不動産不況や高い失業率が続く中国ですが、去年倒産した飲食店がおよそ300万店と過去最多を記録しました。背景には「節約」や「コスパ」志向の高まりがあるようです。
北京市郊外にある串焼き料理店。おととし夏にオープンしましたが、客足が振るわず、去年の12月、閉店しました。
リサイクル業者
「中は肉でいっぱいだ」
Q.これ売れるの?
リサイクル業者
「売れるよ。1000元(約2万円)くらいだ」
機材などを運び出しているのは、倒産した飲食店を専門に扱うリサイクル業者です。厨房の設備を安く買い取り、別の店に販売しています。
ブレーカーが落ちてしまい、暗くなった店内でも作業は続き、売れそうなものは全て回収していきます。
串焼き料理店の経営者
「(商売は)ずっと良くありませんでした。2年で200万元(約4000万円)弱の損失を出しました。いまは不景気なので、商売が難しいです」
中国のコンサルティング会社によると、去年、中国で倒産した飲食店はおよそ300万店に上り、過去最多を記録しました。
6年前からリサイクル業を営む安大為さんは、最近倒産する店には共通の特徴があるといいます。
飲食店リサイクル業 安大為さん
「消費が落ち込んでいて、価格が高い店に対するニーズは明らかに減少しています」
高級店の苦境。背景にあるのは、市民の節約志向の高まりです。
記者
「こちらのショッピングモールなんですが、飲食店がほとんど潰れてしまっているような状況です」
市民
「景気が良くないので、支出を減らそうと思っています」
「(外食費は)以前と比べ、少し減っていると思います。最近お金を稼ぐのが大変ですし、子どもがいるので貯金しようと思っています」
さらに、新型コロナなどでリストラされた人たちが外食産業に流れ込み、おととしだけで200万店近くの飲食店がオープン。供給過剰になっていたことも要因だといいます。
中国で開かれている全人代=全国人民代表大会でも「消費」が大きな焦点になっています。
李強首相
「消費を押し上げるための特別行動を実施する」
李強首相は「とりわけ消費が落ち込んでいる」と危機感をあらわにし、対応する必要性を強調しました。
安さんは、価格が安い店でなければ今後は生き残れないと話します。
飲食店リサイクル業 安大為さん
「100元(約2000円)以内に客単価を抑えて、利益を出せる店が生き残っています。一番重要なのはコスパだと思います」
縮小していく消費にどう対応していくのかが、経済を立て直すためのカギになりそうです。
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