E START

E START トップページ > 国内 > ニュース > “消費税減税”交渉の裏で「定数削減」が人質に?国民民主か公明か…“支援の幅”異なる2党を“両にらみ”の政府に「完全に政局」指摘の声【edge23】

“消費税減税”交渉の裏で「定数削減」が人質に?国民民主か公明か…“支援の幅”異なる2党を“両にらみ”の政府に「完全に政局」指摘の声【edge23】

国内
2026-10-31 06:30

物価高対策の切り札として国会で議論が進む「消費税減税関連法案」。中身についての“詰めの協議”が行われる一方で、法案の成立に向けた政府・与党の動きは活発化し、「政局」とも呼べる様相を呈している。カギを握る公明党と国民民主党を相手に、政府・与党はどのような交渉カードを使い、何を取引しようとしているのか。


【写真を見る】“消費税減税”交渉の裏で「定数削減」が人質に?国民民主か公明か…“支援の幅”異なる2党を“両にらみ”の政府に「完全に政局」指摘の声【edge23】


そして、もう一つの国会の焦点「定数削減」は、この議論にどう絡み合っているのか。TBS政治部の堀宏太朗記者、TBS経済部の蓮井啓介記者が掴んだ関係者の声から、議論の現在地と水面下で繰り広げられている“駆け引き”について解説する。


総理の悲願「消費税減税」 決まらない財源と足並み揃わない野党

現在、衆議院の委員会で議論されているのは、食料品にかかる消費税を2年間、現行の8%から1%に引き下げることなどを柱とした法案である。


自民党は、減税に加え、消費税1%相当分の「就業者負担軽減支援金」を給付するという案を示している。4人家族のモデルケースで試算すると、2年間で合計34.8万円の負担軽減になる見込みだ。


TBS経済部・財務省担当の蓮井啓介記者によると、政府・財務省は、この減税を「やる」前提で動いているという。


すでにレジシステムの改修支援などに1000億円以上の予算を手当てし、減税で影響を受ける外食産業や農家などへの支援策の議論も進む。しかし、2年間で10兆円規模にのぼる減税の肝心な財源はまだ決まっていない。


財源以外にも支援金の対象や金額といった詳細も明らかになっていないこと、減税効果の懸念などから野党側は慎重・反対の姿勢を示すところが多いとTBS政治部・野党キャップの堀宏太朗記者は指摘する。


しかし、政府案への対案もまとまりがなく、足並みはそろっていないのが現状だ。


野党を抱き込みたい政府・与党 水面下に潜む「交渉カード」

参議院で“少数与党”である政府・与党が法案を成立させるには、どこかの野党の賛成を取り付ける必要がある。そこで今、名前が挙がっているのが公明党・国民民主党の2党だと堀記者は話す。


参議院・本会議で法案を成立させるためには過半数124人の賛成が必要となるが、自民・維新(計120議席)に対し、日本保守党(2議席)が賛成を表明しているため、無所属議員を何人か取り込めば、可決は不可能ではない。


ただ、堀記者が“壁”だと指摘するのは、その前段階である委員会審議だ。


与党は委員会の議席配分でも不利な状況にあり、安定した審議と採決のためにはまとまった議席を持つ野党との協力が不可欠である。よって、公明党と国民民主党の名前が挙がっているのだ。


堀記者によると、政府・与党はこの2党のどちらかを取り込むため、水面下で交渉を進めているという。


その交渉の材料となっているのが、いまだ詳細が伏せられている「支援金制度」だ。
この制度は、働いている中低所得者の手取りが増えるよう、年収に応じて給付額を変える新しい仕組みとされている。しかし、どの年収層に、いくら給付するのかは明らかにされていない。


蓮井記者の取材によると、財務省幹部からは「早く支援対象者を示せば、野党が反対するのが目に見えている。得策ではない」「対象者と額は政局カードで、野党の意見を聞いて決める」といった声が漏れてくる。


法案に賛成してくれるなら、支援金の対象者については野党の意見を受け入れるという、「交渉カード」となっている構図がうかがえる。


「バラマキ」批判懸念の政府 給付には慎重姿勢

政府が交渉を図る公明党と国民民主党。しかし、両党が示す経済対策の方向性は大きく異なる。


公明党は、減税見込みの財源を活用し、2027年度からの2年間で「国民1人あたり約8万円を給付する」案を主張。給付を軸とした支援を求める。


一方、国民民主党は2029年度から住民税の減税などを本格導入して、年間約5万円の負担軽減を目指す方針を掲げており、制度が整うそれまでの間は先行して給付で対応する案を示している。


蓮井記者は、財務省としては消費税減税を受け入れてもらえない限り、折れるのは厳しい実情だという。


公明案の約8万円の給付は一律給付となるため、コロナ禍で批判の強かった「バラマキ」となることを危惧している。国民民主も2027年度、2028年度は給付で対応するとしているため同様だ。


さらに、国民民主が2029年度以降の支援として掲げる「住民税減税」について、財務省内からは「乗る気はない」との声が上がる。地方自治体の税収に大きな影響を与え、法案の出し直しも必要になるためだ。


「安くつく」公明か 「乗れない」国民か 焦点となる“支援の幅”

ただ、財務省内には、公明党の案の方が「リーズナブル」だという見方があると蓮井記者は話す。


政府はまだ支援金の対象者を明らかにしていないが、海外の事例を参考にした場合、年収100万円から350万円までの約2000万人が対象になるとしている。


これに対し、公明は国会審議の中で、支援金の支給対象者を「年収53万円以上」に引き下げるよう要求。これは所得階層の分布図でみると、対象者数が比較的少ない層にあたる。対象人数が少なければ、財政負担も少なく済む。これが「リーズナブル」の真意だ。


一方で、堀記者はそう簡単にはいかない現状を指摘する。
公明党の赤羽税調会長は「53万円以上にすれば賛否も大きく変わる」と踏み込んだ発言もしているが、公明党幹部からは「(赤羽氏の発言は)踏み込みすぎ」「そこだけが変わって何か賛否が変わるということはない。あくまで全体のパッケージを見ての判断だ」と慎重な声も出ているという。


一方の国民民主党が問題視するのは、2年後に消費税率が元に戻った際の「中間層」への影響だ。玉木代表は、支援金の対象外となる年収350万円以上の層にとって、減税終了が実質的な大幅増税になると指摘。同党が重視する「働く中間層」への手当てを求めている。


堀記者によると、この中間層は所得分布で見ると人口が多く、支援対象に含めれば財政負担は公明案より大きくなる可能性がある。


国民民主党は、“消費税減税”が終わる2029年度から住民税・所得税減税と給付を組み合わせ、年収2700万円程度まで幅広い層の手取りを5万円程度増やす案を提示。必要な財源を約3兆円と試算している。


政府案の支援制度も兆円規模になるとみられ、財政負担の規模は大きく変わらない可能性もあるが、財務省の本音は「なぜ今さら対案なのか」。蓮井記者は、これまで国民会議で議論を重ねてきた経緯もあり、現時点で住民税減税案に乗る気はないと見ている。


「完全に政局」の声も “人質”となった定数削減

消費税減税をめぐる議論が膠着する中、交渉の行方を左右するもう一つの焦点が浮上してきた。衆議院の「定数削減」だ。


10月29日、自民、維新、国民民主の3党は、衆議院の比例代表の定数を31議席削減する案などで正式に合意した。この動きに、堀記者は「消費税のほうでも自民党と国民民主党が何かを握ったのではないか」と推察した。


実際、同日の記者会見で国民民主党の榛葉賀津也幹事長は、定数削減を他の政策の駆け引きには絡めないと否定しつつも、「消費税のみならず、いろんな政策について歩み寄りをすれば、国民にとってプラスになる、より良い制度になるという一つの例ではある」と含みを持たせた。


取材に対して、国民民主党幹部は「完全に政局になってるよ。消費税で何か掴んだかな」と語り、自民党のベテラン議員も「消費減税法案の中で何かを国民民主に譲歩して、2法案セットで考えていくんじゃないか」との見方を示した。


定数削減への協力と引き換えに、消費税減税関連法案で、何か国民民主党に有利な条件を引き出す「取引」があったのではないかとの見方だ。


その「何か」について、ある国民民主党の中堅議員は「何もなしに(定数削減に)賛成なんかするわけない」と断言した上で、「住民税減税がゼロ回答だったら絶対に飲めない。そこは絶対条件だ」と明かした。堀記者は、2029年度からの住民税減税実現に向け「何らかの政策合意を取り付けたい」考えがあるのではないか、との見方を示した。


国民民主と“定数削減”で合意も公明行脚続く ギリギリまで両にらみか

しかし、これで国民民主党との連携で決着するわけではなかった。国民民主党が定数削減へ賛成する意向を示した後も、政府側の動きは止まらない。


公明党幹部によると、29日朝にも自民党幹部と財務省の担当者が公明党を訪れ、「消費税法に賛成してもらえないか」「どこを修正すればいいか何でも言ってくれ」と協議を打診したという。


堀記者は、この動きは政府が依然として国民民主党と公明党を「両にらみ」にかけ、交渉を続けていることを示唆しているのではないかと分析する。


住民税減税という高いハードルを掲げる国民民主党に対し、財務省としては公明党との連携も模索したいのが本音だろう。蓮井記者は衆議院での審議を終えた後も、ギリギリまで両党へのアプローチは続くだろうと見ていると話す。


物価高対策という国民生活に直結するはずの政策が、財源や効果の十分な議論もないまま、水面下での「政局」の材料となってしまっている。


支援金制度という、国民の3分の1に影響しうる制度の詳細が、国会で丁寧に審議されることなく、交渉カードとして扱われる。


本来、国民に向けて進められるべき政策は、一体誰のために、はたしてどこへ向かっているのだろうか。


・10歳若返る?「ジャパニーズウォーキング」…“1日30分”で1万歩歩くよりも効果的 道具いらずで海外で話題【Nスタ解説】
・「インフルにかかる人・かからない人の違いは?」「医師はどう予防?」インフルエンザの疑問を専門家に聞く【ひるおび】
・40代から増加「脳梗塞」の初期症状は?「倒れてからじゃ遅い」早期発見のカギ「BE FAST」とは【ひるおび】


情報提供元:TBS NEWS DIG Powered by JNN

ページの先頭へ