育児にスマホやタブレットは問題ない?
2016-11-03 18:30:25
執筆:座波 朝香(助産師)
子どもをあやしたり、遊ばせるつもりでスマートフォンやタブレットを使わせている場面をしばしば見かけます。
そういった場面に対して、「子どもに何か悪い影響があるのでは!?」という心配の声も耳にします。
実際のところ、影響があるのでしょうか。あるとしたらどんな影響があるのでしょうか。
詳しくご説明していきましょう。
電子媒体は身体への影響があるのか?
スマホなどを使うことに対してよく心配されるのが電磁波の影響です。
これは、スマホだけに限らず、あらゆる電化製品に対して心配されることでもあります。なかには「電子レンジに近づかないほう方が良い」などと心配する人もいます。
チマタでは「電磁波が脳に影響する」だとか、「がんになる」などとささやかれているようです。
結論からいうと、電磁波が身体に影響を与えることはありません。
まず、電磁波とはなんでしょうか。生活上で使っているあらゆる電化製品は電磁波を微小ながら発しています。
ただし、日常生活でどれだけたくさんの電化製品に囲まれていようとも、それぞれの電化製品の電磁波は身体に影響を及ぼさないと考えられている基準よりもさらに小さな電磁波しか発していないということがわかっています。
そのため、スマホなどの電子媒体を使ってもとくに身体への影響はありません。
電磁界情報センター(http://www.jeic-emf.jp/)が、WHOが公開している情報をもとにわかりやすく情報を発信していますので、「それでも気になる」という方は見てみると良いでしょう。
精神的な発達や頭脳にも影響なし?
実は、子どもへの影響で一番考えなくてはいけないのは、精神的な発達や頭脳に関することです。
家事と育児で手が足りず、一人で遊んでいてもらいたいときにスマホなどタブレット端末を使わせているという場合がよくあります。本当は、時間を使って子どもと接してあげたいけど、いつもじっくり遊んでいられるわけではないことに、罪悪感を抱くことも少なくないようです。
子どもへのタブレット端末の影響に関する研究ではまだまだ分かっていないことが多くあります。
ただ、米国小児科学会は「18カ月未満の子どもはタブレットなどの利用を控えるべき」という指針を出し始めています。
ちなみに、機械的な音で言語をきいても言葉を覚えることにはつながりません。それはテレビでも同じことです。
赤ちゃんに大切なのは親と直接的なかかわり
とくに、まだ言葉でのコミュニケーションが十分でない乳幼児は、生活の中でたくさんの刺激を受けながら人間らしさが育まれていきます。
ここでいう刺激とは、五感のことです。
赤ちゃんは、親とのかかわり合いのなかで「声を聴いて、声を出し」「目と目で見つめ合い」「肌でふれあい」「互いの臭いを感じ」「母乳や家庭の食事の味を覚え」という五感を使っています。
このようなふれあいにより、表情の意味を理解し、大切にされていることや人の温かみを感じることができるようになります。これらは、直接人と人が触れ合うことで「オキシトシン」というホルモンが互いに分泌されることが影響し、人間関係がつくられていくという研究から明らかにされてきています。
動物として産まれてきた赤ちゃんが、人間としてのかかわりのなかで育つことで、社会性が育まれるということです。
タブレットで子どもをあやしたり、遊ばせたりすることに罪悪感を抱くことは、親として本能的な違和感なのかもしれませんね。
<執筆者プロフィール>
座波 朝香(ざは・あさか)
助産師・保健師・看護師。大手病院産婦人科勤務を経て、株式会社とらうべ社員。育児相談や妊婦・産婦指導に精通。
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情報提供元: mocosuku