
自分の声にそっくりなAI音声をめぐった裁判。声の権利を認める初めての判決が出ました。
焦点となっている「パブリシティ権」とはどのようなものなのでしょうか。
【写真を見る】ピンク・レディーが作った「パブリシティ権」の基準とは
「パブリシティ権」とは?肖像権との違い
「パブリシティ権」よりも、よく耳にする権利といえば「肖像権」があります。
例えば、電車の中で知らないうちに写真を撮られ、無断でSNSで公開されることなどを拒否できる権利で、この「肖像権」は、誰もが等しく持つ権利とされています。
では、著名人の画像が無断で商品の広告に使われた場合はどうなるのでしょうか。
著名人の名前や顔には、それだけでお客さんを集め、利益を生み出す力があります。そんな著名人特有の「経済的な価値」を守る権利こそが「パブリシティ権」です。
歴史的転換点…ピンク・レディーが作った「パブリシティ権」の基準
「パブリシティ権」について、日本で初めて具体的なルールが示されたのが「ピンク・レディー」をめぐる裁判です。
2007年に週刊誌のダイエット特集で写真が無断で使われたことをめぐって争われ、2012年に最高裁判決がでたのですが、そこで「パブリシティ権」について、初めて基準が示されました。
▼写真集などの商品、▼Tシャツなどのグッズ、▼商品の広告などに“顧客を引き付ける力の利用を目的”として、写真や名前などを無断で使用した場合に、「パブリシティ権」の侵害になる(=違法である)というのです。
「顔と名前」だけでなく「声」にも権利
有名人の「顔と名前」を守ってきた「パブリシティ権」において、今回の声優・津田健次郎さんの裁判で初めて「声」も認められると明言されました。
津田さんそっくりの声をAIで生成してナレーションに使用した動画を180本以上投稿していた問題のアカウントは、再生回数に応じた報酬として、動画サイトTikTokで月に50万~75万円もの収益を得ていたとされます。
ネット上には同様の動画が溢れていて、著名人らが被害を訴えてもなかなか削除されませんでした。
判決が与えた武器「損害賠償」歯止めとなるか?
今回の判決は今後、どのような意味を持つのでしょうか。
AIとパブリシティ権の問題に詳しい福井健策弁護士は、「TikTokやYouTubeなどのプラットフォーム側は、声の権利侵害で損害賠償を請求されると負ける可能性を意識せざるを得ない。再生回数によっては、高額の賠償金を支払うリスクがあるため、今後は被害を訴えられれば削除をより真剣に検討するのでは」と意義を指摘します。
本物と聞き間違えるほど進化した生成AIの音声。本人に無断で利用されることに歯止めはかけられるのでしょうか。
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