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トランプ大統領が「相互関税」導入を正式に表明 日本も対象となる可能性が…【Bizスクエア】

経済
2025-02-19 09:28

トランプ大統領は、アメリカに高い関税を課している国などに同様の関税を課す「相互関税」の導入を正式に表明した。日本も対象となる可能性が出ている。


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アメリカが「相互関税」導入表明 日本も対象の可能性

トランプ大統領:
公平性を保つため、私は「相互関税」を課していくことを決めた。他の国がアメリカに課しているのと同じだけ我々も関税を課す。


アメリカのトランプ大統領は2月13日、アメリカの輸入品に高い関税を課している国などに同様の関税をかける「相互関税」を導入するための命令書に署名した。
 
今後、国ごとに貿易が「不公平」かどうか、状況を調べ、関税を課すかどうかを決めるとしている。さらに、アメリカは「関税以外の規制やルール」=「非関税障壁」がアメリカからの輸出の障害となっているとして問題視している。


アメリカ・ホワイトハウス高官は日本について、「関税は低い」としつつも、「構造的な障壁が高い」国だと名指しした。トランプ政権は、早ければ4月にも「相互関税」を発効させるとしている。この発表を受け、林官房長官は…


林 芳正 官房長官:
本件発表を受けて、既に米側と意思疎通を開始している。


この相互関税の導入決定の3日前。トランプ大統領は鉄鋼とアルミニウム製品について関税の発動を表明していた。


トランプ大統領:
これは大きなことだ。アメリカを再び豊かにするのだ。(鉄鋼とアルミ製品に)25%の関税を課す。例外も免除もない。すべての国から。


止まらない“トランプ関税” どうなる?日本への影響

トランプ大統領は10日、アメリカが輸入するすべての鉄鋼とアルミニウム製品に
25%の関税を3月12日から課す命令書に署名した。


トランプ大統領:
アメリカの鉄鋼・アルミ産業はかつて素晴らしかった。今はそうではない。
 
そして、鉄鋼やアルミニウム製品だけでなく、自動車や半導体、医薬品などを対象に追加関税を検討していると明らかにしている。


このトランプ関税に対し、アメリカ企業から不満の声があがっている。メキシコやカナダの工場から車やその部品を輸入するアメリカの自動車大手、フォード・モーターのジム・ファーリーCEOは…


フォード・モーター ジム・ファーリーCEO:
私たちが目の前にしているのは、多大なコストと非常な混乱だ。


一方、日本でも鉄やアルミの金属加工を行う中小企業がトランプ関税の影響を懸念している。


佐藤製作所 佐藤修哉 常務取締役:
弊社の場合はアルミニウムや鉄鋼を材料のメーカーから買い取って加工する会社。
価格の上昇というのも経営上影響を及ぼす要因で、逆に関税をかけることで、アルミニウムや鉄鋼が余ってしまうことがもしあった場合、価格が下がる可能性もある。巡り巡ってモノづくり、製造業という業界において波及性はある。


林官房長官は2月12日、日本を対象から除外するようアメリカ政府に申し入れたことを明らかにしている。


同じ日、石破茂総理は国会で…


石破茂総理:
今回発足したばかりのトランプ政権との間で日米同盟の揺るぎない結束を国際社会に力強く示すことができた。


石破総理は、トランプ大統領との首脳会談の成果に自信をのぞかせたが、野党からは・・・


立憲民主党 福山哲郎参院議員:
(投資拡大など)大きなお土産を持って行っても関税は課せられた。


石破茂総理:
会談で(関税の)議論はなかった。


トランプ政権による日本への関税は、一体どうなるのか。


いくつも違う関税戦争が出てきている。トランプ大統領は、アメリカに流入する不法移民や薬物対策として、カナダ・メキシコに25%、中国に10%の追加関税を課すとしている。また、鉄鋼アルミニウム製品には25%の関税。アメリカに高い関税を課している国などに同じように関税を課す「相互関税」も打ち出している。


――「相互関税」。当初トランプ氏が言った「世界一律10%か15%を課す」というものの変形か。


明星大学経営学部教授 細川昌彦氏:
そうとも限らない。それはそれで、またぞろ出てくる可能性もある。まだ政権の中が混沌としている。


「相互関税」日本も対象か? 止まらない“トランプ関税”

「相互関税」はどういうものなのか。例えば自動車の例で見てみると、EU(ヨーロッパ連合)は10%を課している一方で、アメリカはというと2.5%。これだと不公平だということで、EUから輸入する自動車への関税を10%に合わせることなどが検討されているのではないかといわれている。


――トランプ大統領が正しいようにみえるが、同一品目で同じ関税を課す必要はない。
 
明星大学経営学部教授 細川昌彦氏:

「アメリカはトラックに25%の関税をかけている。それでは日本も25%かけようか」となる。これは完全にアメリカのご都合主義。


さらに「非関税障壁」も対象だと言っている。基準は安全・規制の問題、付加価値税、内国税制、為替操作などを調査の対象にするとしている。


明星大学経営学部教授 細川昌彦氏:
アメリカが相手に(関税を)かけるときの理屈を考えるための身勝手な論理。なので1つ1つに、きちんとした理屈があるわけではない。そうやって色々な“いちゃもん”をつけて、相手に関税をかける。そのための制度だと思った方がいい。


――各国ごとに調査して、関税を決めるまでに時間かかるのではないか。
 
明星大学経営学部教授 細川昌彦氏:

エイヤとやるだろう。緻密な作業ではないと思う。


――適用除外を希望する国に、ディール(取引)をしようとしているのか。
 
明星大学経営学部教授 細川昌彦氏:

そうだ。だから精緻な集めた数字を言う必要は全くない。交渉するための最初の出だしだから、そうならない。


――自動車関税に関してはどう理解すればよいか。
 
明星大学経営学部教授 細川昌彦氏:

根拠法が何かわからないが、トランプ政権第1期時に日本が「自動車関税25%」と言われたときは、通商法301条の「不公正な貿易慣行をやっている」という理由でやられているので、今回も何か屁理屈を付けてやってくるのではないか。あるいは自動車の品目全部をやるのか、まだわからない。いろんなものが今、混沌としている。彼らにしてみれば「やれればいい」。


トランプ政権内で対立も 目玉の関税政策めぐり

――トランプ政権内は、意思が統一されているのか。
 
明星大学経営学部教授 細川昌彦氏:

今は政権内の政治力学がわかっていないと、この構造はわからないと思う。政治力学とは何かというと「MAGA派」アメリカ第一主義を首謀しているナバロ氏という上級顧問。序盤戦では彼は一番、声が大きい。そしてバンス副大統領もMAGA派。それに対して温和で「関税をかけすぎるとアメリカ経済が良くならない、まずい」と言ってブレーキ役をするのが「親ビジネス派」でウォールストリートから来ているベッセント財務長官とラトニック商務長官との綱引きが日々起こっている。例えばナバロ氏が主導して「メキシコ・カナダに関税25%をかけた」と。しかししばらくしたら「1か月先に猶予する」と。これはベッセント財務長官がその間、交渉してやめさせるためにやっているという綱引きが起こっている。ある一人が綺麗な理屈で整理してやっているわけではない。


――トランプ大統領が、全部計算して決めているわけではない?
 
明星大学経営学部教授 細川昌彦氏:

わざと対立させる。その上で「最後は俺が決めるぞ」ということで、そのときのトランプ氏の覚えがめでたい人たちの声が出てくるだけ。真面目に理屈をつけて説明するのはおかしい。


――親ビジネス派は米国経済が悪くなると困るから説得する?
 
明星大学経営学部教授 細川昌彦氏:

ポイントは株価。第1期トランプ政権を見たらものすごくわかりやすい。トランプ大統領は2026年の中間選挙で勝つことがポイント。そのためには株価が維持されてないと駄目。ベッセント財務長官は、株価維持のためのブレーキ役とみられる。


日米首脳会談の成果は 合意内容をどう評価?

――日米首脳会談が成功だと石破総理も言っているが、鉄鋼・アルミ関税や相互関税の話は出なかったのか。
 
明星大学経営学部教授 細川昌彦氏:

出ていない。これは単なる顔合わせだけで、試合は始まっていない。野球の試合前にお辞儀するのと同じ。だから試合はこれから。今はもう試合が始まっているが、このときはまだ始まっていないとみる。あれだけで成功・失敗という評価の議論をするのは早計だ。


――これから日本が交渉で関税の適用除外になるために切るカードはもうないのでは?
 
明星大学経営学部教授 細川昌彦氏:

カードを切ってるようには思わない。対米投資も今8000億ドルであと2000億ドル上乗せすればよい。ソフトバンクが大規模にAI投資するから成り行きで1兆ドルになると言っているが、別にこれでコミットしたわけではないが、相手はコミットと受け取ったと思う。アメリカ産のLNGも高ければ買わない。そこは適正価格で、あるいは日米双方が利益のある形といったキーワードがある。価格次第ということだ。


――アラスカ産のLNGを買うとか、日鉄は49%でもよいとか約束はしていない?


明星大学経営学部教授 細川昌彦氏:
一切していない。特にアラスカ産LNGは、筋悪な案件。採算が取れない。アラスカ州の北にガス田がある。そこから南まで1300キロのパイプラインを永久凍土の上に引いて日本に持って来いという。440億ドル、6~7兆円かかる、誰が出すのかという話。だからアメリカの石油会社、エクソンやシェルは手を引いている。そのババをつかまされるのが日本・韓国という構図になってはいけないので、一切こちらからは言わない。アメリカはハガティ元駐日大使のように提灯持ちをする人が多くいるので、気をつけなければいけない。日本の経済界も関係業界も一切関心を持ってない。採算が絶対取れないということをわからなければいけないと思う。


(BS-TBS『Bizスクエア』 2月15日放送より)


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情報提供元:TBS NEWS DIG Powered by JNN

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