子どもの時に太っていると、大人になっても太ってる?
2016-10-14 18:30:35
執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
「子どものころ太っていると、大人になっても太っていて、やせにくい」という話をきいたことがありませんか?
はたしてこれは、本当なのでしょうか?
太りにくい身体作りの方法とあわせて、解説していこうと思います。
子どものころの肥満よりも…
子どもの頃に太っていることに関して、次のような話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
・子どもの頃に太っていた人は、脂肪細胞の数が決まっているので、太りやすく痩せにくい
・脂肪細胞の数は、20歳位までに決まってしまう
・子ども頃に太っていなかったら、大人になって太ってもすぐ痩せられる
これらの説は、間違いだということがはっきりしてきています。
これまでの研究で、脂肪細胞は、年齢にかかわらず分裂と増殖を繰り返すということがわかってきました。つまり、小さい頃に肥満だったかどうかには関係がりません。
「食べ過ぎ」を繰り返していることで、細胞がその余分な脂肪を吸い取って大きく膨らんでいきます。さらに脂肪細胞が膨張して限界に達すると、細胞分裂して数が増え、分裂した脂肪細胞が同じように膨張して増えていくという循環になり、肥満になっていきます。
肥満に関係する脂肪細胞
ここまでお話したように、肥満には脂肪細胞の分裂と増殖が関係しています。脂肪細胞には、次の2種類があります。
1.白色脂肪細胞
通常、脂肪細胞と言っているのは、この「白色脂肪細胞(はくしょくしぼうさいぼう)」を指します。下腹部、お尻、太もも、背中、二の腕、内臓の周りに多くあります。
一度増えてしまった白色脂肪細胞は、減らすことが難しいのですが、上手にダイエットすることで、大きくなった細胞を小さくすることは可能です。
ただ、数自体は減っていかないので、細胞が大きくなるとまた太ってしまい、リバウンドにつながります。
2.褐色脂肪細胞
「褐色脂肪細胞(かっしょくしぼうさいぼう)」は、白色脂肪細胞を燃焼させる脂肪細胞です。首周り、わきの下、心臓、腎臓、そして肩甲骨の周りにあります。
この褐色脂肪細胞が活発だと、太りにくいということになります。この細胞は、減ることはあっても増えることはありませんが、働きを活発にすることはできます。
つまり褐色脂肪細胞の付いている部分を活性化させるのです。
太る人、太らない人
いくら食べも太らずに体型を維持できている人がいます。逆に、同じものを食べているのに太ってしまう人がいます。
なぜこのような違いがでるのでしょうか。また、太りにくい体質を作るにはどうしたらいいのでしょうか。
太りにくい体質の人は、食べても血糖値があまり上昇しない・食べたものがすぐ腸に送られていくほど、胃の働きが活発である・排便されるのが早いなどの特徴があります。
体質ですから、変えるのには時間がかかり、容易ではありません。しかし、生活習慣を見直すことで太りにくくなることは可能です。
太りにくい身体を作るために
運動
太りにくい身体にするためには、脂肪を燃焼しやすい身体にしていくことです。筋肉の量を増やして活性化させ、エネルギー消費量が増やすことで、脂肪を燃焼させることが必要です。
そのためには有酸素運動をしましょう。
継続的にジョギングやウォーキングを行うことで、脂肪が燃焼されやすくなります。また、スクワットや腹筋運動、腕立て伏せなどを少しずつ行うと効果があります。
食事
そして大事なのは、食事です。いくら運動をしても食事の摂り方がめちゃくちゃでは痩せる身体を作ることはできません。
理屈では、消費されるカロリーが食事で摂ったカロリーより多ければ、痩せていきます。
しかし、カロリー計算をしながら食事を摂ることは難しいことです。ですから、太りにくい食べ方をしたいものです。
とくに高たんぱく質で食物繊維が多く含まれていて、噛みごたえのあるものがおすすめです。
また、食べ物をバランスよく摂ることも大事なことです。最後に、太りにくい食べ方のポイントを2つご紹介しましょう。
ポイント1: 血糖値を急に上げない
血糖値を急に上昇させない食べ方が、太りにくい食べ方です。血糖値が急に上がると、下げようとするインスリンが分泌され、血液中の当分を脂肪に変える働きをします。
血糖値をゆっくりと上昇させると、インスリンの分泌が抑えられて、脂肪がたまりにくくなります。そのためには、最初に野菜から食べるのがおすすめです。食物繊維が消化吸収に時間がかかり、血糖値の急な上昇を抑えてくれます。
ポイント2: 規則正しい食事をする
1日3食をきちんと摂ることが大事です。毎日決まった時間に食事を摂ることで、体内時計ができ、消化吸収、排泄がスムースになります。
朝は、れから活動が始まるのでたっぷりと食べます。夜は消化のスピードが遅くなるので、お腹いっぱいまでは食べず、寝るまでに最低2時間は空けるようにしましょう。
寝る時までに糖質が消費されていれば、睡眠中に脂肪をエネルギーとして使うことになりますので、太りにくくなります。
子どものときからずっと太っている場合、「どうせ何をやっても痩せないから」とあきらめてしまうことが一番の太っている原因ではないでしょうか。
身体は、時間をかけて改善することができます。
痩せるということだけでなく、身体にとって、運動や食事は一生の習慣です。気がついたときから行っていきたいものですね。
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー
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情報提供元: mocosuku