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【経営・管理ビザ厳格化】入管調査では“実態ない申請”相次ぐも… 資本金3000万円の“壁”で長年働いてきた外国人経営者も帰国迫られかねない現状【news23】

国内
2026-05-09 18:03

外国人の「在留資格」をめぐる問題について。政府は去年10月、国内で事業を営むために必要な「経営・管理ビザ」の要件を厳格化しました。“在留資格の悪用防止”が理由ですが、日本で長年働いてきた人たちからは「帰国を迫られかねない」と不安の声が上がっています。


■“ビザ不正取得”の実態 相次ぐ悪用で「経営・管理ビザ」厳格化


朝9時すぎ、車に乗り込んだのは東京入管の職員です。向かったのは…


東京入管の調査官
「在留資格『経営管理』に関わる申請がありまして、申請内容が正しく行われているかどうか実態調査に伺います」


「経営・管理ビザ」とは、日本で起業する外国人経営者のための在留資格です。家族を呼び寄せることもできますが、実態がない会社、いわゆるペーパーカンパニーを設立し、不正にビザを取得するケースが相次ぎ、入管は申請された事業に実態があるか、調査を強化しているのです。


調査官たちが訪れたのは、レンタルオフィスが入居する都内のビル。


東京入管の調査官
「郵便受けだけで15社、入っているのが確認できます」


このうちの1社が今回の調査対象。「デザイン会社」をうたっていますが、応答はなく、窓を確認しても電気がついている様子はありません。


東京入管の調査官
「(午前)10時はオープンになっている時間なので、本来であればいるのかなという時間ですが、いないですね」


申請者に電話をかけると…


調査官
「今、どちらですか」
申請者
「今、家で休みです」


調査官
「あなたの会社に行って、実際に事業の内容や会社の書類を確認させていただきたい。きょうはお時間大丈夫ですか?」


申請者
「明日は大丈夫」


この日は「都合が合わない」と言われ、翌日改めて立ち入ることに。


調査官によると、レンタルオフィスの中はワンフロアが壁で仕切られ、通路に沿ってブースのような小さな部屋が並んでいる作り。


調査の結果は…


東京入管の調査官
「事業の実態に疑わしいところがあると確認できた」


別の調査ではオフィスに誰もおらず、電話しても出ません。


立ち入り調査はあくまでも任意で、申請者の協力が得られるまで、何度も会社に足を運ばなければなりません。


調査の結果、実態がないと判断された申請は「不許可」となりますが、すべての申請を調査することは難しいのが実態です。


政府は2025年10月…


鈴木馨祐 法務大臣(当時)
「実態調査にも一層努めながら、適正適切な在留管理に努めてまいる所存」


制度が悪用されるケースが相次いだことなどから、「経営・管理ビザ」の取得要件を厳格化しました。


これまで必要な資本金額は500万円でしたが、2025年10月以降は6倍の3000万円とし、常勤職員の雇用も義務付けました。


厳格化から半年あまり。法務省関係者によりますと、新規申請の件数は厳格化前の5か月間では1か月平均で約1700件だったのに対し、厳格化後の5か月間では約70件と約96%ほど減少。「制度本来の趣旨に沿った受け入れが出来ている」といいます。


■真面目な経営者を襲う「資本金3000万円の“壁”」 一律の厳格化に疑問の声も


一方で、厳格化には懸念の声も。


千葉県市川市のインド・ネパールカレー店では…


「エベレスト8848」オーナー ゴパルさん
「私は保険を払って、税金を払って日本で長い間住んでいますが、(資本金)3000万円のことは、それはちょっと厳しいかなと」


そう不安を口にするのはネパール出身のオーナー・ゴパルさん(50)。


19年前に料理人として来日し、3年間の修行を経て「経営・管理」ビザを取得。今は、千葉県内で2つのカレー店を経営しています。


「エベレスト8848」オーナー ゴパルさん
「ネパール・インドカレーを食べて、日本人のお客さんが『美味しいです』というのは嬉しい。もっと頑張りたいという感じになる」


やりがいは、故郷の味を知ってもらうこと。料理の美味しさや、ゴパルさん自身の気さくな人柄に惹かれ、常連客も。


月1回通うお客さん
「フレンドリーに接してくれるから喋りやすいし、めちゃくちゃ広いわけじゃないから落ちついて食べられる空間」


――ずっと続いてほしい?
「もちろんです」


しかし、今の資本金は500万円。既に経営・管理の在留資格を持っている人には、3年の猶予期間が設けられていますが、「3000万円」は高い壁です。


「エベレスト8848」オーナー ゴパルさん
「(有効期限まで)もうそろそろです。3000万円を会社で用意しないと、日本からネパールに帰らないといけない。これは大きな心配です」


客からも心配の声が…


お客さん
「大変だなという印象しかない。3000万円稼ぐとなると、日本人でもなかなか難しい」
「私は外国好きなんですが、なかなか旅行に行く機会がなくて、(この店は)少し外国に行った気分にもなれるので、そういうところがなくなったり、真面目にやっている人が帰ってしまうのは悲しい」


不安を抱えるのは、ゴパルさんだけではありません。


行政書士のもとには相談が相次いでいるといいます。


行政書士
「すごく心配している方がいて、絵の販売なので、そんなにたくさん売れるわけじゃない。真面目にやっている方なので、そういう人まで対象にして3000万円というのは酷」


20年にわたって、外国人の在留資格に関する手続きに携わってきた築山祐子行政書士は…


築山祐子 行政書士
「大半の外国の経営者は、もちろん真面目な方が多くて、一部の方のために真面目な方たちが一律に大変な思いになっている。行政書士として現場にいる私たちとしては、もうちょっと中身にフォーカスした一律ではない基準を政策的に認めていただけたらみんなが幸せ」


■不正調査はわずか300件 “ひとくくり”の厳格化に潜む危うさ


上村彩子キャスター:
多くの方に影響が出そうですね。


TBS報道局 社会部 永橋風香 記者:
行政書士に話を聞くと、中小であったり零細で事業を営んでいる人が多いので、やはり影響は大きいとみられます。


そして取材した方の中には、香港出身で都内で飲食店を営んでいましたが5月に廃業するという方もいました。やはり3000万円を工面するのがどうしても難しいということで、早めの決断をしたということです。


政府は、少なくとも1年間様子を見て、猶予期間が終了する3年後にどのような基準で審査を行うかを検討したいとしていますが、その審査基準がいつ、どの程度公開されるのかについては不透明です。


香港出身の方も「3年間頑張っても、認められなかった時、ショックがより大きくなるので早く決断をした」と話していました。


喜入友浩キャスター:
そのようなケースがあるとなると、厳格化によって96%申請が減ったという数字をどう捉えるべきでしょうか。中には、「それだけ不正が多かったのではないか」という声もあると思います。


TBS報道局 社会部 永橋風香 記者:
日本の「資本金500万円」というのは、他国に比べて安くなっていて、悪用の実態があったというのも事実です。


ビザの取得者は4万6781人(2025年末時点)いますが、そのうち不正の疑いがある事案300件を調べ、そのうち9割が不正でした。これを厳格化の根拠の1つとしていますが、そもそも疑いがあるケースを300件取り出して調べた中での9割という数字なので、全体を調べたわけではありません。


減った中には、日本で真面目に働こうとしていて、資本金3000万円のハードルを超えられなかったという人たちもいます。


上村キャスター:
制度の悪用を防ぐための厳格化は理解できます。ただ一方で、長年日本で真面目に働いて、地域経済に貢献してきた方もこれだとひとくくりにされてしまいます。


そうではなく、運営実績などしっかりと見極めて判断する必要があるのではないでしょうか。


==========
<プロフィール>


永橋風香
TBS報道局社会部 法務省・検察担当
在日外国人との共生をテーマに取材


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