町に古くからある商店街。いつしか賑わいを失い「シャッター通り」なんて言われてしまう場所も増えています。こうした中、「生き残り」をかけて様々な取り組みをおこなっています。
商店街の空き店舗率減少 商店街に賑わいを
熊崎風斗キャスター:
現在の商店街を取り巻く状況を経済ジャーナリストの坂口孝則さんに聞きますと、「コロナ禍でECサイトの利用が一気に増えた。その影響などで最近では大型店でも閉店が相次いでいる。商店街への影響はもっと深刻」さらに「キャッシュレス決済導入の遅れも客足に影響しているようだ」といいます。
井上貴博キャスター:
今、商店街は利益率などとても厳しい状況だと思います。ただ、全体の流れとして“レトロ回帰”の傾向にあるので、そういったところに商機があるのではないでしょうか。
萩谷麻衣子弁護士:
SNSなどを見ると猫が店長をしているお店や、ショールームに猫が寝転がっている動画があって、そういうお店に行ってみたいなと思うことがあります。意外と商機は(近くに)転がっているかもしれません。
商店街 生き残りをかけた戦略 「東京商店街グランプリ」若者が訪れる策とは?
熊崎キャスター:
中小企業庁「令和3年商店街実態調査」によりますと、商店街の空き店舗率は▼2018年 13.77 %、▼2021年 13.59 %とやや減少し、店舗自体は増えている傾向があります。
各商店街は様々な努力をしているようです。商店街が行った優れた取り組みを表彰する『第19回 東京商店街グランプリ』で、町田市の「町田木曽団地名店会」と「山崎団地名店会」が優秀賞を受賞しました。
この隣接する2つの商店街の近くには桜美林大学のキャンパスがあるのですが、2020年に大学ができた当初、学生たちはあまり商店街を訪れることはなかったそうです。
その後、大学と連携し学園祭と「木曽山崎ハロウィンビストロ祭り」を同日開催し、スタンプラリーや写真コンテストを行ったところ、若者が商店街にたくさん訪れてくれるようになったということです。
萩谷弁護士:
ベンチャー企業や、若者が新たに起業する際に、商店街で部屋を借りれば家賃を安く抑えられるメリットもあると思います。そういった方々を呼び込むのもいいのではないでしょうか。
月に350人が泊まる商店街 菓子店の客室に…入浴は銭湯で
熊崎キャスター:
物を買ってもらうことはもちろんですが、まずはたくさんの人に来てほしいということからある取り組みを行っている商店街があります。
大阪の近鉄布施駅に隣接する布施商店街。1.8㎞にわたって青果店や惣菜店など、昔ながらの店舗が軒を連ねていて、その一角に、婦人服のお店があるのですが、ここがなんとホテルのフロントになっています。
受付を済ませスタッフに案内されたのは、そこから徒歩2分の和洋菓子店です。店舗の看板があるものの、建物の中はフルリノベーションされたモダンな客室です。部屋の窓から見える景色はアーケード商店街。まるで暮らしているような雰囲気です。
萩谷弁護士:
駅近で立地もいいですね。
熊崎キャスター:
2018年から行っている「SEKAI HOTEL Fuse」は大阪の中心地からもほど近く、月に約350人が宿泊をしているそうです。客室は空き店舗を活用し、▼料金は1泊(夕朝食付き)1万734円~ ▼入浴は銭湯を利用(1回無料)、ここにはサウナや1回30円で利用できるレトロな自立式ドライヤーを使って楽しむことができます。
夕食は「お好み焼き屋」か「海鮮居酒屋」が選べるそうです。朝食は2店舗から選べる喫茶店のモーニング、さらに宿泊者には『SEKAI PASS』を配布し、商店街の中の決められたお店でパスを見せると「ドリンク1杯無料 」「かまぼこ1個サービス」といったことも行っているということです。
井上キャスター:
リノベーションなどの初期投資は商店街側が払っているのですか?
熊崎キャスター:
まずホテルがやって、商店街に持ちかける。つまり商店街がホテルの取り組みと一部連携をしているそうです。
ホラン千秋キャスター:
客室が点在しているものの、商店街全体が大きなホテルだと考えれば様々な選択肢があると思います。効率や便利さだけを考えれば通販で購入してもよいのですが、人と話して温もりを感じる体験はその場に行かないとできませんからね。
進む高齢化 課題は後継者 飲食店後継者マッチング増のサイト
萩谷弁護士:
後継者不足が深刻化していますが、逆転の発想でお年寄りの活躍を前面に出すのもいいと思います。
井上キャスター:
ものすごくチャンスがあると思います。例えばホテルにはない魅力ですよね。数万円のコース料理よりも、もんじゃ焼きやお好み焼き屋があって、ここにしかないというのは、ある意味で価値も選択肢もあるということではないでしょうか。
熊崎キャスター:
商店街にはまだまだ課題があるようです。
【商店街が抱える問題は?】
・後継者不足 72.7%
・店舗の老朽化 36.4%
・集客力や話題性のある店舗がない 30.4%
(2021年 中小企業庁調べ 有効回答:全国の商店街5105件)
2020年からサービスを開始した、“後継者探し”のマッチングサイト「リレイ」では、現在までに応募累計500件超(実名開示)、マッチング実績は約100件以上もあるそうで、特に飲食店のマッチングが多いということです。
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<プロフィール>
萩谷麻衣子さん
弁護士
結婚・遺産相続などの一般民事や、企業法務を数多く担当
・「コバエが、料理に一瞬だけ止まってしまった!」その料理、衛生的に大丈夫?専門家に聞いた
・右腕は切断され、売られた アルビノの体を呪術に使用 “これはビッグビジネス” ザンビアに残る“迷信”の実態
・ビール1杯で高まる大腸がんリスク、厚労省が初の「飲酒ガイドライン」、“健康的に”お酒を飲むには?【Nスタ解説】