5つのタイプに分けられる?「お年寄りならではの性格」について
2016-12-29 12:00:39
執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
医療監修:株式会社とらうべ
「頑固でワガママ」だとイメージされがちなお年寄り。
しかしみんながみんな、「頑固でワガママ」なわけではありません。ある心理学者によれば、お年寄りは“高齢者ならではの5つのタイプ”に性格を分類できるのだとか。
さらに「可愛げがないおじいさん・おばあさん」と思っていたら、じつはそれは病気のせいだった、なんていうこともあるようです。
これからますます高齢化社会が進む中、身内や親族に関わらず、私たちはお年寄りと接する機会が確実に増えていくことでしょう。
今回は「お年寄りならではの性格」というテーマで、詳しく見ていきたいと思います。
「高齢者の5つの性格タイプ」について
アメリカ人の心理学者スザンヌ・ライヒャルトは、高齢者の性格タイプを次の5つに分類しています。
1.適応型;円熟型
元気で、できることを楽しみながら行っていくタイプ
2.適応型;安楽椅子型(依存型)
気楽な隠居タイプ
3.適応型;装甲型(自己防衛型)
衰えることに抵抗し続けるタイプ
4.不適応型;自責型(内罰型)
愚痴と後悔で自分の人生を呪うタイプ
5.不適応型;攻撃憤慨型(外罰型)
老いを受け容れず、しかもそれを周囲のせいとする
このような視点からすると、「頑固でワガママ」も自己防衛型や不適応型として、高齢者の性格タイプの一部だとみなすことができるでしょう。
もちろんこの研究は、アメリカ人高齢者をデータベースにしていますが、日本でも1や2の適応型のお年寄りが思いのほか、隠れているかもしれません。
性格か病気か?
例えば、お年寄りは一般的にはかなり確信的に「頑固でワガママ」だとイメージがもたれています。
しかしもう一方で、お年寄りの性格は個人差が大きいとも指摘されています。
この“矛盾”ともいえることは、どのように理解されるのでしょうか?
最近指摘されているのは、お年寄りの特徴は、気質や人生経験からくる性格の問題もあるでしょうが、脳の機能の低下、認知症や老年期うつ病などの精神疾患、あるいは肝硬変といった身体疾患など、さまざまな病気によってもたらされる症状でもあるという説です。
性格と考えると、本人の特性ですから「もう致し方ない」と、周囲が迷惑していても諦めるしかないとみなされますが、病気の症状と考えると、可能な限り「治療の対象」として取り組まれることになります。
結果として、症状が寛解したり、周囲から一生懸命かかわってもらって、当のお年寄りが元気になったりということも散見されているようです。
「頑固なワガママ」なのか「クールなこだわり」なのか?
また、高齢者の数もさながら、社会や世界の情勢も、政治・経済・技術・文化それぞれの局面で、目まぐるしく変化しています。年をとって若いころから見慣れてきたものが古くなり、代わって出てきた新しいものを早く取り入れることは、若い人にだって難しいでしょう。
ましてやお年寄りなら尚更です。どうしても古いものにこだわって「保守的」というレッテルを張られてしまいがちですよね。
しかし最近、和食の世界文化遺産登録をはじめ、日本の文化や技術を肯定的に評価する外国人は、以前より増えているように思います。
日本人にとっては古いものでしかないものの新たな価値を、かれらは見出してくれているといえるでしょう。それを造り、維持しているのは「頑固でワガママ」なお年寄りだということ、多々あります。
「頑固でワガママ」は見事に「クールなこだわり」に変貌しているのです。
自分も周囲も「老い」の理解が重要!
お年寄り自身が「古いもの(過去)」にしか目を向けず、若者のやることなすこと全て否定していたら、周囲からは「頑固」としか思われないでしょう。そうではなく、なにか新しいことにチャレンジしてみたら、たとえ上手にできなくても、「頑固」とは思われないでしょうに。
何より、老いて衰えていくことを、マイナスと悔やんでばかりいるのはいかがなものでしょうか。
また周囲の若い人も、上に挙げた外国人の視点を参考に、もういちど、お年寄りを「見直すこと」ができたら素敵でしょうに。
「頑固でワガママ」という観方にとらわれていると、案外、お年寄りから「教わったり」「学んだり」「癒されたり」するチャンスを失うかもしれません。
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku