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Z世代に流行「ジェネリック〇〇」とは? 無印良品も「高級」扱い、ルーツは「新海誠監督」?

経済
2025-04-03 07:30

Z世代を中心に広がるキーワード「ジェネリック〇〇」をご存知でしょうか?
「ジェネリック」といえば、医薬品の分野で使われている言葉ですが、価格は手頃でありながら品質の良い代替品を指す言葉として、若者たちの間で大きな注目を集めています。


「安かろう悪かろう」とされてきた低価格の商品のなかでも、品質の高さが注目され、消費者の需要がシフト。いまや「無印良品」も値段が高いと受け取られ、「ジェネリック無印良品」と呼ばれる商品が話題になっています。


一体なにが起こっているのか? リサーチャーのcomugiさんとPodcastプロデューサーの野村高文が考察します。


<東京ビジネスハブ>
TBSラジオが制作する経済情報Podcast。注目すべきビジネストピックをナビゲーターの野村高文と、週替わりのプレゼンターが語り合います。今回は野村による音声コラム、2025年2月23日の配信「Z世代に『ジェネリック◯◯』が大流行。マーケティングはどうなるのか?(comugi)」を抜粋してお届けします。


「ジェネリック商品」とは何か?

野村:
Z世代の間で「ジェネリック〇〇」という言葉が今流行っています。「ジェネリック」とは医療業界の言葉で、新薬の特許が切れた後につくられる、同様の効き目がある、比較的安価な後発の医薬品を指す言葉です。そのジェネリックという言葉が「代替品」を指すスラングとして広がっています。その背景などをリサーチャーのcomugiさんに伺います。


comugi:
「ジェネリック〇〇」の例として、メディアで話題になったものだとディスカウントストアのドン・キホーテの取り組みで「ジェネリック香水」と呼ばれるものがあります。

高級な香水といえばシャネルなどがハイブランドとして知られていますが、その「ジェネリック」としてほぼ同じ香りをほぼ同じ成分で再現した商品を、「ジェネリックフレグランス」というシリーズで2000円前後で販売しています。

高級ブランドの香水は1万円前後はするので、価格は5分の1です。これが若者に人気で、発売から約1年半でシリーズ累計5万本を超えるヒット商品になりました。


野村:
これは結構面白い現象ですね。もともと香水のような商品は、原価はどれくらいなんだろうかといわれていました。つまり、夢が詰まっていたり、パッケージに値段がついていたりして、プロダクトの原価はかなり安いといわれていた印象です。そこをドン・キホーテが逆手に取ったことですね


comugi:
そうですね。香水は非常にわかりやすい例です。他のジャンルで、同じ成分のものが比較しやすいものだとコスメ(化粧品)です。この「ジェネリックコスメ」もとても流行っています。

高級なコスメといえば、デパートの化粧品売り場で扱われているハイブランドなどが「デパートコスメ」と呼ばれ、YouTubeなどでも「デパコス」としてひとつのジャンルになっています。それに対してジェネリックコスメという言葉ができる前は、「プチプラコスメ」と呼ばれていました。

プチプラとは、小さな(プチ)価格(プライス)という意味の和製洋語なのですが、それが進化したようなものが「ジェネリック〇〇」というジャンルです。


野村:
プチプラという言葉は確かにずっと前からありましたね。ただ、「安かろう悪かろう」というイメージが少しありました。ジェネリックと言われると、成分が一緒なので品質も良いイメージもあります。


comugi:
言い換えにも近いことですが、コスメにはもともと「成分指名買い」というジャンルがあります。例えば「ビタミンCが配合されている」など特定の成分を求めてコスメを選ぶ現象です。

「同じ成分だったら同じ商品だ」というのはまさにジェネリック医薬品と同じ発想です。このような発想で消費者が様々なものを買うようになったという話ですね。


「ジェネリック無印良品」も登場

野村:
そうすると、ドン・キホーテのジェネリック香水やジェネリックコスメという例を挙げていただきましたが、美容の分野以外にも似たケースはありますか。


comugi:
代表的なものは日用品
です。そのなかで、若者の間で「ジェネリック無印良品」が浸透しています。

今や無印良品はブランド化しており、無印良品よりも安く、品質が遜色ないとして、100円ショップのダイソーのブランドの「Standard Products」が「ジェネリック無印良品」と呼ばれています。この「Standard Products」は価格が100円均一じゃないブランドで最近ダイソーが力を入れています。


野村:
面白いですね。


comugi:
取り扱っているのは文具などの日常品です。3COINSもそうですが、ディスカウントショップのなかでは価格が比較的高いものでも、質が良ければ買うという価値観が醸成されてきた中で、無印のジェネリックとして一般的に若い人を中心に買われている状況です。


野村:
そういうことですね。思い返すと、無印良品はもともとブランドのカウンターとして出てきた総合ブランドですよね。


comugi:
そうです。無印良品は1980年代のバブル最盛期の消費カルチャーを牽引していた、西武グループの西友のプライベートブランドから発展したブランドです。当時はブランドに対するアンチテーゼを作ろうとするなかで、糸井重里さんが西武百貨店のコンセプトを作りました。それが「おいしい生活」です。


野村:
超有名なキャッチコピーですね。


comugi:
そんな西武のグループの西友からのプライベートブランドで、安くて高品質を売りにしていたブランドが無印良品だったわけです。それが今の若者にとっては、ちょっと値段が高いというイメージになったことが、ちょっと興味深いですよね


野村:
そうですよね。無印もついにジェネリックの対象になったか、と。


comugi:
無印商品の主軸商品は化粧品です。デパコスに対して無印は低価格ですが、さらにその無印がやっている日用品を低価格で高品質で勝負するダイソーのStandard Products。この図式は今までのブランドからしたら脅威そのものです


野村:
そうですね。また時が経てばダイソーのStandard Productsもジェネリックの対象になっていくかもしれませんね。


「ジェネリック〇〇」のルーツは新海誠?

comugi:
やはり言葉が生まれると力を持ちます。もともとジェネリックは冒頭で述べられたように後発医薬品の話でしたが、「ジェネリック〇〇」と多ジャンルでも表現された経緯を調べてみました。

どうやら新海誠監督のアニメの『君の名は。』が大ヒットしたことをきっかけに、『君の名は。』と作風が近い「新海誠風」のアニメーション映画が続出しました。それをニコニコ動画などのサブカルチャーの人たちが「ジェネリック新海誠」という表現を使ったことから派生したという説があります。


野村:
最近のネットカルチャーなどの影響もありますか。


comugi:
間違いなくショート動画の影響があります。例えばショート動画で商品企画「A対B」のような動画を想像してください。すごく動画映えしやすいですよね。

そうなると、先ほど話した「デパコスVSプチプラコスメ」は非常にわかりやすい構図です。ドン・キホーテにジェネリック香水があったときに、なかなか店頭では「シャネルの香水のジェネリックです」とは伝えられません。

それをある意味でインフルエンサーやキーオピニオンリーダーと呼ばれる化粧品に詳しい方々が動画として配信します。


野村:
メーカー側はおそらく、商品開発の段階では高級ブランドを想定競合として企画していますが、それを効果効能として大っぴらに表現するわけにいかないわけですよね。


comugi:
ブランドに対して言っちゃうと、そのブランドから不信感を持たれますよね。


野村:
そうですね。だからバズるコンテンツのフォーマットとしてもよくできてるわけですよね。


comugi:
いくら「高品質です」と訴求しても伝わりにくいですが、「1万円のシャネルのフレグランスがなんとドン・キホーテで2000円で買えます」と表現したら、訴求として強いうえに誰でもわかります。

韓国コスメも今人気で、K-POPなどの韓国の文化産業のひとつとして輸出されている状況です。もともと韓国の化粧品産業はOEM(委託者のブランドで製品を生産すること)から始まっています。それが今や韓国に技術が蓄積し、高品質なものを作れるようになっているため、韓国の無名の高品質ブランドが立ち上がっている事象が発生しています。

かつては中国製は品質が「低いけれど安い」というイメージが広がっていましたが、今や中国製品の方が品質が良い場合もあります。

テレビのメーカーも様変わりしていて、日本のテレビがほとんど売れなくなっている背景には、この1~2年で中国系の液晶テレビメーカーが一気にシェアを取ったというニュースもあります。このような現象が起きるほど大きな消費や産業が成熟化していることが大きなポイントになると思います。


ジェネリック時代のマーケティングとは?

野村:
今後はブランド名だけでなく、「どこで差別化するのか」という点と、「価格の正当性をどうするか」という点が重要になりますね。一方で、高く売れることは悪いことではなく、それが経済成長を生み出した側面もあります。コスパ重視になり均衡する先がどうなるのかと個人的に気になります。


comugi:
そうですね。二極化することはあると思います。
高品質で低価格のジェネリックが登場していますが、例えば日本のアニメキャラクターをパッケージにつけるなど、「キャラクター物」として日用品を作るといった動きがあります。それは付加価値を作る方向性として今も昔もありましたが、今は顕著になっていると感じます。

ちょうど今日セブン-イレブンに寄った際、チョコレートブランドの「ダース」のパンが登場していました。セブン-イレブンもパンに既存のブランドを入れるとは驚きましたが、このようにブランドを横展開する方法は徐々に増えている印象があります。今までブランド=商品だったものが、そのブランド価値をちょっと横にずらして違う商品に転用していきましょうという動きが見られます。

一方で、ドン・キホーテでルイ・ヴィトンのバッグが売られていることには違和感がありますよね。もう少し購買の体験価値が意識された高級品に再構築されることを期待します。

例えば、ビール会社が自分のビール会社の工場を追体験できる、イマーシブ型の施設を作り、飲み比べをして味を確かめることができるという事例があります。ペアリングで美味しい食べ物とセットでおすすめすることは、まさに体験です。

体験したことがそのままプロダクトの価値に繋がる動きが多く見られるようになっています。従来のマーケティングは4Pなどのフレームワークに基づいていました。しかし、「ジェネリック〇〇」の躍進によりブランドの体験価値が求められるようになった今では、その枠組みで捉えきれない情報環境になっていると思います。


<聞き手・野村高文>
音声プロデューサー・編集者。PHP研究所、ボストン・コンサルティング・グループ、NewsPicksを経て独立し、現在はPodcast Studio Chronicle代表。毎週月曜日の朝6時に配信しているTBS Podcast「東京ビジネスハブ」のパーソナリティを務める。


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