くしゃみで病気が感染? でもナゼくしゃみは出るの?
2017-03-19 21:30:13
執筆:青井 梨花(助産師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
今年も花粉が飛散する季節になりましたね。
くしゃみを連発してツライという方も多いでしょう。
ですが、くしゃみが出ることは、私たちのカラダを守るために大切な機能のひとつです。
一方で、くしゃみをすることで、ヒトからヒトへ感染する病気もありますので、感染予防の観点からもお伝えします。
そもそも鼻の役割って?
くしゃみが出るとき、鼻がムズムズして・・・というきっかけのことが多いでしょう。
まずは、鼻の役割について確認しておきましょう。
皆さんご存知のとおり、鼻には、下記のような3つの役割があります。
1.呼吸をするとき、体内に空気を送り込む通り道
2.においを感じる
3.声をはっきりと伝える
今回はとくにくしゃみとの関係が強い1の役割に注目してみましょう。
空気中にはほこりなどのゴミや、病気の原因となるウィルスや細菌など、さまざまなものが混ざっています。
空気を吸って体内に送り込む場合、そのままダイレクトに吸い込んでしまうと、空気中のゴミなどが体内に入ってしまい、悪影響を及ぼしかねません。
そこで、フィルターの役割を果たしているのが、鼻の中の鼻毛です。
空気を吸い込むと、まず大きなゴミを鼻毛でキャッチし、体内への侵入を防ぎます。
また、鼻の粘膜がいつも適度に湿っていることで、さらに小さいゴミをキャッチし、結果、体内にきれいな空気を送り込むことができているのです。
では、くしゃみはなぜ出るのでしょう?
くしゃみってなぜ出るの?
ほこりなどの小さいゴミやウィルスなどが鼻の粘膜に付着すると、その刺激が神経に伝わって、呼吸するときに使用する筋肉をはたらかせて、緊張させます。
そして、筋肉の緊張がピークに達すると空気を吸い込み、緊張がゆるむタイミングで、粘膜についたゴミなどをふり落として外へ出そうと、思いっきり息を吐き出します。
これがくしゃみのしくみです。
反射的な反応のため、自分ではなかなかコントロールできないものです。
しかし、空気中のゴミやウィルスなどの異物が体内に入らないようにするため、私たちのカラダに備わった大切な防御反応なのです。
くしゃみでうつる病気もあるの?
くしゃみが出るおもな原因としては、アレルギー性鼻炎や風邪などの感染症、そのほか、寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)といったものまでさまざまあります。
このように、いろいろな原因でくしゃみは出ますが、なかにはくしゃみによって、ヒトからヒトへうつる病気があります。
病気に感染している人が、くしゃみや咳をした際、口や鼻から病原体を多くふくんだ水滴が飛び散り、近くにいる人が、それを吸い込むことで感染することを「飛沫感染」といいます。
飛沫感染によって、ヒトからヒトへ感染する病気には、たとえばインフルエンザなどのウィルス感染症や、溶連菌感染症やマイコプラズマ肺炎などの細菌による感染症など、数多くあります。
周りの人へうつさないための「エチケット」とは?
通常、くしゃみや咳をすると、1m前後まで病原体をふくんだ水滴が飛んで落下する、といわれます。
このことをふまえ、風邪など病気でくしゃみや咳が出るとき、周りの人へうつさないためのエチケットとして、厚生労働省が提唱している「咳(くしゃみ)エチケット」があります。
・くしゃみや咳をするときは、ティッシュなどで口や鼻を被って、他の人から顔を背けるようにし、1~2m以上離れるようにする
・くしゃみや咳がつづくときは、鼻と口を被うようにマスクを着用する
・マスク着用していないとっさのくしゃみ・咳のときは、袖や上着の内側で「肘ブロック」して鼻・口を被う
・くしゃみ・咳をした際に使用したティッシュは、すぐゴミ箱に捨てる。また、手で被ったときは、できればすぐ石けんを使用して流水で洗うようにする(すぐ手を洗う環境がない場合に備えて、速乾性擦式消毒用アルコールやパックのアルコールティッシュなどを用意しておくとよい)
自分の健康、家族の健康を守るためには、ふだんから心がけておきたいエチケットを社会全体で取り組み、徹底することが必要不可欠ですね。
<執筆者プロフィール>
青井 梨花(あおい・りか)
助産師・看護師・タッチケアトレーナー
株式会社 とらうべ 社員。病院や地域の保健センターなど、さまざまな機関での勤務経験があるベテラン助産師。
現在は、育児やカラダの悩みを抱える女性たちの相談に応じている。プライベートでは一児の母。
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku