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絵本で出会う遠い国の友達~子どもたちへ伝える難民問題~

国内
2026-06-30 13:22

世界で1億1780万人

先週の6月20日は、国連が定めた「世界難民の日」でした。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の最新の統計では、現在、紛争や迫害などで故郷を追われた人は、難民や国内避難民なども含めて、世界で1億1780万人にのぼると言われています。


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「難民」というテーマを、日本の私たち、特に子どもたちにどう伝えていけばいいのか。今回は、東京・中央区立晴海図書館で開催された、子ども向けイベント「せかいのともだち おはなし会」を取材しました。


このイベントは、UNHCRが展開している「難民のものがたり展」という企画の一環で開催されました。子ども向けの絵本から大人が読む小説やドキュメンタリーまで、難民や平和に関する様々な本を集め、幅広い世代に難民問題に触れてもらうための取り組みです。当日のメインプログラムでもあった、シリア難民の女の子を描いた絵本『せんそうがやってきた日』の英語での読み聞かせには、10名ほどの親子が参加しました。


悲しいお話も、最後は笑顔で

この『せんそうがやってきた日』は、ごく普通の温かい日常が、ある日突然の戦争によって奪われてしまい、難民となった子どもが直面する過酷な現実を描いた作品です。英語のお話でありながらも、絵を通して状況がしっかり伝わっていたようで、お子さんたちは本当に真剣な表情で聴き入っていました。


読み手を務めた翻訳家の長友恵子さんは、悲しいお話をただ伝えるのではなく、こんな強い思いを持っています。


子どもには『図書館は楽しいところだ』という風に思って帰ってもらいたいので、最後はクイズだったり、お絵描きだったり、紙芝居で笑って帰ってもらう。少し経って『あの時、なんであそこの図書館であんなお絵描きしてたんだろう』って思い出してもらうためにやってるんです(翻訳家の長友恵子さん)


楽しい思い出として心に残すことで、将来考えてもらうための種を蒔く。そのために、会場ではクイズやお絵描きなど子どもたちが楽しめる様々なプログラムが実施されました。


動物たちが大きな紐を引っ張るのに合わせて、みんなで「よいしょ、よいしょ」と声を出しながら楽しむ、参加型の紙芝居『よいしょよいしょ』もその一つです。 実は、この作品の最後には演じ手が自由に展開を作ることができる白い紙が付いていて、長友さんは、引っ張った先から「平和」という言葉が出てくる仕掛けを用意していました。


難民のお友達のための「空席の椅子」

イベント後半に行われた「お絵描きワークショップ」では、子どもたちが一生懸命「椅子」の絵を描いていました。


最初にご紹介した絵本『せんそうがやってきた日』は、難民の女の子が逃げ延びた先の学校で「椅子が足りないからあなたは来れない」と入学を断られてしまうお話です。この実際にあったエピソードに心を痛めた世界中の人たちの間で、「難民の子どもたちのための居場所はあるよ」と空席の椅子を描く支援運動が起きました。


当日参加していた子どもたちも、ウサギや犬の椅子、「PEACE」と描かれた椅子など、難民のお友達のための魅力的で個性豊かな椅子を一生懸命に描いていました。感想を聞くと「今日のイベントで、クイズが本当に楽しかったです。椅子を描くのも本当に楽しかったです。マイメロディの絵が一番好きです」と話していました。


数字の向こう側を想像する

「難民のものがたり展」を担当されている、UNHCR駐日事務所の林 茉以子さんにもお話を伺いました。


私たちは毎年この世界難民の日の前に、難民の新しい統計を発表しています。ですが、数字だけだと、なかなか一人一人の姿というのは浮かびません。こうした難民のものがたり展のような企画を通じて、一人一人の経験とかその思いを想像して、共感する機会を広げていきたいと思っています(UNHCR駐日事務所・林 茉以子さん)


林さんはさらに「絵本を通せば『世界にはこういう子がいて、こんな思いをして』という、“子どもと子どもの出会い”として伝えることができる」ともお話しされていました。


難民問題はどうしても「遠い国の出来事」と捉えられがちですが、今回、楽しいイベントのなかで難民のお友達と「出会った」子どもたちは、将来、この問題について考えるためのとても大切なきっかけになったと思います。


今回ご紹介した「難民のものがたり展」は、2024年6月に開始して以来、図書館、学校、書店、美術館など約30カ所で実施されてきました。特に最近は、小学校・中学校・高校などでの実施が増えているといいます。


UNHCR駐日事務所の林さんは、このように広く呼びかけていました。


「難民のものがたり展」は、本を通じて、故郷を追われた人々の物語に触れる展示企画です。本を入り口に、故郷を追われた人々への理解や共感を深めることを目指しています。さまざまな人・団体がおすすめする一冊をコメントとともに紹介するPOPを制作し、展示いただける実施先を募集しています(UNHCR駐日事務所・林 茉以子さん)


「難民問題について、自分たちにできることから始めたい」「子どもたちに伝えるきっかけを作りたい」という方は、ぜひUNHCR日本公式ウェブサイト『難民のものがたり展』をチェックしてみてください。


(TBSラジオ「人権TODAY」担当 : 工藤優作)


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