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日銀利上げ、0.5%はバブル後の金利の「天井」、利上げはどこまで?【播摩卓士の経済コラム】

経済
2025-01-25 16:14

日本銀行は24日、政策金利を0.25%引き上げ0.5%とすることを決定しました。0.5%という水準は、バブル崩壊後の最高水準で、今後の利上げは、いわば「未体験ゾーン」での判断を迫られることになります。


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政策金利0.5%は17年ぶり

日銀の利上げは、去年3月のマイナス金利脱却以来、3回目です。この間、政策金利はマイナス0.1%から0.1%に、次いで0.25%に、そして今回0.5%へと、上がったことになります。


日銀の政策金利が0.5%になるのは、なんと2008年以来、17年ぶりのことです。2008年と言えば、リーマンショック直前のことでした。当時の福井総裁が、物価高などを背景に前年の2007年2月に政策金利を0.5%に引き上げたものの、アメリカの不動産バブル崩壊が始まり、わずか1年8か月で0.5%時代は幕を閉じたのでした。


それ以前となると、0.5%は、金融危機の恐怖が未だ冷めやらぬ、1998年まで遡らなければならず、バブル崩壊後の日本経済にとって、0.5は、金利の「天井」「壁」だったのです。


次の利上げは夏以降か

今回の利上げが過去2回と異なるのは、利上げ幅が0.25%もあり、それがフルに効いてくることです。前回7月の利上げでは、利上げ幅は0.15%でしたし、3月のマイナス金利脱却時も、見かけの利上げ幅こそ0.2%ありましたが、実際の貸出金利がマイナスになっていたわけではないので、影響は僅かなものでした。今回は、企業への貸出金利や住宅金利の変動金利もそれなりの幅になるでしょう。


引き上げ幅だけでなく、水準そのものも、過去30年で最高と、これまで「見たことのない」金利が出現するのですかから、植田総裁も記者会見で今後の利上げについて「注意深く進めていきたい」と述べました。ただ同時に、植田総裁の会見からは、0.5%を特別な「壁」として意識しているとは感じられませんでした。


では、次の0.75%への利上げは、いつになるのか。今年の春闘で中小企業も含めた賃上げが強ければ、4月にもということも、論理的にはあり得ますが、普通に考えれば、次の利上げまで半年後、つまり夏以降ということになるのでしょう。


ただ、7月には参議院選挙もあって、政局混迷の可能性もあります。その一方で、想定以上に、それまでに円安や物価高が進む可能性もあり、まさに「未体験ゾーン」で、情勢を見ながら次のタイミングを見計らうことになりそうです。


日本の利上げの『終着駅』は?

次の利上げの時期だけでなく、日銀がどこまで利上げを進めるつもりなのかも、大きな焦点です。その「到達点」「終着駅」はどこなのか。


景気を熱しも冷ましもしない中立金利は、物価上昇率+自然利子率と言われます。物価上昇は2.0%が目標値です。自然利子率は、潜在成長率に類似するもので、日銀の推計では、日本の場合、マイナス1.0%からプラス0.50%に間だろうとされています。


単純に足し算をすれば、日本の中立金利は、1.0%から2.50%の間ということになりますが、今の時点で日本の政策金利が1%を大きく超えるところまで上げられると思っている人は、あまりいないように思えます。


政策金利が急激に高くなれば、国債の利払いが急増して財政が持ちませんし、国債を大量に保有する日銀のバランスシートも悪化するわけで、政府の財政赤字の縮小や日銀の国債保有の減少といった別の条件が必要になってくるように思います。


それに、そもそも景気が悪化すれば、中立金利より緩和的にならざるを得ないわけで、まずは、理論値の最低値である1.0%まで行けるかどうかが、当面、焦点となるでしょう。


金利が上がるのは、デフレ脱却の証

過去30年の「天井」「壁」だった0.5%から先の利上げは、文字通りの「未体験ゾーン」です。しかし、それは過去30年物価も賃金も上がらなかった日本経済が、デフレから脱却したことの証でもあります。


ここから先の利上げには、デフレ脱却の「確信」が必要なように思えます。「確信」とは、家計や企業が、物価上昇に釣り合った形で、賃金や売り上げが増えていると思えるようになっているかどうか、ということです。実質賃金がマイナスのままでは、とても、そんな「確信」には至らないでしょう。


日本経済を前向きにまわしていくための政策努力は、なお必要であり、久々の金利の正常化に安堵している余裕などありません。


播摩 卓士(BS-TBS「Bizスクエア」メインキャスター)


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