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知っているようで知らない「食品添加物」 基礎知識をご紹介

2017-01-08 18:30:43


執筆:永吉 峰子(管理栄養士)
何かと話題になることが多い添加物。なるべくとらないように気をつけている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「でも、添加物って?」と思う方も多いのではないでしょうか。
今回はそんな食品添加物の基礎について、管理栄養士がお伝えしようと思います。

食品添加物とは、そもそもなに?


食品添加物の定義


食品添加物の定義は、食品衛生法によって「食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、湿潤その他の方法によって使用するものをいう。」と定められています。
添加物というと、保存を高めたり色をよくしたりするのに使われるイメージがありますね。でも、製造を効率よくする目的や栄養強化の目的でも使われているのです。

食品添加物の種類


食品添加物は、食品衛生法により以下のように分類されています。
1.指定添加物
厚生労働大臣が有効性と安全性を認めたものです。449品種類あり、原料や製法が科学的であっても天然のものであっても添加物となります。
2.既存添加物
長年の使用実績のあるものを厚生労働大臣が認め、引き続き利用することを許可しています。安全性や有用性に問題がある場合はリストより削除されます。365品種類あります。
3.天然香料
果物や乳などの食品から採取され、使用量がごく微量なもので香りをつける為に使われています。長年の経験上で健康に影響がないものが認定されており、612種類あります。
4.一般飲食物添加物
一般的に食品として使われているものを、食品添加物として使用するものです。すべての食品が対象となります。

食品添加物はどのように指定される?


食品添加物の認定を受けるには、以下の5つの条件を満たす必要があります。
1.国際的に安全評価が終了し、安全性に問題がないとされている
2.国際的に広く利用されている
3.科学的な検討に必要な資料が整っている
4.使用が消費者によって利点になる
5.原則として化学分析で食品に使用した添加物が確認できる

食品添加物は薬ではないので、病気の治療を目的とした成分の添加は認められていません。また、粗悪品をごまかすための成分も認められません。
認定を受けるには、食品安全委員会、厚生労働省、消費者庁など複数の機関で様々な承認を受ける必要があります。
このように、あくまで消費者にとってメリットがあるものだけが食品添加物として認定される仕組みが備わっているのです。

食品添加物の基準とは?


食品添加物の成分と使用量、対象食品については食品衛生法で基準があります。
使用量基準は、安全性と有効性を調べる試験の結果に基づいて定められています。また、1日に日本人が摂取している食品から、どのくらいの食品添加物を摂取しているかを計算し、その数値が健康上問題ないかの確認も行われています。
更に、実際に食品中の添加物の量を分析する検査も行われています。もしもこれらの試験で問題が出た場合は、摂取量基準を少なくするなどの必要な処置がとられます。

主な食品添加物


甘味料


食品に甘みをつけ、保存性を高める為に使われています。アスパルテーム、アセスルファムカリウム、カンゾウ抽出物、キシリトール、サッカリン、ステビア、ソルビトールなどがあります。

着色料


食欲を増進する効果のある色彩を維持する為に使われています。鮮魚類、肉類、野菜類に使用することは鮮度をごまかすことにつながる可能性があり、禁止されています。
アナトー色素、カラメル、カロテン色素、ウコン色素、クチナシ色素、コチニール色素などがあります。

保存料


食品の腐敗の原因となる微生物の増殖を抑えることを目的としています。菌を殺す殺菌剤とは別のものです。ソルビン酸、安息香酸、しらこたん白抽出物、プロピオン酸、ポリリジンなどがあります。

増粘剤、安定剤、ゲル化剤又は糊料


食品に粘性を出したり、ゼリー状に固めたりする目的で使われます。用途により呼び名が異なります。カラギナン、キサンタンガム、グァーガム、ペクチンなどがあります。

酸化防止剤


食品の劣化の原因となる酸素と結びつき、食品の劣化を防ぐ為に使われています。L-アスコルビン酸、エリソルビン酸、カテキン、トコフェノールなどがあります。

発色料


主にハムやソーセージなどの加工肉に使われています。鮮度の誤解を招くため、精肉への使用は禁止されています。色を悪くする原因物質と結びつき、色彩を保つ働きがあります。亜硝酸ナトリウム、硝酸カリウムなどがあります。

漂白剤


食品の色を整える為の漂白の目的で使われています。誤解を招く為ごま、豆腐、野菜への使用は禁止されています。亜塩素酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどがあります。

防カビ剤または防ばい剤


輸入されるレモンやオレンジなどは、輸送される間にカビが生える可能性がある為農薬が散布されています。この農薬を日本では食品添加物として指定しています。イマザリル、OPPなどがあります。
これら8つの添加物の他、パンなどに使われる乳化剤、膨張剤、光沢をだして乾燥を防ぐ光沢剤、栄養を強化する栄養強化剤、香りをだす香料などがあります。
また、調味料は化学的に合成されたもののみが添加物として指定されています。

添加物の表示方法とは?


同じ添加物でも用途によって表示の仕方が異なる


主な添加物で記載した8つの添加物は、用途名と物質名の両方を記載する必要があります。
一方それ以外の添加物は原則として用途名のみを記載することになっています。その為、添加物でも用途によって表示の仕方も異なるのです。

一括表示が可能なものもある


食品添加物は、使用したものは個々に表示するのが基本です。
しかし乳化剤や香料など定められた一部の添加物は、使用の目的を示す一括名で表示することが許可されています。これは、例えば香料は食品の香りを再現する為には沢山の種類の香料が必要となる為、すべてを表示すると表示が膨大になり、消費者にわかりにくくなってしまうためです。

表示が免除されるものもある


栄養強化の目的で使用されるもの、加工の途中で使用され最終製品に残らないもの、食品の原材料に使用された添加物で最終的な食品での効力が少ないと思われるものについては表示が免除されることがあります。
また、総菜屋などのバラ売りでは添加物表記の義務はありません。
食品添加物と言っても、使用する目的や表示方法は様々です。基礎知識をもとに食品選択の基準としてみてくださいね。
【参考】
東京都福祉保健局HP『食品衛生の窓』(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/shokuten/index.html)
<筆者プロフィール>
永吉峰子(ながよし・みねこ)
管理栄養士。大手小売企業にて店長、商品開発を経験後、現在は「健康」「食」に関する執筆を中心に活動中

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情報提供元: mocosuku

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