19日発表される日銀の金融政策決定会合での焦点は、政策金利を現在の0.25%から0.5%に引き上げられるかどうかです。0.5%となった場合、家計への影響はどうなるのか、為替や物価高は?住宅ローンや預金の利息はどのくらい増えるのか、専門家に取材しました。
金利0.5%? 生活どうなる?
小川彩佳キャスター:
久々の金利のある世界の到来、ということでボーナス争奪戦とも言うべき、「預金の獲得競争」が起きています。
こうした中、18日・19日で行われているのが日銀の経営政策決定会合ですが、焦点は更なる利上げ、現在の政策金利0.25%から0.5%に引き上げるかどうかという点です。
23ジャーナリスト 片山薫さん:
まず、金利が上がるかどうかの前に、もし上がったらどうなるのかを先にお伝えしたいと思います。
まず、仮に金利を引き上げた場合に一番影響するのは為替です。
例えば、現在1ドル153円程度ですけれども、149円ぐらいまで円高方向に動くのではないかと見られています。
これに伴い、物価も少し安くなるんじゃないかと。円安が少し収まれば、1世帯当たり年間で2000円ほど家計負担が減っていくのではないかとみられています。
もう1つ嬉しいのは預金の金利です。仮に、100万円を10年定期で預けた場合、年間利息が2100円程度増えていく可能性があります。
一方で苦しいのが、仮に住宅ローンを4000万円のローン35年で借りていた場合、変動金利だと年間6万円程度は負担が増えていく可能性があるという試算です。
小川キャスター:
私たちの生活にも影響がありますが、この金利のある世界について、どのように感じていますか?
トラウデン直美さん:
お金に関して物心がついてから、全く経験がないので、まだ実感としてはないです。
ただ、1番気になるのはやはり預金をしていて、今後利息が増えていくけれども、物価はまだ上がっていて、そのせめぎ合いはどうなのでしょうか?
23ジャーナリスト 片山さん:
預金金利が上がるので、その分お得になるというのもありますが、実際には物価って2~3%の勢いで上がっています。
それに対して、PayPay銀行の場合は特別ですが、大体0.3%とか0.1%が多いので、正直、預金で預けていても物価が上がってしまえば預金としては目減りしてしまいます。
トラウデン直美さん:
安心してはいられないのかなと思いつつ、でも物価が少し落ち着くならそれはいいことなのかなと…円安の方が、日本全体の経済としてみたらプラスマイナスどちらになるのでしょうか?
23ジャーナリスト 片山薫さん:
難しいですね。一定程度、特に輸出企業にとっては円安はプラスになるので海外に物を売りやすくなったり、海外での収益が増えていったりします。
けれど、あまり進むと物価高がどんどん進んでしまうので、まさに円安なのか、金利を上げるのかという非常に難しい選択をいま迫られています。
利上げの判断は?日銀が発表
小川キャスター:
実際に利上げが行われるのかどうか、いかがですか?
23ジャーナリスト 片山薫さん:
市場で金利がどうなるかを見ている人たちの見方としては、「19日の利上げは見送られるのではないか」という方が多い予想になっています。ただ注意するべきなのが今、為替は153円台後半ですが、先ほど154円台まで行きました。これは利上げをしないと、それだけ円安がどんどん進んでしまう恐れがあります。
これを日銀が食い止めるかどうかと言うと、今は食い止め時なんじゃないかと私は個人的には思っています。日銀の利上げというのも、委員の中では意見は割れていると思いますが、やってもいいタイミングなんじゃないかなと個人的には思っています。
藤森祥平キャスター:
年末年始に、円安がさらに進む可能性があるわけですね。
みずほ銀行のチーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔さんによると、「日本は、円安か金利上昇のどちらかを選ばないといけない」ということです。
23ジャーナリスト 片山さん:
このまま放置しておき、低金利を続けていくと円安・物価高になってしまう。一方で、金利をどんどん上げていくと、企業も借金が返せず、住宅ローンも返せなくなってしまって金利上昇でもやっぱり経済を冷やす可能性があります。
ただ、円安も放置すると家計が厳しく、景気が悪くなるかもしれないという意味で、どちらをとっても厳しい茨の道なんじゃないかなと思います。
トラウデン直美さん:
現在は金利上昇をしていけるほどの元気はまだあるのでしょうか?
23ジャーナリスト 片山さん:
本当に金利上昇が少しずつなので、まだ2回ぐらいは…少なくとも3回ぐらいまではできるのではないかと言われてます。
しかし、これ以上やっていくと今度企業が持たないといったことになるので、わずかですけど円安是正のチャンスはこれからもあるんじゃないかなと思います。
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「預金の利息増加」…27.0%
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「為替」…6.8%
「住宅ローン・家賃」…15.5%
「その他・わからない」…4.6%
※12月18日午後11時15分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
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〈プロフィール〉
片山薫さん
23ジャーナリスト 経済部筆頭デスク
財務省や経産省・農水省などを担当
コロナ禍では政府のコロナ対策取材を指揮
トラウデン直美さん
環境問題やSDGsについて積極的に発信
趣味は乗馬・園芸・旅行
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