女性にうつることも?「インキンタムシ」とはどういう病気?
2017-11-17 18:30:32
執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
医療監修:株式会社とらうべ
「インキンタムシ」という病名を聞いたことがありますか?
昔の病気のように思っている方もいるかもしれませんが、今もある皮膚の感染症です。
今回は、「インキンタムシ」の症状や治療などについてご説明します。
インキンタムシの基本情報
「インキンタムシ」とは、股間部が白癬菌(はくせんきん)に感染する病気で、「股部白癬(こぶはくせん)」とも呼ばれますが、正式な病名は、「潜在性小水疱性斑状白癬(せんざいせいしょうすいほうせいはんじょうはくせん)」です。
思春期の男性であれば誰でも一度はかかる、といわれるほど、多くみられます。
インキンタムシは、ひとつづきの病名のようですが、実は「インキン」と「タムシ」は別のものです。
「インキン」は陰部にできる皮膚病の総称であり、「タムシ」は白癬菌による皮膚病のことをいいます。
白癬菌による病気は、発症する身体の部位によって名前が変わります。
たとえば、足に出ると「水虫」、手に出ると「手白癬」、爪に出ると「爪白癬」、頭に出ると「頭部白癬、しらくも」、体幹や四肢に出ると「体部白癬、ゼニタムシ」などと呼ばれます。
すでに多くの方がお気づきでしょう。
インキンタムシは水虫の仲間、水虫は治りにくいことで知られていますが、インキンタムシも治るのに時間を要します。
インキンタムシの感染経路
感染は皮膚接触によるもので、白癬菌のついたタオルなどから感染します。
白癬菌は高温多湿を好むため、感染は夏場に増える傾向があります。
感染経路は多岐にわたるため限定するのは難しいのですが、不特定多数の人が利用する場所、たとえば、海水浴場やプール、温泉・サウナなどの入浴施設は感染しやすいといえるでしょう。
また、男性の病気という印象が強いかもしれませんが、性交によって女性に感染することもあります。
防ぐためにはコンドームなどを装用する必要があります。
インキンタムシの症状
感染すると、股間部に小さなブツブツ、水ぶくれなどの症状が出てきます。
その後、赤みが増し、だんだんと弓状に外側へと拡がっていきます。
しばらくすると、日焼けした跡のように皮膚がむけた状態になります。
湿疹の部位が広がり、お尻の外側や太もも辺りまで範囲が大きくなると、湿疹ができている部分とできてない部分との境目がはっきりします。
ただし、陰嚢(睾丸)やペニスまで感染することはあまりありません。
また、入浴後など体温が上昇すると、掻きだすと止まらなくなるほどの激しいかゆみが出ます。
体温上昇によりかゆみは増し、掻きむしりたくなります。
しかし、掻きむしると、出血したり、その部位から別の感染症を起こしたりすることもありますので、注意が必要です。
インキンタムシの検査と治療
インキンタムシの症状が現れたら、皮膚科や皮膚泌尿器科を受診しましょう。
早期に受診して治療を開始しないと、色素沈着して跡が残ってしまいます。
検査方法は、通常、患部の皮膚の一部をピンセットで取り顕微鏡で観察し、普通の湿疹やカンジダ症でないことを確認します。
また、治療には外用薬が用いられ、白癬菌の中では比較的早く治癒しますが、治療を途中で止めると再発します。
ですから、医師から「もう薬をつけなくていい」といわれるまで、継続して治療する必要があります。
クリームタイプやスプレータイプなどの市販薬も多数販売されていますが、病院で診断されてから使用しないと、かえって悪化することがありますので注意しましょう。
インキンタムシの予防
気がつかないうちに感染してしまうことが多く、予防するのは難しいですが、リスクを下げるために、次のことを心がけましょう。
通気性の高い下着をつける
下着をこまめに交換する
毎日入浴して、陰部を清潔に保つ
インキンタムシは、羞恥心から病院に行くのが遅れてしまいがちです。
しかし、早期治療が治癒に結びつきますから、恥ずかしがらず早めに受診しましょう。
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku