
近年、40代~50代の転職が増えているといいます。
転職に至る事情や理由は人それぞれですが、選んだ道は正しかったのか?転職から得た教訓は?平均年齢50歳以上の転職者集団が成功を遂げている会社も・・・。実際にさまざまな転職を経験した人たちに、その実情を取材しました。
【写真を見る】“新卒”が全てじゃない!40代~50代の転職が増加 成功?後悔?転職経験者が語る実情とは【ひるおび】
転職への意識に変化?街の人はー
マイナビの「転職動向調査2026年版(2025年実績)」によると、2025年の転職率は過去最高を記録しました。特に、40代から50代の転職は近年右肩上がりで増加しています。その背景には「収入への不満」が主たる要因として考えられるといいます。
街の人は「転職」に対して、どのようなイメージを持っているのでしょうか。
今年5月に転職した50代:
まさしく昨日、転職して入社しました。社会がとんでもないスピードで変わっていくので、そこで「ついていけない」ではなくて、どんどんトライするというのが大事になるんじゃないですかね。
今年3月に同業種で転職した40代:
やっぱり少しでも条件の良いところで働きたいなと思ったのがきっかけです。今はやりたい仕事でありながら、前のところより条件が良かったので、転職には成功しているんじゃないかと思います。
医療関係に勤める50代:
この1年くらいで、知り合いが4~5人は転職しています。自分の時間を優先したり、人間関係や職場環境を考えたりして転職してしまうのは、昔は甘えと言われていた面もあったと思うんですけど、それに対するハードルはちょっと低くなってきたかなと思います。
「転職」に対する人々の意識にも変化があるなかで、2回の転職を経て重要な教訓を得たという人もいました。
生涯現役で働くためにー さちよさん(44)
今年2月まで正社員として販売職をしていたさちよさん。本業の傍ら、ハンドメイド雑貨の販売やライブ配信など、趣味を活かした副業もこなしていました。
しかし、勤め先の社長が交代したのを機に、販売職に加え営業職を打診されたといいます。さちよさんは業務量に限界を感じ、1か月後に「会社を辞める」と決意。転職先を探しました。
さちよさん(44):
時間がない中で転職先を見つけなければならなかったので、けっこう焦っていたんですよね。派遣社員はボーナスがないので、年収にすると数十万から100万くらいは減ったかと思います。
「自分のために使う時間の確保」を最優先に派遣会社に登録。3月から、さちよさんは派遣先の新たな職場で再スタートを切りましたが、大幅な収入減になったといいます。さらに、本来の目的だったライフワークバランスの面でも・・・。
さちよさん(44):
けっこう業務量の多さと、あと体力的な負担から生活リズムが崩れてしまって、一番自分がやりたかったことができなくなりました。
正社員だった会社の退職を急ぐあまり、勤務形態を深く確認しないまま転職してしまったために、むしろ「自分の時間」が失われてしまったのです。そこで、さちよさんは5月に派遣先を変更。1回目の転職の失敗を教訓に、次の職場は自分で選びました。
さちよさん(44):
前回はちょっと余裕も時間もなかったので、派遣会社の方に勧められた場所にすぐ決めてしまいましたが、今回は自分で探しました。
正社員だと雇われているので定年があると思うんですけど、私は生涯現役で働きたいと思っています。仕事が趣味なので、楽しく仕事がしたいです。
自分らしく生涯働き続けるために「転職」を選んだ人がいる一方で、転職したことへの「後悔」を語ってくれた人もー。
二度の転職を経て少し「後悔」ー ひろちさん(58)
ひろちさん(58):
年収は半分ですね。本当に衝撃的な金額だったので、なんか失敗したかなとは思いました。前の会社を続けていれば昇給もあったので・・・。
正社員としての転職でしたが、収入は大幅に減ったといいます。夫の稼ぎもあり仕事を続けていましたが、離婚をきっかけに経済的な安定を求めて今の不動産会社へ転職しました。
ひろちさん(58):
私が52歳で転職した時は、うちの会社も60歳が定年だったんですよ。そしたらもう8年しかないなと思って、年齢の重さをすごく感じた転職でした。
もったいなかったなって思いますね。ちょっと自分が悪かったのは、40代で転職する歳に、「私、一回ゆっくりしよう」って思いましたもんね。17年もシングルマザーでやってきたので、ちょっと休憩したいなって自分が思ったところが、今思えば甘さだなって思います。
40代と50代で二度の転職をしたひろちさんは、「後悔」の気持ちが強いと振り返りながらも、今の職場では、前を向いて仕事に取り組んでいます。
ひろちさん(58):
私は働くことが好きなので、社会で必要とされたいし、会社で必要とされたい。
平均年齢50歳超えの「転職者集団」が大成功!?
全社員が「転職者」という、ある小さな出版社が今注目を浴びています。今年の本屋大賞2026にノミネートされた10作品のうち、2作品(「エピクロスの処方箋」と「ありか」)を手がけたという「水鈴社」です。
本屋大賞にノミネートされた当時は編集者が1人で、現在もスタッフはわずか10人という小さな会社が、なぜこうした偉業を成し遂げることができたのでしょうか。「転職」を考えるヒントにもなる水鈴社を取材してみました。
柿内芳文さんは、今年4月に水鈴社に転職したばかり。他の出版社の勤務経験を経て、8年ほどフリーランスとして働いていましたが、子どもが小学生になったのを機に働き方を変えました。
再び正社員として会社勤めを選んだ理由は、「本作りは一人ではできないから」。入社してから2か月ほどが経過し、満員電車に乗らなければいけないことが、一番大きな変化だと言いながらも、水鈴社での日々は刺激的だと話します。
柿内芳文さん(47):
水鈴社は作家と一緒に、一つずつの大切な作品を大事に作って、それを世にしっかり届けるっていうことをものすごく愚直にやっているなという印象があります。それぞれがものすごくプロフェッショナリズムが高いので、そこに対する刺激や尊敬が今、生まれてきていますね。
水鈴社を率いる篠原一朗さんもまた、転職経験者です。新卒で入社した会社を2年で退社、大企業の安定を捨て、出版社でアルバイトとして働き始めました。収入が減り、労働時間も長くなりましたが、覚悟を持って飛び込んだ出版業界で「好きなこと」に向き合う日々は幸せだったといいます。
篠原一朗社長(48):
朝から晩まで仕事で、本に関わることをやっていました。でもコピー一つ取るにしても、本に関わる仕事だったので、全然それが苦ではなくて楽しかったんですよね。転職を選んじゃったら、もうそれを正解にするしかないなって思っていました」
その後、もっと作品一冊一冊に向き合うため、自ら「水鈴社」を立ち上げました。すると、その熱意に共感し「自分の生き方」を求めて転職してくる40代、50代のスタッフが続々集まってきたのです。
2年前に水鈴社に転職・松谷文緒さん(57):
この先、元気に働ける残りの時間が見えてきて、何をやり残したら後悔をするだろうと考えたときに、一番初めに頭に浮かんだのが本を作る現場に戻りたいということだったんです。収入は少しダウンしました。ただもちろん、やりがいはアップしています。
本屋大賞2026にノミネートされた「ありか」の著者・瀬尾まいこさんに、あえてこの小さなプロ集団「水鈴社」とタッグを組んだ理由を聞いてみました。
作家・瀬尾まいこさん:
私の中では、私以上に作家である瀬尾まいこのことをすごく大事にしてくれて、それは篠原さんだけじゃなく水鈴社の方々が少数精鋭で皆さんの顔も見えますし、すごく大好きで大事な会社ですし、一緒にお仕事するとワクワクします。
ベストセラー作家もスタッフ一人一人に信頼を寄せる水鈴社は、社員それぞれがこれまでに培った「経験」という武器を持ち寄った“実力派集団”です。
ただそれだけでなく、「作品への思いや仕事へのやりがいを大切にできる職場」を求めた先にたどり着いた会社だからこそ、成功が実っているのかもしれません。
篠原一朗社長(48):
今いるメンバーは欠けてしまっては困る存在で、すごく色々な人に支えてもらっていたんだなというのがよくわかりました。営業のことも宣伝のことも、自分は何もわかっていなかったですし。
それぞれがそれぞれの仕事を長年にわたって働き続けてきたメンバーなので、そういう筋肉質な会社であり続けたいと思いますし、自分もその中の一人でいたいなとは思っています。
(ひるおび 2026年5月26日放送をもとに作成)
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