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女性はみんな、おしゃべりなのが当たり前?

2016-12-24 12:00:09


執筆:伊坂 八重(メンタルヘルスライター)
医療監修:株式会社とらうべ
喫茶店やカフェなどで、長時間、女性どうしで盛り上がっている姿をよく見かけますね。
一般的に「女性はおしゃべり」といわれていますが、その背景には脳のはたらきが大きく影響しているといわれています。
なぜ女性がおしゃべりなのか、その理由を考えていきましょう。

男女では話す目的が違った!?


「話す」ことと脳の関係については、これまでさまざまな研究が行われてきました。
その中で、男性と女性とではもともと言葉を使う目的が異なっていたことから、脳の進化に違いが生じたという説が唱えられています。
ヒトが言葉を持った昔の時代にさかのぼってみると、当時の男性は狩りをして食糧を得る役割、女性は子を産み育てる役割というように、男女に求められる役割に大きな違いがありました。
そして言葉も役割の違いに応じて、男女それぞれの目的を達成するために使われていました。
たとえば男性は仲間と狩りをするために必要な言葉を使い、時には言葉以外の合図でやりとりをするなど、「獲物を得る」ことを第一目的に、言葉を話していました。
一方、集団生活の中で子どもや家族を守る女性にとって重要なのは、情報交換でした。そのため、情報をもたらす人間関係を重視し、周囲と良好な人間関係を築くために言葉を用いていたのです。
このように、男女ではそもそも言葉を使う目的に大きな違いがあり、現在に至るまでその伝統が無意識に継承されています。
そして、この目的の違いが、話すときの脳の使い方にも影響を及ぼしているのです。

女性の方が言葉を操るのが得意


私たちの脳には、右脳と左脳があります。
右脳にはイメージを記憶したり、映像などを認識する役割があるのに対し、左脳は読み、書き、計算や論理的な思考をする役割を担っています。では、話すときにはどちらの脳が使われるのでしょうか?
話すときの脳の使い方を調べてみると、男性と女性では使われる領域に違いがあることがわかりました。
まず男性の場合、話すときにはおもに左脳を使っていることが明らかになりました。これに対して女性は、おもに左脳の前部と右脳の一部、つまり、両方の脳を使って話していることがわかりました。
さらに左脳の中でも発話で使われる領域がはっきり決まっているため(ブローカ野、脳の領域)、言語を操る能力に長けていることも明らかになりました。
このように、進化の過程の中で女性は話す能力を伸ばし、おしゃべりを楽しむ力を身につけてきたといえます。
この能力が、現代の女性にも引き継がれて「女性はおしゃべりが好き」と認識されるようになったと想像することができるでしょう。

女性にとって話すことはストレス発散


かつては家族を守るための言葉でしたが、現代の女性にとっておしゃべりの目的はストレス発散や憂さ晴らしといった要素も多分に含まれています。
先ほど、「話すときの男女の脳の使い方が違う」とお伝えしましたが、一方で情報を分類し、保存する能力は男性の方が長けているともいわれています。ですから、1日の終わりにその日あった出来事を整理してけじめをつけることは、一般に男性の方が得意なのです。
反対に女性は出来事を整理することが苦手で、嫌なことがあったとしても、その感情を処理できずに残してしまうことが少なくないといわれています。
そこで、周囲の人と話をすることで、ストレスを発散していると考えられます。ですから、カフェなどで何時間もおしゃべりをしている女性たちは物事を解決したり、結論を導くことではなく、心を落ち着かせたり、憂さ晴らしをすることを目的としている可能性が高いといえます。
言い換えれば、ストレスが発散できるまでは、いつまででも話し続けられるということにもなりますね。
これを読んでいる男性の中には、女性が長時間おしゃべりをしているのを見て、呆れている方がいるかもしれません。
しかし、ストレスをためこんでしまって体調不良に陥ってしまう人も多い現代、おしゃべりでストレス発散をし、セルフコントロールができているのであれば、むしろ健康的ともいえるのかもしれません。
【参考】
アラン・ピーズ、バーバラ・ピーズ『新装版 話を聞かない男、地図が読めない女―男脳・女脳が「謎」を解く』、主婦の友社、2015年
<執筆者プロフィール>
伊坂 八重(いさか・やえ)
メンタルヘルスライター。
株式会社 とらうべ 社員。精神障害者の相談援助を行うための国家資格・精神保健福祉士取得。社会調査士の資格も保有しており、統計調査に関する記事も執筆
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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