対策責任者は、「仮説だが、おそらく2種類以上の異なる感染経路があるのではないか」としています。
寺嶋毅 医師:
潜伏期間などを考えると、最初に感染した人はアルゼンチンで乗船前に感染したと思います。ただ、その家族や他の乗船者については、ヒトからヒトへ感染した可能性も、立ち寄った島で感染した可能性もあります。
そのあたりについては、今後ウイルスの遺伝子型の検査をして、どのぐらい型が近いかを調べることではっきりしていくのではないかと思います。
途中の島に生息しているネズミは、アルゼンチンにいるネズミとは異なるため、ウイルスの遺伝子型もある程度は離れていると思います。
複数の感染者が出ても、きちんと対策をとることで感染拡大が収まった事例も報告されています。やはり正しく知って対策をすることが大事です。
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<プロフィール>
寺嶋毅さん
国際医療福祉大学 市川総合病院
呼吸器内科部長で感染症予防対策を指揮する責任者
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