コロナ禍での健康管理のポイントとは
2021-04-30 14:30:49
今回お話しを伺ったのは医療法人弘健会菅原医院の院長、菅原正弘さん。
糖尿病や高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病や関節リウマチ、膠原病などの全身性疾患を中心に多くの患者の診療を行う一方、東京内科医会名誉会長、東京都糖尿病協会顧問、東京糖尿病療養指導士認定機構代表幹事として、医師、患者、医療スタッフの支援とチーム医療のインフラ作りににも力を注いでいる。
今回、緊急事態宣言が大都市で発令された中、コロナ禍での健康管理のポイントについてお聞きした。
菅原氏は現在約1600人の患者を診ていて、その内の約1000人が糖尿病患者。医院内に糖尿病に対する知識をしっかりと学び糖尿病サポートのスペシャリストであるCDE(糖尿病療養指導士)やCDS(糖尿病療養支援士)のスタッフが10名いるため、菅原氏と共に患者と密に寄り添い、ケアすることで質の高いサポートや処置ができるのが医院の強みでもあると言う。
今はコロナ禍にあり、外に出ることやコミュニケーションをとる機会が減ったことで認知症が進む、病気ではないけれど筋肉量が落ちて動けなくなる人も増えていると言う。家の中にいてもどこかでコミュニケーションをとる機会をつくることや日々、体を適切に動かすことが大切だとアドバイスしてくれた。
菅原氏はどのような疾患を持った患者でも、健康管理のポイントはBe Careful of 3B&3Cだという。3つのB と3つのCを意識した生活や診療を推奨している。3BとはBlood vessel(血管)、Brain(脳・睡眠、うつ),Body(身体)、3CはCancer(がん)、Cigarette(喫煙)、Communication(コミュニケーション)
これは、コロナ禍でも不変で、むしろ一層重要だという。
血管は高血圧・糖尿病・高脂血症をしっかりと管理する。脳は脳卒中・認知症・睡眠障害に注意する。認知症の予防には、よく歩くこと、心がときめくことを何でもいいから実践することが重要だという。身体は、脂肪は減らし、筋肉は減らさないようにし、骨粗鬆症を防ぎ、スクワットなどで筋力を鍛え関節の負担を減らす事が大切だ。 女性の要介護の原因の3割は、転倒・骨折、関節疾患だという。日頃から、ウォーキングシューズを履いて膝の負担を減らすことも必要とのこと。膝の痛い人は、自転車こぎや水中ウォーキングが負担が少ないという。「コロナ禍であっても屋外のウォーキングは可です。マスクをして、誰とも話さず、どこも触らず、帰ってからの手の消毒を実行すれば感染することはまずありません。2本の足は二人の医者(頭と心臓)という西洋のことわざがあります。
筋力を保つためには、週2回程度の筋トレも必要です。大きな筋肉は6つあります。大腿四頭筋(太もも)はスクワット、腹筋はロングブレス、大胸筋と上腕筋(胸と腕)は(膝つき)腕立て伏せ、背筋は仰向けに寝てお臍を持ち上げる、大殿筋(お尻の筋肉)は椅子の背を持ち、脚を片方ずつ後方に上げる。各々10回づつ行います。椅子に座ったまま、膝を交互に挙上する運動は大腰筋といって、上半身と下半身をつないでいる筋肉を強化しますので、歩行が楽になります。テレビ体操でも筋トレ効果があります。。
がんは、早期発見の為にがん検診を受診することが重要であり、過度な飲酒や喫煙、肥満など生活を見直すことが大切である。喫煙は寿命を縮めるだけでなく、新型コロナウイルスの重症化リスクでもある。在宅勤務が増え、家族の受動喫煙も問題だという。ベランダで吸っても、30分間は肺から有害物質が排出されるそうだ。Cのコミュニケーションは、コロナの影響により家に閉じこもり、、認知症が進む可能性もある。独居老人の方も多く、誰かと積極的にコミュニケーションを取ることが大切であると語ってくれた。
今はコロナによって治療を中断してしまう方もいるため、悪化を防ぐ為にも治療は継続してほしい。コロナ渦の免疫力維持という意味でもとても大切だと菅原氏は言う。
自らの医院では「歩く会」として患者や医師が集まり一緒に散策するコミュニティづくりや、生活習慣病の話など講演会を設けて人々に理解を深める活動を行なっている。そんな中、患者同士が親睦を深めたり、医師とコミュニケーションが取れたりと治療にプラスになることも多いと言う。そういう細やかなコミュニケーションが患者に影響を与えるのだ。また、Cのコミュニケーションとして社会参加が重要だという。患者会だけでなく、老人倶楽部の参加やボランティア活動なども認知能力の維持に効果があるという。コロナ禍にあっては、電話やメール、ウエブでもOKだとのこと。
緊急事態宣言の中、国民への要望として、「外食時、①食べるときは」口を閉じて食べる、②話すとき、話を聞く時はマスクをする。この2点を守れば、感染リスクはかなり軽減できると思うとのこと。
最後に今後に向けて聞くと、健康長寿社会実現のために私でなければできないことをやっていきたいと菅原氏の熱い想いを教えてくれた。これからも菅原氏の活躍は多くの患者や医療従事者の想いに寄り添うことになりそうだ。
情報提供元: マガジンサミット