「仕事に行きたくない…」は要注意!睡眠を見直そう!精神科医が教えます
2023-05-31 07:00:43
そろそろ梅雨シーズンが到来。この時期は、じめじめとして暗い気持ちになりがちですよね。5月病をまだひきずっているかもしれません。さらにこれからは6月病リスクも出てくる時期です。
もし、朝起きたときになんとなく「仕事に行きたくないな」と感じたなら要注意! もし生活習慣が乱れており、睡眠も満足に取れていないのであれば、改善の余地があります。精神科医で市川メンタルクリニック院長の芦澤裕子先生のアドバイスのもと、対策をご紹介します。
■5月病のような無気力さを軽減するには「睡眠」が重要
芦澤先生によれば、「5月病のような精神的な無気力さは、何らかの理由で自律神経、脳神経が上手に機能できていないことなど、様々な要因が考えられます」とのこと。
「自律神経も脳神経も、身体の組織のひとつです。きちんと疲労が回復され、栄養や酸素がいきわたっている状態を作ってあげることが重要です。そして、身体組織の疲労回復には、睡眠の量や質が深く関わっています」
そこで芦澤先生に、睡眠の質を上げる代表的な対策を教えていただきました。
1.生活習慣から改善!
夜ふかしは当たり前になっていませんか? しっかりと睡眠時間を確保するのはもちろん、起床時刻を一定にすることも重要なのだそうです。
「人間の概日リズム(生体リズム)は約25時間と、1日の24時間より1時間ほど長くなっているため、その差を修正することが大事です。方法としては、朝の起床時刻を一定にし、朝、光を目の中に入れること。これによって24時間周期にリセットできます。
また午前中に光を一定時間浴びることによって、自律神経や脳神経を正常化するのに役立つホルモン、セロトニンの正常な分泌にも役立ちます」
2.やっぱり大切!運動習慣
そして運動不足も睡眠の質を下げる原因であるようです。
「運動をすると身体に乳酸などの疲労物質が作られ、身体が疲労回復しようとするために入眠しやすくなります。また、運動をすることで全身の血流、ないしは脳の血流もよくなり、思考の処理などが行われやすくなることもあります。
運動習慣を持つことで、中期的に体力がつくので仕事の集中力・意欲の維持にもつながります」
メンタルを正常に保つのにも有効であるようですね。とはいえ、それほど激しい運動は必要ないのだそう。
「午前中に屋外で15分以上散歩するなど、ほんのり汗をかく程度の運動が理想的です」
これなら毎日続けられそうですね。
3.睡眠の質を高める栄養素などを摂取!
そして気になるのが食事! 睡眠の質の改善に必要な栄養素、ぜひ教えてもらいましょう。
・「タンパク質」:神経伝達物質を作る
・「ビタミンB6」:セロトニンの合成に不可欠
・「ビタミンB12」:脳神経の正常な働きを助けてくれる
・「トリプトファン」:セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどの神経伝達物質の原料となる
・「鉄」:ドーパミンを作るのに必須といわれる
・「GABA」:ストレスを和らげ、興奮した神経を落ち着かせる
・「グリシン」:体の末端部分の血行量を増やして深部体温を冷やす
「肉や魚は日々の主菜にきちんと取り入れ、ビタミンB12豊富なしじみやあさりなどの貝類、グリシン豊富なエビやウニ、トリプトファン豊富な豆腐や納豆も積極的に摂ってみてください。主食には、GABAが豊富な発芽玄米がおすすめです」
もし、これらのバランスのとれた食事を日常的に用意するのはむずかしいと感じるなら、お助け食材があるといいます。それはスーパーフードともいわれる「ユーグレナ」。
「睡眠の質の改善に役立つ栄養素を含むといわれるユーグレナは、59種類もの栄養素を含み、その中にはビタミンB6、ビタミンB12、トリプトファン、鉄、GABA、グリシンに加え、ユーグレナ特有のβグルカンである『パラミロン』も含まれています。一般販売されているドリンクやタブレット型のサプリメントなどで取り入れることができます」
「パラミロン」という食物繊維は、近年、世間で大いに注目を集めている成分です。各社、研究実験を行っていますが、株式会社ユーグレナが行った臨床試験では、ユーグレナ粉末1,000mgおよびユーグレナ粉末の入っていないプラセボ粉末を12週間摂取したところ、主観的な睡眠への満足度有意な向上が見られたそうです。
【出典】株式会社ユーグレナ「ヒト臨床試験で『ストレスによる諸症状の抑制や睡眠の質の改善』を確認」(https://www.euglena.jp/news/20200518-2/)
●お酒は睡眠の質を下げる
ちなみにお酒は睡眠にどう影響するのでしょうか?
「お酒は睡眠の質を下げてしまい、アルコールの利尿作用で就寝中に目を醒ませてしまうなどデメリットが大きいので、睡眠の質を改善したい場合は避けるようにしましょう」
お酒好きの人は、睡眠の質を上げるために工夫してお酒と付き合っていきましょう。
■「仕事に行きたくない」ときはどうする?
「仕事に行きたくない」と感じたときに、すぐにできる対策を教えていただきました。
「会社に行きたくない原因を具体的にメモやノート書き出してみましょう。曖昧だったものがはっきりと認識できるようになります。はっきりすれば、解決策が見えてくると思います。
またネガティブに考えてしまうときには、ポジティブに考える練習をしましょう。『何とかなるさ』『マイペースにできる範囲でやろう』などと前向きに考えを切り替えます。あわせて、口角を上げて笑顔を作れば、幸せホルモンが出やすくなるのでおすすめです」
もし5月病や6月病になっているかもと感じているなら、まずは生活や食事、睡眠を見直しましょう。そして原因と向き合ったり、ポジティブ思考や笑顔で前向きに解決へと取り組んでみてはいかがでしょうか。
【取材協力】
芦澤裕子先生
精神科医・市川メンタルクリニック 院長
日本睡眠学会認定医、精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、指導医。心療内科、精神科のクリニックにて精神障害、睡眠障害などの治療にあたる。「心やすらぐ、ぐっすり眠れる夢の絶景カレンダー」「GOOD SLEEP BOOK 365日ぐっすり快適な 眠りのむかえ方」(翔泳社)監修。
市川メンタルクリニック 千葉県市川市市川1-4-10 市川ビル11F
(https://www.ichikawa-mental.jp/)
情報提供元: マガジンサミット