
物価高などの影響により国立美術館などで観覧料の値上げが発表されるなか、11月3日(文化の日)は全国150以上の美術館や博物館が“無料”に。美術館・博物館を70年以上取材している専門誌『美術手帖』オススメの美術館は?
名作ずらり「日本の美術が一望できる」
「皇居の近くにあって立地もとてもいい。明治時代から現代までの“日本の美術の歴史が一望できる”美術館」
Web美術手帖・橋爪勇介編集長が文化の日にオススメする美術館1つめは、皇居と丸の内の高層ビルを一望することができる『東京国立近代美術館』(東京・千代田区)
1952年(昭和27)に日本で最初の国立美術館として開館し、日本の近代美術を中心に1万4000点以上を収蔵。3〜4か月ごとに入れ替えながら展示されています。
そして最大の特徴がー
『東京国立近代美術館』成相 肇さん:
「明治の終わりごろの作品が集まっている部屋だったりと、ページをめくるようにして“各部屋が各時代になっていて”進むごとに時代が新しくなる」
THE TIME,マーケティング部 佐藤あゆみ部員:
「当時の文化とか歴史も学べるんですね」
例えば萬鉄五郎の油絵『裸体美人』(1912年)。裸婦が横たわる下草が“炎のように揺れ動く”ような描き方だったり、“うねうね”した背景など「いかにもゴッホ風の書き方。同時代の最も新しい西洋美術を自分でもやってみた作品」(成相さん)
戦前の1920〜30年代、ピカソなどが活躍した時代の部屋に入ってみると「オシャレな絵が多い。色使いも鮮やかになっている」(佐藤部員)
そして、現代美術エリアで目を引くのは奈良美智の作品『Harmless Kitty』。「当館のコレクションの中でも、人気1〜2位を争う代表作」(成相さん)とのこと。
時代のながれに沿って部屋ごとのテーマによる展示を順に見ることで、新たな気付きもあります。
佐藤部員:
「近代から現代までに『ここまで変わるか』という面白さもあれば『あの時代があったからここがあるんだ』という、“通して見たときの面白さ”がある」
海×芸術“おいしいとこどり”美術館
文化の日にオススメの美術館2つめは『神奈川県立近代美術館』(葉山町)です。
『Web美術手帖』橋爪勇介編集長:
「美術館はインドア的なイメージだけれど、海のアウトドアも一緒に楽しめる“おいしいとこどり”」
海に臨む庭園を散策しながら野外彫刻を楽しんだり、海や富士山を一望できるスポットもある美術館。
▼20代女性:「波音を聞きながら静かに過ごせるのが一番良い時間」
▼20代女性:「ずっと海沿いを歩いてきた。景色もきれい」
日本近代美術史を代表する岸田劉生や、油絵の先駆者で日本初の洋画家とも呼ばれる高橋由一の作品など近代美術を中心に約1万6000点を収蔵し、一風変わった展示もあります。
例えば、翳(かげ)をテーマにした写真・絵画・彫刻などのコレクション展。
「すごい。これは何ですか?」佐藤部員が惹きつけられたのは、中上清の絵画『無題』。漆黒の空から金色の光が差し込み、闇の中の光を感じさせる作品です。
佐藤部員:
「面白い。一瞬を切り取っただけで、雲や光が“動いているもの”として見える」
そして最大のオススメポイントは「企画展も無料になる」ところ。通常、文化の日に無料になるのは「常設展だけ」というのが多いのですが企画展も無料ということで、美術館を丸ごとタダで楽しめちゃいます。
11月15日まで開催されているのは「銅版画家・駒井哲郎 掌上にひろがる星座のように」。日本銅版画界のパイオニア、駒井哲郎の企画展です。
『神奈川県立近代美術館』主任学芸員・西澤晴美さん:
「1人の作品を“初期から晩年まで”集めているので、ものすごく貴重な機会」
版画の作品『河岸』では、小舟が浮かぶ水面の向こうに木造の家屋や洋風の建物などが並ぶ街の様子が描かれています。
佐藤部員:
「近づいて見るから版画、絵だと分かるけど、少し離れたところから見るとモノクロ写真に見えるくらい鮮明」
編集長オススメ「美術館の見方」
橋爪編集長オススメの魅力的な美術館は地方にもあります。
『Web美術手帖』橋爪勇介編集長:
「美術館の建築は良い建築が多い。著名な建築家が作るケースが多く美術館建築も一つの作品」
▼『兵庫県立美術館』(神戸市)⇒安藤忠雄の巨大なコンクリート建築で「螺旋階段がものすごく美しい」
▼『広島市現代美術館』⇒黒川紀章の建築と広島市の景色で「圧倒的な迫力」
※詳細は番組インスタグラムでも紹介
橋爪編集長:
「美術館で作品を見るときに、『所有できるならどれが欲しいか』と思うとすごく楽しい。“生の作品が持つ力はすごく強い”ので、この機会に足を運んでもらえたら」
(THE TIME,2026年11月3日放送より)
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