ダイエットや筋トレ、「ながら」で効果は変わらない?
2017-03-31 18:30:46
執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー)
医療監修:株式会社とらうべ
ダイエットや筋トレにおける運動の効果は、脂肪燃焼や筋力アップです。
その効果を得るためには継続することが重要ですが、忙しい毎日の中で運動の時間を作ることは簡単ではありません。
そんなときに、音楽を聴きながら、TVを観ながらなど行う「ながら運動」は、自分の生活リズムの中に取り入れやすい手軽な方法といえます。
それでは、運動に集中した場合と「ながら運動」では、その効果に違いはあるのでしょうか。
ご一緒に詳しく見ていきましょう。
運動の種類と効果
運動には、有酸素運動とレジスタンス運動、ストレッチ運動があります。
その1:有酸素運動
有酸素運動は、酸素を体内に取り込み、その酸素を使ってエネルギーを消費する運動で、脂肪燃焼につながる運動としてダイエットに有効です。
ウォーキング、サイクリング、水泳、軽いジョギング、エアロビクスなどがこれにあたります。
その2:レジスタンス運動(無酸素運動)
レジスタンス運動は、酸素を必要とせず、筋肉を刺激する運動で、筋力アップに有効です。
筋力がアップすると、体力維持はもちろん、基礎代謝が高くなり、脂肪を燃焼しやすい身体づくりにつながります。
さらに、最近では成長ホルモンの分泌を促して有酸素運動での脂肪燃焼を活発にすることがわかり、ダイエットにも有効であると言われています。
ダンベルやチューブ、機械、自分の体重などで負荷をかけて行う筋力トレーニングや短距離走などがこれにあたります。
その3:ストレッチ運動
ストレッチ運動は、ウォーミングアップやクーリングダウンに行う運動というイメージが強く、補助的に捉えられがちですね。
しかし、拘縮(こうしゅく;他動的・自動的に関節周辺にある組織が原因で、関節の可動域が制限されている状態)してしまっている代謝の悪い身体をほぐして血行を良くする効果があります。
加えて、肩こり、腰痛などを予防・改善するためにも極めて重要な運動であり、日常的に実践する必要がある運動だといえるでしょう。
運動量のめやす
厚生労働省より発表されている「健康づくりのための身体活動基準 2013」では、歩行又はそれと同等以上の強度の身体活動を毎日60分、息が弾み汗をかく程度の運動を毎週60分行うことをめやすとしています。
有酸素運動の継続時間は「30分×1回」の運動を行った場合でも、「3分×10回」でも、ほぼ同じ効果が得られることがわかっています。
生活の中での歩く時間は、毎日60分をめやすに取り入れましょう。歩数では、1日あたり8000~10000歩を目指します。
一方、レジスタンス運動の頻度は、週に2~3日行うことが推奨されています。
筋肉が使用されると、一定期間の後に、使用前の状態よりも回復するのです。部位によって変わってはきますが、筋肉の超回復には、通常2~3日の休養が必要になります。
「ながら運動」で効果に変化がある?
運動には目標や鍛えている部位を意識することでその効果が高まる「意識性の法則」があります。
運動に集中することがその運動効果を高めることは言うまでもありません。
ただし、ダイエットも筋トレも、運動の効果は一時的なものだけではなく、継続性によって左右されます。
運動が苦手な方や運動の時間をとることが難しい方など、運動習慣がない方は、「テレビを観ながら」「買い物をしながら」「音楽を聴きながら」「家事をしながら」など、日常生活で運動以外の目的で活動をしながら運動量の目安を満たすことが運動効果を高めることになるでしょう。
運動効果を高めるための「ながら運動」
あえて「ながら運動」をすることで、運動効果を高めるのが「音楽を聴きながら」。
音楽と運動の共通点は、そのリズム感やテンポ感にあり、リズム感のある曲を聴くと、身体は無意識にそのリズムに合わせ動きます。
音楽のリズムやテンポが小脳を刺激し、小脳が司っているタイミングやバランス能力、運動能力に変化が見られると言われています。
また、音楽で聴覚を刺激することによって、運動の苦痛を軽減し疲れを感じにくくします。
有酸素運動のようにある程度の時間やテンポ感を必要とする持久系の運動や、ウォーミングアップやクールダウン、ヨガなどリラックスした状態が望ましい運動の効果を高めるのに音楽を聴いて行う「ながら運動」はおすすめです。
一方で、レジスタンス運動のように特定の部位や一時点に集中する瞬発系の運動、演技行程やルーチンワークに集中する運動にはその変化が見られなかったという研究結果もあります。
効果を高めるためには、運動の内容や好みに応じて音楽を選ぶことが必要です。
運動は継続することで効果があらわれます。
日々の生活で習慣的に運動をする上で、生活習慣や運動内容に応じて「ながら運動」を取り入れることはダイエットや筋トレに効果的と言えます。
ただし、「ながら運動」であっても、目標や鍛えている部位を意識するようにしましょう。
<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー。
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
関連記事
情報提供元: mocosuku